/30×2+10+3²/ Can you come with?
俺は鎌を両手で持ち、柊木に飛び掛る。
ジャンプし、かまを振りかざすが自由自在に動く盾によって防がれてしまう。
ガス男と同時に攻撃しても、盾が2つあるから柊木に攻撃を与えるのは難しい。だが2つしかないならば、柊木が反応できない速度で攻撃すれば攻撃は通せる可能性がある。
ガス男は俺の見る限り、ガスを分泌させているようには見えなかった。てことは柊木は既に彼の毒に耐性を持ったのかもしれない。
隙を作る方法がない。
いや、断定するな。断定するから先へ進めないんだ。考えることを辞めるんじゃない。頭を働かせろ。答えを求めるための方法が無いことなどないんだ。
お得意の対話に持ち込むか? いや、あっちはずっと守ってる。対話に持ち込んでもまたずっと防がれるだけだ。
待てよ。防いでるだと?
なぜ攻撃しない? まさか俺たちのことを殺す気が無いのか? なら、身を任せて突っ込めば行ける!
俺は攻撃をやめ、柊木の元へダイブした。
やはり柊木は俺のこの行動を見て驚きを隠せていない。
一体、本当の目的はなんなんだ?
すると後ろから、俺は先程倒したはずの武器人間もどきによって銃で撃ち抜かれ、そのまま柊木の前で倒れてしまった。
「あ…ぁあ……なんで……」
柊木は、俺らに敵意はなかったんじゃ……
『急にくるからびっくりしたろ。ずっと不意打ちを狙ってたのに。最後の最後で思い通りに動かないのやめてくれる?』
「和也!」
ガス男は盾を無視し、俺の元へ駆け寄り、俺の前で俺を守るように大の字になった。
同時にガスを充満させ、武器人間もどきを倒した。
『くっせぇなぁ。早くどけよ。お前は和也の相棒じゃない。俺が相棒だ』
……
「裏切ったやつが何を言う。俺は前はただ暴走していただけで、今は俺が相棒であり、ライバルだ」
霧島の言葉に、俺は少し感動した。
『きめぇな』
そう言い、柊木は霧島を2つの盾から放つビームで倒した。その瞬間、俺にキル通知が届いた。
「ひぃらぎぃいいいいいいいいいい!!」
『なんだうるさいな。お前は俺に勝てるとでも思っていたのか? お前は仲間とのコンビネーションが上手いとでも思ってたのか? なわけないだろ。相手が悪かった。そして、今までは仲間が強かった。てだけだ。自惚れるんじゃない』
柊木はそう言って、俺を盾と盾で挟んだ。
俺には未来を呼ぶという選択肢がある。さぁこい! 未来の俺!
心で唱えても、システムは何も反応しない。
なんで、なんでだよ
〖宿るための器がないため、憑依を発動することはできません〗
終わった……のか。
ゲームは終了し、柊木と柊木の兄が残り2人となって優勝した。しかしここで、俺らの隠しルールの発動だ。
「それでは! ここで隠しルールも踏まえての順位を発表します! 隠しルールはキル数です!」
小暮先輩がそう言うと、周りはざわつき始めたが、そこを小暮先輩は丸めてくれた。
「自ら進んで行動しない人はいりません。行動しなかったあなた方の問題です」
そう言い、キル数を踏まえた順位が発表される。
しかし1位は柊木の姉、2位は結局、柊木だった。
歓声でうるさかった周りは、俺の周りだけ耳栓をしたかのように静かに聞こえた。同時に俺の体は血が引き、冷や汗が出ているように感じる。
終わった。部活に入れないのか。いや、そもそも俺はこの部活に入ろうとなんて思っていなかったんだ。そうだ、別にいいじゃないか。別の部活でも。なんなら帰宅部でも。たかがゲームだ。
俺はログアウトし、着替えをすませ、螺旋状の階段を登り、会計をするためにおばちゃんのいる受付に行くが、電気が着いたまま、おばちゃんは居なかった。
トイレでも行ってるんかな。
ふと外を見ると、鏡の扉、窓の向こう側には、黒い自衛隊のようなスーツを着た人達が、見える限り奥までこの施設を囲うように並んでいた。
「やぁ」
「うわっ」
突然の挨拶に、俺は驚き、体をビクリと動かした。
その挨拶した人は、施設に置いてある市町村のパンフレットを読み、パイプ椅子に足を組んで座っていたのだ。
彼女は外の人達とは違く、白衣を着て丸メガネの女性だ。彼女にはどこかで見た覚えがあるようでない気がする。
そう思っていると、彼女は本を閉じて話し始めた。
「私はあなたに”特別待遇をしたような”振る舞いをしたのに、なんでこんな面倒なことをするのか。人間は分からないね」
「何が言いたいんですか?」
すると彼女は立ち上がり、俺にパンフレットを差し出して言う。
「私たちの、本社にこない?」




