/(50÷2-5)2/ Why are you
嘘だろ、あいつ、やりやがった。
俺と杏奈が気づいた時には既に、彼女の首に刺さった注射器の中は無くなっていた。
なんで神奈さんは気づけなかった。まさか、Mp切れ? さっき俺を助けるために使った埋葬スキルで、Mp切れを起こした? そしたら、俺のせい?
俺は絶望を感じた。
注射器を刺された彼女へ、体が動かなかった。
頭がぼーっとする。何も聞こえない。なんだ、何が起きてる。
「や……ずや……和也!」
杏奈の声に、ハッとした。
俺は杏奈の方を振り向くが、彼女は焦った顔をした。
「馬鹿!」
俺は正面を振り向くと、そこには神奈さんが、俺の首を刀で切ろうとした。
しかし、その刀は俺に届かず、杏奈が作った壁によって防がれた。
「あ、杏奈、ありがとう」
俺はすぐに神奈さんと距離を置き、槍を構える。
勝てるか。神奈さんに? いや、こっちには杏奈がいる。
神奈さんは刀を地面に刺す。
まずい
「ジャンプしろ!」
俺は杏奈に指示をし、2人でジャンプする。しかし、神奈さんに異変を感じた。声が二重に聞こえるだけでなく、何かが違う。
『弔いの歌:埋葬』
俺たちの下の地面が歪んだ。これは着地点を変えれば大丈夫。
しかし、その蟻地獄のようになった地面の下から、黒い液体が伸び、俺の体を縛って地面の中に引き込まれた。
地面の中は暗い。今回は埋葬とは言っても、長時間いると”火葬”されるやつでは無さそうだ。今回は炎も見えないし、熱くもない。
なんだ、何が起きる。
すると砂が俺の周りに寄ってくる。まじかよ。窒息か。今回本当に埋葬だ。
俺は槍を出そうとするが、出せない。スキルの効果だろうか。一か八か、やってみるしかない。
「俺の足元を原点、俺を1とし、ビームの1部とする。縦をy横をxとした時、ビームの座標はx=1」
すると俺の周りは砂ではなく、ビームへと変わる。それと同時に、俺はビームの先端と一緒に上へ飛んだ。自分でも分からないスピードで、飛んだ。
何が起きて……まさか、俺をビームの1部にしたからか。こんな欠点があったなんて。いや、でも前、ビームの1部としたはず。なんだ。一体なにが。
俺はビームを放つのをやめ、急行落下する。
えっぐ、唇がブルブルする。
どうする。どうする。これ落下死だろ。
体を大きく広げて空気抵抗を大きくする。
周りを見渡すと、更地になってしまったので、どこで、どのような戦いが起こっているのかが分かる。しかし、どの人達も共通して、俺の方に向かってくる。なぜだ。
すると後ろから大きな音が聞こえる。
後ろを振り向くと、柊木だ。
「柊木!」
「は!? 和也かよ」
柊木は驚く様子を見せながらも俺の脇をつかみ、移動しながら降下する。
俺は足が地面につき、着地しようとするが、まだ柊木の体の表面が赤い。スキルで飛んでいるんだろう。飛んでいるので地面に足をつけられない。
すると柊木は先程杏奈と俺がいた場所よりも、遠く離れた場所で着地した。俺もそれと同時に着地するが、慣性によって倒れてしまった。
「うぇ」
俺はすぐ立ち上がる。
早く杏奈の元へ行かないといけない。なので俺は柊木に行った。
「さっき俺がいた場所まで連れて行ってくれ」
すると柊木は口を聞かず、こちらではなく元いた場所を見ている。まだ神奈さんのことを怒っているのか。
「お前、さっき真上にビーム出し続けたから、周りのやつが集まってきたぞ」
なら、なおさらはやく行った方がいいだろ。
しかし柊木はここに来させた。なぜ?
「なんでここに連れてきた」
柊木はこちらを見て、言う。
「お前は弱い。だから、ここで俺を倒してみろ」
なんか今日は侮辱されまくった日だ。腹が立つ。
「そんなこと言うなら、そっちから来いよ。前言撤回させてやる」
俺はそう言って槍を構える。
対し、柊木は棒立ちし、無防備な状態を見せる。しかしやはり無防備とは言えず、装備された武器は全てこちらに向けて発射準備をしている。
「さぁ、来い! 和也!」




