*4 Let's start the game
私達は着替えを済ませて、更衣室の奥の扉へ向かった。それと同時に他の人たちも更衣室に入ってきて、賑わってきた。
「この扉の先に何があるの?」
真由美は答える。
「エレベーター」
嘘でしょ?ここに?
私は真由美を2度見した。確かによく見るとエレベーターの上下のボタンがある。愛菜がボタンを押して扉を開けると本当にエレベーターだった。
私達は中に入り、真由美が4階のボタンを押した。しかし、このゲームセンターに4階も無いはずだ。
するとエレベーターは上ではなく下へ降りていった。納得だ。
「2人ともカードは持ってるよね?」
愛菜が聞くが、大丈夫。ちゃんと持っている。2人が持っていくのを見たから慌てて持ってきた。
エレベーターが着くと、近未来な場所が!? ということはなく、またカラオケの道のようなところだった。少しSF映画のような場所に着くと期待してしまった。
「そんじゃ私ここでー」
「じゃ私その隣の部屋ー」
今回はすぐ手前の部屋に入るそうだ。しかし2人とも違うから、どこへ行けば良いのか分からない。だから空気を読んで真由美の隣にした。
「ここからは指示してくれるから。あとチュートリアル終わったら私達探してねー」
そう言って真由美と愛菜はドアノブにカードをかざし、部屋の中へ入った。
行くしかない。そんな思いでカードをかざして部屋に入る。
天井にはライト。目の前には「上に上がってください。」という画面が表示されている小さなテレビ。すぐ下を見ると、円形に並べられた分厚い六角形、中心に五角形のタイル。
私は五角形のタイルの上に乗る。すると下からこの図形を囲うように壁が上がり、天井に着いた。上に着くと「ガシャン!」という大きな音と、心臓の鼓動が聞こえる。
〖マスクを付けてください〗
音声が聞こえた。受験ぶりの焦りを感じる。いや、それ以上だ。マスクなどない。それに、真由美も愛菜も持っていなかったはず……
どうしよう、周りに人は居ないし、マスクがないと呼吸が苦しくなるなどがあるのだろうか。
「マスク無いです!」
〖右の腰にあります〗
そう言われ、腰を確認すると服の時よりも小さい箱が付いている。私は他に誰も居ないのに恥ずかしかった。
マスクだからやはり顔に付けてボタンを押さなければいけないのだろうか。
私は息を止めて付けてみる。すると顔から頭の後ろまでスーツと繋がるように広がったのがわかった。白いマスクで、思っていた以上に息がしやすい。
〖スタートしますか?〗
準備し終えたのを確認したのか、音声が聞こえた。
「スタート!」
私がそう言うと、上からピンク色の水が大量に流れ始めた。私がそれに驚き、焦ったが、気付いた時には腹の所までその液体は溜まっていた。
「はぁ!?」
〖身を委ねて下さい〗
私は諦めて言われた通り目を閉じ、身を委ねた。
水が満たんに溜まったことが分かる。最後の一滴の音。私から出る泡。機械の音。草の匂い。人の声。歩く音。
ん? おかしい。目を開くと、そこは見知らぬ場所。私は道の真ん中に立っていた。
周りには中世の服、鎧や革の服を着た人や現代の制服を着ている人。スーツ。近未来の服。布。などだ。それに対し周りの建物は木造で、どうも現代とは言えない建物をしている。もしかして、
「死んで異世界転生した?」
〖おはようございます。チュートリアルを始めます〗
違うらしい。安心して下を向くと地面が草ではなく、黒のコンクリートに変わっていた。
驚き見上げると自然豊かな場所ではなく、殺風景な場所に変わっていた。