#87 You are unlucky
「いやぁ、やっぱり君は不運だね。なんで調度いい時に来るか」
な、何を言っているんだこいつは。見るからに和也だが、息していないように見える。それを運びながら私に見付かって不運だと?
間違っていなかった。
私達はやっぱり騙され、利用されてたんだ。副社長に!
「チャージ〖筋肉〗」
能力を発動させた途端、私は激しい筋肉痛と同時に煙を体から出して筋肉を起こした。
激しい筋肉痛に襲われる中、副社長は瞬時に机の引き出しから以前見た時とは違うベルトを取り出し、腰に巻き付けた。
さらにポケットの中からピンクの液体の入った試験管をベルトに差し込み、言った。
「変身」
私の筋肉痛が終わった同時に目の前に現れたのは、あの時のペネレイトを纏った黒い鎧の奴だった。
嘘、和也じゃなかった……だとしても、彼が奴だ。
私はすぐに上の服を破り、下に着ていたスーツを顕にし、彼に向かって飛び出した。
同時に彼は鎧からペネレイトを伸ばし、私に攻撃を始めたが、彼からのペネレイトの攻撃は全て私の腹付近に吸収される。
「どっちが不運ですか!? 自分が作ったスーツを恨め!」
そう言い、私は彼の腹に拳を入れた。
彼は吹き飛び、遠くまで飛んでいくが、その勢いを利用して列車のようなスピードで移動し、ペネレイトを利用しえ遠心力で壁を直角に曲がった。
「逃げられると思ってるの?」
私はバネのようにその場でジャンプし、最後には大きくジャンプして壁を蹴り、ロケットのようなスピードで先程曲がった壁を再び壁を蹴って曲がった。
速すぎて下を見ても何があるのか分からない。
一体どこに……
すると下からペネレイトが伸び、私の背にくっついて下へ抵抗できず引っ張られた。
下に必ず奴がいる。
前へ進むスピードも収まり始め、視界が普通になってきた途端、真下に見えたのは鎧姿の副社長だった。
このままぺっちゃんこにしてやる。
私は隕石を落とすような勢いで彼の頭を拳で殴り、パン! という音を立てて彼を文字通りぺちゃんこにした。
しかし
おかしい。確かにぺちゃんこだが、これはまるで水風船を壊したみたいだ。
不思議に思い周りを見渡すと、まるで壁があるかのように空中に弾け飛んだペネレイトの痕があった。
これは、壁がないんじゃない。壁があるんだ。
その壁に触れてみると、手が一瞬歪んだように見えた。
まさかこの壁、時音の壁?
「そう、時音の壁だよ」
そう言って壁の向こうに現れたのは副社長だった。
「なんで、時音も騙されてるの!? 目を覚まして! 時音は一体どこ!?」
すると副社長は腹を抱えて笑い始めた。
「何がおかしい」
「いやいや、すまない。えーっとー、何を最初に言うか」
彼は上を見ながら髪をかきあげた。
「そうだなぁー、時音は死んだ」
それを聞いて、私の耳は蓋がしまったかのように周りの音が聞こえなくなった。
「は?」
理解できない。なんで? じゃあこの壁は何? これは本当? 嘘?
「いやぁ、まぁ死んだというか殺されたが正しいかな?」
私は怒りを抑えるために頭を抑えながら聞いたが、言葉に乗る感情は抑えられなかった。
「お前が、お前が殺したんだろぉ!」
「おお、怖い怖い。俺は殺してないさ。時音を殺したのは……」
そう言いかけた瞬間、物陰から鉄と鉄がぶつかる音を立てながら……現れた。
「エアーだ」
嘘だ。機械が、ただの機械が時音を殺すことなんてできない。
すると副社長は言った。
「1つ聞きたい。必然的に訪れる場所に早く行っただけなのに、何が悪いんだ?」




