/25×3-1/ Why are you here
警報音がどこかからなり始めた。すると彼女は俺に問う。
「なんで、なんで諦めないの」
「逆になぜ諦めるという選択肢になる」
俺は彼女の問いに問で返した。
「諦めることも肝心と言うじゃない? 諦めて私に殺された方が私の為にもなれるし、周りの人もあなたの存在が無くなったことに喜びを感じると思うんだけど、周りにとって利点があることを行うのになんで諦めないの?」
「それが君の正義か」
彼女は気づいているのだろう。受け流してはいるものの、これも体力の限界が来ている。ガス男も来る気配がしない。なら対話で時間を稼ぐしかない。
「あなた、何言ってるの?」
反応した。
反応したと同時に、彼女からの攻撃の雨は止んだ。
おかげで俺の周りに槍がカラン、と音を立てて大量に積もった。
「君たちは、正義を実行するとか言って俺たちに攻撃を仕掛けてきた。君の正義というのは、”周りの為になることをする”というのが正義なのか?」
「当たり前でしょ? 例えば仮面ライダーだって、自身の正義を実行して周りを助けてる。私はそれと同じ」
彼女は自信満々に言うが、気に食わない。
「正義とは、自分が正しいと思ったことを行うことだ。”周りのために”という考えで正義を実行するのは良くないと俺は思う」
「は?」
「君は恐らく、その考え方でいつか壊れる。”周りのため”に動いていると自己主張を忘れてしまう。多様性を尊重しようとする今の世の中、周りに合わせる意味などない。むしろ自己主張を求められていると言ってもいい」
まずい、空気が悪くなった
「私を否定するんだな。私はそれが嫌いだ」
すると再び槍を複製し、全ての手に持ってこちらへ飛んで向かってきた。
俺と彼女との距離が槍を伸ばしたら届くくらいの距離まで縮まった瞬間、目の前にガス男が現れた。
「やっとか」
「黙れ」
彼は手から煙の壁を現し、彼女の視界を塞いだ。
塞いだと同時に、ガス男は俺の手を掴んで後ろに走り出した。
「ちょ、何すんだよ」
彼は答える。
「逃げるぞ!」
今まで鳴っていた警報音は急に収まり、代わりに爆発音が周りを響かせた。
まじか
「あのロボット、煙を吸い込ませたら爆発しやがった」
ガス男はそう言うが、やはりまだどこか信用出来ない。
「なんで俺を助けた? 俺を走らせなければ俺も爆発で倒せたはず」
ガス男は言う。
「お前を1位にしたいから」
「は?」
一体こいつは何を言ってるんだ。自分のことはいいのかよ。
「俺は2位の霧島朔夜だ。って言ってもピンと来ないだろうから言うが、前の入部試験でガスマスク付けてペネレイトで最後まで暴走してたやつだ」
まさか、まさか嘘だろ
「なんでここにいんだよ」
ここにいる理由などない。彼は既に合格してるから、この試験を受ける意味などない。まさかドッペルゲンガーでも作ろうとしてるのか?
「言ったろ、お前を1位にしたいんだよ。お前が1位のが都合がいい。俺が目立たないし俺の目標としていい役割をしてくれる。だから俺はお前を1位にするために護衛させてもらう」
きっと”目立たないから”という理由が最もだろう。しかし俺が1位、霧島が2位になったらどうするつもりだろうか。
まぁそこはドッペルゲンガーを作らないためにも自ら死ぬだろう。そうであって欲しい。
しかし俺にとって都合がよすぎる。確か2位のやつは現実で結構愚痴を言ってた。なのに手のひら返しか? なにか企みがあるはずだ。
だが、それを対処すれば問題ないか。その企みが実行され無ければ俺にとって都合がいいのだから。
「俺はとりあえずお前を信じる。裏切ったら殺すからな?」
「もちろん」
その後、俺とガス男は場所を点々とし、生存すると同時にキル数を稼いだ。
時間が経ち、残り人数が10人となり、迫り来るゾーンによって囲われ、残り10人の姿があらわになったと同時に最初に目に入ったのは以前見た事のあるロボットだった。
「柊木か」
それは間違えなく柊木だ。
しかし彼の両隣にいるのは、最初に俺たちと戦った兄妹だった。




