/48/ Come on
その姿は、以前見た時と変わらなかった。だからすぐに分かった。
銀髪、淡青色の瞳、薄布のローブ、指先まで覆う手袋。最も特徴的なのは、腰にある魔法の杖だ。これはカスタマイズできるが、こんな綺麗なカスタマイズは見たことがない。
だから俺は、すぐにこの人が時音だと分かった。
なぜここに彼女がいる。関わるのはもっと先だろ。
時音は拍手しながら話し始める。
「いやぁ、君の戦い方は本当にすごいよ。なんて言うの、無駄がないっていうか、私の戦い方と似てる」
なんだ? それを言うためだけにここに居る訳が無いだろう。なにか、なにか他に目的があるはずだ。
「何の用ですか?」
「ん? 何を言ってるんだい君は。ここは、バトルロイヤルでしょ? 戦う用以外何があるのかな?」
まじかよ、なんで時音が入部試験に参加して戦おうとしてんだ。この時期の彼女はもう大人のはずだろ。
まさか、俺が介入しただけでここまで変わるとは。
時音は魔法の杖を構えて、俺と戦う姿勢をとる。
やるしかない。この時代ならまだ勝てるかもしれない。
「まず自己紹介してあげる。私は時音。スキルは『銀魔法』と『空間魔法』この2つよ。そちらは?」
明るい。彼女はこんなに明るかっただろうか。時音は必ず戦う前に自己紹介する。恐らく時音自信が勝った時により悔しくさせるためだろう。
どうせなら、この世界の初対面を変えてしまおう。
「俺はラー、スキルは『数式』と『ビーム』だ」
「なるほど、ゲーム名ね。私が勝ったら本名教えてもらおうか」
俺は槍を構え、戦える準備をする。
彼女と俺は見合う。一瞬の隙も許されない気がする。
杏奈と神奈さんの刃が交わり、激しい音を立てた瞬間、時音は消えた。
ここはどうくる。正面? 後ろ? 相手が右手に槍を持って戦うとしたら……左斜め後ろか。
俺は槍をナイフに変えて左手に持ち替え、槍に変えて左斜め後ろを守る。するとちょうど守ったと同時に、彼女は後ろへ下がった。
後ろへ下がった彼女の頬からは、擦り傷で血が流れていた。
「あなた、私と戦ったことある? そうでなきゃあの攻撃を防げない。それに槍だって別の手に持ち替えてるし、槍の両端が鋭いということを、隠していた。つまりは偶然傷を与えた訳でもない。あなた何者?」
「ただの学生だ」
するとまた彼女は消える。
これの仕組みはいたってシンプル。俺の周りの空間を歪めさせて、あたかも時音が居ないかのように見せてるだけだ。だから、この空間から抜ければ時音の姿を確認できて、攻撃できるようになる。
かと言って簡単に出れるわけではない。例え走ったとしても時音は俺の周りだけに空間を作るから意味が無捻い。物理的じゃないから壊すことも出来ないし。カウンターも毎回きくわけではない。どうする。
俺はとりあえず、槍を構え、次の攻撃に備える。今は右後ろに構えている。だからまた左前。いや、ここは捻って右後ろ来るかもしれない。どっちだ。
「なっ、」
俺は反射的に体を捻って避けられたから良かったが、流石に当たってしまった。
「これも避けるって、あんた、本当に一般人?」
そう言うと、俺の傷だけでなく、全身が切れるように裂け、血を多量に出してしまった。くそ。いつの間に。やはり、この勝敗は変えられないのか。いや、まだ諦めるんじゃない。なにか方法はある。
「俺の自然再生速度をy(縦軸)、毎秒をx(横軸)とする。そのとき、xとyの関係式はy=3x」
すると俺はみるみるうちに回復していき、傷も薄れていく。しかし時間がかかる。Mpは今の俺と比べて100倍以上あっても、完全回復までには4分の1使いそうだ。
「なるほどね。『数式』ってそう使うんだ」
時音は俺の事を興味深そうにみている。これは、チャンスなんじゃないか。
俺は今装着しているマスクが壊れるくらい、叫んだ。
「こい! 杏奈!」
次は今日の11時に投稿します! お楽しみに




