/52/ Thank you
やはり、生きてるか。
俺は神奈さんの胸、心臓を貫いた。しかし彼女の体は暴れるように動きだし、こちらを向こうとするが、彼女の頭をうさぎの人に抑えてもらい、目が合わないようにしてもらった。
「サンキュ〜」
そうは言ったものの、身動きが取れない。力を緩めたら絶対に動き出すから、こんな好機は逃せない。それに両手で貫いた槍を抑えてるから、試験管を取り出せない。
俺は周囲を見渡すが、頼れそうな人がいない。皆自分のことで精一杯だ。誰か、槍を抑えてる係の人いないのか。
いや、いる。いたぞ、従順なやつ、化け物だ。
俺はすぐに化け物の方に目をやるが、既にやつは手以外すべて飲み込まれていた。しかし、関係ない。
「こい! 白黒化け物!」
俺はそう叫んで、槍への力を緩めないために、より力を入れた。
埋まった。やりが彼女の再生に影響されて埋まってしまった。縦、横に動かしても動かない。
そんな焦っている中、やっと、俺の後ろに化け物が現れた。
「やっときたか、これ抑えとけ」
俺が槍を離したと同時に化け物は腕をのばし、俺の槍を抑えた。化け物のからだを見ると、上半身以外は白い方しか残っていなかった。
片足だが、まるで両足があるかのように、立っているように見える。
とにかく、俺は試験官とゴム栓を手の上に現し、ペネレイトを取り出す準備を始める。
一体これは何度めだか。
俺は神奈さんの顔へ思いっきり拳を振るい、鼻血を出させる。これを見て、うさぎの人は驚いた様子だ。
「あんた、私たちにこんなことをやらせておいて、ただ殴るだけ!? それで私たちが抑えられなくなったらどうするわけよ!」
ごちゃごちゃうるさい。再生して鼻血出なくなっちまったじゃねぇかよ。
俺はとにかく、殴り、殴った。
すると再生速度がやや遅くなり、鼻血が引っ込まなくなった。
今だ!
俺はすぐに試験管の中にその鼻血を入れ、ゴム栓で閉めた。量はラムネ1粒ぐらいだろうか。十分だな。
試験管の中に入った赤い血の量を眺めていると、また小動物の人に怒られるので、すぐに次の段階へ進んだ。
次の段階へ進もうとした瞬間、試験管の中の血が暴れ始める。
特殊加工の試験管なのにヒビが入った。本当に早くやんないとやばいな。
俺はしゃがみ、神奈さんの腹に試験管の底を当てた。そのまま沿うようにして頭まで持っていく。
沿った場所から、集まるようにしてうねり、まるで磁石に集まる砂鉄のようだ。
俺は口元へ来たところですぐに体から離す。
「抑えろ!!」
俺はそう叫び、2人に抑えることをより意識させる。
そう叫んだ瞬間、神奈さんの目は白目へと変わり、口から大量の黒い液体、ペネレイトが放たれる。
「多!」
あまりの多さに、つい声が出てしまった。一体何人取り込んだんだか。
しかしやはり多すぎるので、試験管に集まった大量のペネレイトは俺の手、腕にまで巻き付き、入り切らない。
どうする。保管場所がない。
俺は、咄嗟に化け物を見た。
いや、今回はしょうがないか。後々回収だな。
俺は大量のペネレイトが巻きついた腕を、化け物の体に差し込み、貫く。
するとペネレイトは化け物自身のペネレイトと交わり、互いに吸収し始める。
流石に多すぎるのか、いままで見えていなかった白の仮面の下の口を開き、苦しそうに叫んでいる。
流石に任せっきりは良くないので、試験管をかざし、試験管いっぱいにペネレイトを収集した。
すると化け物は槍から手を離し、倒れた。
「ありがとう」
俺は初めて、化け物へ感謝した。




