/7×9+2/ I decided
俺は神奈さんとの会話を終わし、再び部室へ戻った。
再び部室の中に足を踏み入れると、既に表彰式が始まっており、俺は目立たず中へ入ることが出来た。
既に4位まで発表されており、一時的に置かれたステージのような場所から人が表彰されている。
後ろを見るとカーテンがかかっているが、部活見学の時に見た部活専用のログインする場所があると予想できる。カーテンで隠しきれていない、動線とかがカーテンの隙間から見えているからだ。
「続いて、第3位。七海杏奈さん」
はい! と返事もせず、杏奈はステージに上がった。
すると司会の表情は変わり、杏奈へ定型文の賞状を読み、渡した。
降りてくる杏奈の表情はどこか暗かった気がする。
彼女が降り、人混みの中に戻ったところで司会は話し始める。
「第2位、霧島朔夜さん」
杏奈とは違く、彼は「はい!」と返事して向かった。
賞状を受け取り、降りてくる彼の顔は杏奈と違い、喜んでいる様子だ。
2位。彼はまさか、ガスマスク男? そう考えるが、決定的なことは何も無いので断定は出来なかった。
彼が人混みに入った途端、急に我に帰った気がする。
嫌だ。
「1位。長谷川和也さん」
俺が足音を立てた途端、一気に皆の視線は俺に集まり、彼らの目からは怒りを感じられた。
俺は下を向きながら歩いていき、ステージの上に上がる。
司会は俺を見てニコニコと笑い、定型文を読み、賞状をくれた。
しかしその司会は俺に手招きをすると、耳元で言う。
「君は本当は11位。私が気に入ったから上にあげた。本当の1位は神奈っていう人なんだ。神奈は10位の時に呼んだのだが、居なかった。居場所を知っているかい?」
俺はすぐに彼女から離れ、わざとらしく大声で言う。
「誰が教えるかよ。てかなんなんだ、なんで俺が1位だ。神奈さんが1位なら神奈さんを呼べよ!」
俺がそう言うと、場が凍った。シーンという音が聞こえたと言えるほど、静まり返った。
すると司会は俺の肩を掴み、呆れたように言う。
「馬鹿だなぁヘイトを彼女に向けてどうする」
俺はすぐ神奈さんを探し、扉のところにいるのを見つけた。
しまった
気づいた時には遅かった。俺の視線に誘導され、周りの人は皆、神奈さんへ向けた。
皆の視線が向いたところで、先程の2位の人の声が部室を響かせた。
「お前の蟻地獄のせいで、どれだけの人が絶望したのか分かってんのか!」
彼がそう言うと、便乗するかのようにほかの人たちが「そうだそうだ」と乗り始めた。
やめろ、責めないでくれ。
俺はそう思いつつも、声に出せなかった。
神奈さんの表情はどこか遠くを見ていて、何を考えているのか全く分からない。
彼女が足を1歩引いたところで、司会は言い始めた。
「そこであの神奈を止め、倒したのがこの和也さん! みなさん、彼に拍手をしましょう」
司会の言葉に乗り、目に映る人全員が拍手を俺へしていた。
「ふざけるなよ」
俺は勇気を振り絞り、司会のマイクを奪い取って話し始める。
「なぜ彼女に罵声をあびせた。彼女へ罵声をあびせて何になる。代わりに自分が入れると? なわけがないだろ、バカバカしい。悪いのは神奈さんか? 生き残るために最善を尽くした神奈さんか? 違うだろ。生き残るために努力しなかったお前らが悪いんだ」
俺の言葉を聞き、また静まり返った。
すると2位のやつが、反論し始める。
「はぁあ!? 我々も努力したんだわ。その努力を全て無にしたのがあの人ってことだ。あの人を責めてもしょうがないだろ」
するとまた場は騒然とし、彼に便乗した。
なんなんだよ、神奈さんを弁護できない。
そんな中、俺はまた話すことを決めた。




