/11×3×2/ What she is thinking
騒然としている中、俺はまたマイクで話し始める。
「しょうがなくない! お前らの努力は、人を責める為の努力だったのか? 違うだろ。お前らはその努力の失敗によって不満は沢山あるだろうさ。もちろんそれは吐いていいと思う。でも、それを人に向けて? 相手の気持ちを考えたことあるのか!……」
頭に思い浮かんだ言葉を、ただ並べた。
なぜだか俺は、離すと同時に涙が溢れ出てしまった。
なにか、なにかあと一押し足らない。あと一押しで風向きは変わる気がするけど、これ以上なにも思いつかない。
俺が言葉を詰まらせているのに気づいたのか、2位のやつは声を出そうと口を開くが、その瞬間、別のところから声がした。
その声は、神奈さんだった。
「私は! 私は桜庭神奈、2年生です。私は去年、この部活に入部することができませんでした。しかし今年は入部することになりました。理由は、諦めなかったからです。この部活に入ることを諦めなかったから入れたんだと思います。2位の彼。彼もそうです。彼も去年入部できず、今年は2位という結果で入部することになりました。だから今年ダメだった皆さん、入部することを諦めないでください」
彼女の言葉は強く、今まで騒然としていた人も、納得しただろう。
神奈さんの言葉が終わると、人混みの中にいた柊木が拍手をし始めたことがわかった。すると周りも拍手し始め、人の都合の良さに少しいら立ちを感じた。
しかし周りが拍手をしている中、2位のやつは神奈さんをみてじっとしている。
俺が神奈さんへ集中していると、司会は俺からマイクを奪い取り、話し始める。
「さてさて、もういいかな? 神奈さんは表彰が終わっていないので、この後ステージに上がってきてください」
その後神奈さんは10位の表彰と、盛大な拍手を贈られた。
俺は部室を柊木と一緒に出て一旦クラスに戻る。
「お前よくあんなこと言えたな」
柊木は扉の前で俺に言う。
「いや、まぁ? 正しいことをしたまでですかね?」
俺がそう言うと柊木は引くような顔をする。
「ふざけんなよ」
誰もいないクラスの中、二人で笑い声を響かせていた。
しかしふと思った。
あの司会、俺を”1位にした”と言っていたが、あいつがルール決められるんか? あの人、部員に見えなかったし。一体誰だ?
俺は柊木に聞いてみることにした。
「柊木、あの司会の人って誰」
柊木は答える。
「あの人本社の人だってよ。わざわざ来てくれるなんて優しいよな」
本社!? 本社で俺の事気に入ってるとか言うやつ、時音しか居ないじゃん。てことはあの人が時音? でもなんで俺を1位にさせる必要があった? トップ10の中に入れるとしても神奈さんと逆で10位とかでいいだろ。なんで神奈さんを10位に?
分からない。本当に分からない。
だから柊木に聞く。
「柊木、なんで俺が1位になったと思う?」
すると柊木はあくびをしてこたえる。
「しらね。お前がそんだけキルしてたんだろ」
「1位になったら何かあるん?」
「1位になったら本社へ見学行ける。いいよな〜」
柊木は平気そうに喋るが、この話しをすること自体が辛いだろう。
にしても、まさか1位は本社へ行けるのか。一体時音は何を考えてるんだ?




