*7 You have to survive
観覧車が良かった。観覧車の方が平和だった。何故かって?ここはまさに、地獄だから。
「始めるぞ〜」
は? 嘘でしょ? 観覧車の中なのに、足元にはマグマが煮えたぎり、遠くには火山が噴煙を上げている。密室のはずが、果てしない荒野が広がっていた。
これは一体、何が起きているの?
真由美を見つけなきゃ行けないのに、こんな事やってる場合じゃない。愛菜だって分かっているはずだ。
私は後ろを向き、出口を探すが、何処にも扉のようなものは無かった。
「ちょっと!出口は!? 私早く2人を探しに行きたいんだけど!?」
ラーはニヤリと笑う。
「お前はここに居ろ。俺は奴らを片付ける」
「奴ら?」
彼が歩き出すと、岩が「ガラガラガラ」と音を立てながら動き始めた。
ラーはどこからか槍を現し、口にはメタリックな黒いマスク、白衣も同じように黒く変わる。
あれはなに?私が心の中で問うと、システムが反応する。
〖ゴーレム(変):推奨ランク300〗
300!?私のランクは?
〖現在のあなたのランクは2です〗
2!?それじゃあ、あんなの勝てないじゃん。
そんなことを考えていると、ラーは槍をゴーレムに突き刺し、破壊する。私からは息をするように簡単そうに見えた。
ゴーレムは爆発し、こちらまで破片が飛んできた。そんなことは構わず、ラー(愛菜)は再び新しいゴーレムと戦い始める。
私は身を隠した。
「カタカタカタカタカタ」ゴーレムの破片が動き始めると、集まり、ゴーレムと化した。
は!? 私はでこぼこした道でも、全力で走った。幸いゴーレムは足が遅い。と思ったら、クラウチングスタートしてこちらに走ってきた。
まって、うそ、逃げられない。「ぐはっ」私はゴーレムに握られた。
「ぐああああ!」
骨をおられた気がする。ゲームなのに、なぜこんなにも、痛い。こんなの現実でしか味わったことがない。
息を吸うたびに胸が痛む。でも、ここで諦めたら、何も変わらない。ゲームなんだから、私のスキルでこいつを倒す! そのためにスキルがあるんだから!
私はゴーレムの手の隙間に液体を流し、強制的に広げさせ、私を解放させた。
あー、楽〜。と思っているのも束の間、ゴーレムは片手で私を掴もうとした。
私は後ろに避け、液体をこちらに戻す。するとゴーレムの手は「ガシン!」とくっつく。
とりあえず、さっきので液体の出し方と動かし方は何となく分かった。アイアンマンのビームを出すようなイメージだ。
でも、倒し方が分からない。相手はすぐに再生する。再生する系はアニメだと全部壊すが、私には火力がない。一体どうすれば。
「ゴゴゴゴゴ」と、下から聞こえる。こういうのは大抵、真下から岩が飛び出す!
間一髪で後ろに下がり、避けられた。よく見ると出てきた岩は手の形をしている。
ゴーレムは何をしているのか見ると、ずっと止まっている。何もしてない訳が無い。きっと何か変なことをしているはずだ。
そう考え、私はゴーレムに飛び込もうとするが、下から音がするので断念した。
やり方を考えるためにも、スキルの詳細を確認する事が必要だ。
〖メインスキル-死者の権限-〗
〖今まで倒した敵を”ペネレイト”に変え、体内に保管する。現在3%使用。〗
ペネレイト?なんだそれ
〖”ペネレイト”とは、研究でもよく分かっていない液体です。中和、蒸発、吸収されることの無い液体ということのみ分かっています。さらに密度を自由に変えることができます〗
なるほど。え、強くないか? このペネレイトを手から出せて、自分で密度も上げられるって……
「がはっ」
油断した。考えて速度を落としたらゴーレムに捕まってしまった。しかし、また同じようにして脱出する。今回はあえて脱出した後に動かず、物陰に隠れると、バレなかった。
たしか、スキル2あったよね?
〖メインスキル2-細胞の具現化-〗
〖あなたが作り出したペネレイトは、元々人や生物だったため、生物の細胞から作られています。あなたは、その細胞を動かし、形を変え、作り替えることができます。〗
なんか、こっちのスキルグロいな。でも、分かった。
よし、行くか……
物陰から出ると、真上にゴーレムが居た。さらに様子がおかしい。今まで切れ目が入っていたところにマグマが流れている。
嘘でしょ、いや、諦めない。勉強だって、諦めなかったから出来るようになった。これも、同じだ!
私は手のひらにペネレイトを集め、発射する。
ゴーレムの胸を貫いた。
「グゴオオオオオオオ」
ゴーレムの叫びがうるさく、私は耳を直ぐに塞いだ。
そのままゴーレムは叫びながら私に殴りかかった。
は? 私は吹っ飛ばされた。痛みを感じないほどに、体が熱く、私はそのまま目を閉じた。
「まじか、まさか無傷で生きてるとは」
ラーの声が聞こえ、目を開く。
彼の上の手には丸い方位磁針のようなものがあり、そこから発する光は、私の体を照らしていた。
「お前、やるな」
私はそれだけ聞き、再び目を閉じた。
最後まで読んで頂きありがとうございます!
是非、参考にしたいので感想やご意見の程、よろしくお願いします!
今回は1時間後、2話更新なのでぜひ、そちらも読んでください!
次回も楽しみにしていてください!