/7×11/ For other people
なんだ、なんで急に倒れ込んだ。
「早く、今がチャンスだ! やれ!」
ガス男は柊木へ向かって走りながら俺に伝えた。
俺は驚くのを後にし、踏み出した瞬間、MPが切れた。
くそ、
毎秒ステータスが10上がる。このバフが無くなった今、俺の走りはとても遅く感じた。
さっきは一瞬で着いた場所が、今では遠く感じる。
それでも俺は走り、ガス男の後を追った。
ガス男は既に柊木の元に着き、彼のナイフで柊木を切り刻んだ。
「しねぇえええ!」
柊木の壁は倒れ、ガス男の攻撃を防ごうとしていなかった。本当に今がチャンスだ。
俺は全速力で彼らの元へ走り、あと少しで槍が届く距離になった瞬間、ガス男は横からの炎によって燃やされてしまった。
「ガス男!!」
一体誰が……、炎が現れた方向を見ると、黒煙の中、2人の人がいた。彼らは今まで見た事のない。全くの初対面だ。
「いやぁ、このままイモってよっかなって思ってたんだけど、なんか漁夫の利出来そうだったからね。攻撃させてもらったよ」
俺の目の前に、2人の男が歩いてくるが、2人の動きは急に止まり、麻痺したかのように体をビクビクさせながらその場に倒れた。
「ガスマスクの大切さが身に染みて分かるな」
そう言って現れたのは、ガス男だった。
「良かった。生きてたのか。というか、柊木のやつは一体なんだったんだ」
柊木は笑いながら言う。
「いやぁ、まさか上手くいくと思わなかった。柊木らが合体する前、お前にガスマスク付けさせたろ? あの時、俺のとっておきのガスを充満させて、ガスも一緒に融合させたんだ。槍で貫いた瞬間に倒れ込んだのは、中に入ってたガスが一気に放出されて適応が出来なくなったんだろう」
こいつが今回仲間でよかった。
そう思いながら、柊木へトドメを刺しに行こうとするが、そこには柊木は居なかった。
な、嘘だろ。
『俺は適応する。俺はいつも、戦いの後に弱点を克服するためのものを作っているが、3人が合体した今、俺は今すぐに作ることが出来るようになった』
彼は、俺たちの後ろに現れた。彼の盾だけでなく、全てがリメイクされ、綺麗に納まっている。
恐らくこれが、完全体。
『そんなジロジロ見るな。恥ずかしいだろ?』
彼女? 彼? 彼らの特徴を全て持ったその人は、柊木とは言えないほど、美しかった。
「なぜだ、なぜ生きてる」
ガス男は今までにない以上に焦っているように見える。
『俺の体の中は機械なんだ。全部機械。人間の部分を言うならば、頭ぐらいかな? とにかく、俺は弱点をすぐに克服する、最強となったのだ。これで俺は、プロとなる』
彼の言葉に、俺はずっと疑問だった。
「その形態は3人が合体しなきゃなれない。だから柊木1人がプロになることは難しいんじゃないか?」
柊木はまるで愚問に答えるかのような対応で答える。
『俺ら全員で1つの人間、1人のプロとしてやればいい話だろ。もしくは姉のデータで俺がログインして、俺らの放置している体と融合すれば良い。いやそうだな、これが1番いいな』
柊木はそう言うが、その兄妹はなんの抵抗もしないのだろうか。なぜ抗わないんだ。家族なんじゃないんか? もしかしたら、柊木に行動を制限されているのかもしれない。なら……
彼らの本心を聞くために、戦おう。例えそれが、彼の思い通りであったとしても。
他人のために。




