/11×3×1/ Practice
嘘だろ。もしかして、これら全員が参加者か?
ロビーなので体を通り抜けられるから良いが、この多人数でバトルロイヤルするとしたら、どうなる事やら。流石にないと思うが。
俺は人々を通り抜け、広場の噴水を過ぎ、ゲーム受付まで来た。受付で柊木の作った”練習場”のマップを探すが、無い。まだログインをしていないのだろう。
俺は代わりに自分の”練習場”に入り、武器の練習をする。
ここでは自分で武器をカスタマイズしたり、この練習場自体をカスタマイズする事も出来る。しかし俺は何もやっておらず、初期の練習場だ。
ただの初期の練習場でも、十分使いやすいからこれ以上やる必要は無い気がする。
俺は以前仮で使った槍をアイテムボックスから出し、いつも使うナイフと槍を切り替えられる武器をもう1つ作った。さらにその作った武器といつもの武器。同じもの同士を合体させる。
元になるこの槍は耐久力が低くならないと、作れない。ちょうど激しい戦いをして、空いた時間ができたので武器を強化できる機会ができて良かった。
よく見ると、今までの槍よりも刃は長く、ナイフも刃は長くなっている。殺傷能力が高くなって使いやすくなった気がする。いいね。
すると杏奈が自分の練習場に現れる。
杏奈と柊木はいつでも入れるようにしておいて良かった。わざわざ招待するのはめんどいからな。
俺は武器を見るのをやめ、手招きをし、練習場の闘技場の所まで案内した。
「しゃっ、勝負じゃい」
俺は杏奈と10m程の距離を置き、先程作った槍を構える。杏奈は少し戸惑うが、すぐに反応し、手から黒い液体でできた塊を現す。
〖フレンドリーファイア オフ〗
システムの声と同時に、足に力を入れて風のように勢いを出し、瞬時に距離を詰め、横から槍で切ろうとしたが、彼女は既に液体で盾を作っていた。その事も俺は見越し、彼女の盾にぶつかる前にナイフに形を変え、そのまま真っ直ぐに行く勢いで、彼女を突き刺そうとする。
しかし彼女の液体はまるで横に重力があるかのように、流れるように移動し、俺のナイフを防いだ。
「嘘だろ、まじかよ」
杏奈はその盾と同じ形で、こちらに引き寄せられるかのように、俺のナイフを防いだ液体が伸び、俺を押す。
ただ押されているだけなのに、滝にでも打たれている気分だ。変幻自在の液体を操るなんて、本当に強すぎる。
「杏奈、今ランク何だ?」
俺は話を持ち出して隙をつこうと考えた。映画おなじみだ。
「私はぁ今は64」
64!? そうか。そうなのか。いくらこのゲームのスキルの数が人の数だけあるとはいえ、こんな、嘘だろ。スキル強すぎだろ。
「杏奈、絶対に柊木に言うんじゃないぞ。多分落ち込むから」
杏奈は「分かってるって」と言うが、今までの杏奈を知らなくとも、少し信用出来ない。
すると杏奈は俺に問いかける。
「あなた、本当にあのラー?」
杏奈はそう発した瞬間に腕を組み、油断を見せる。
今だ!
俺は再び勢いよく槍で突き刺そうと、彼女へ向かって槍を伸ばす。
杏奈は反応できず、俺は彼女の腹を貫く。が、周りには黒い液体が飛び散った。
まさかと思い、貫いたあとすぐ後ろを向くが貫いた彼女と思われる者しか見えない。
いや、彼女はそんな簡単にはやられない。
すぐ構えるが、俺の耳元で優しい声が聞こえる。
「ドン」
気づいた時には恐らく本物の杏奈から弾かれており、俺のHPはわずかとなった。
俺はすぐに立ち上がり、槍を縦にして彼女へ伸ばす。
「槍先を原点とし、縦をy横をxとする。その時、ビームの座標は……」
タイミングを計らい、詠唱を中断する。俺のスキルは、全ての言葉を紡ぎ終えた瞬間に発動する。そして、この「溜め」の状態を維持できるのは、わずか40秒。それまでに彼女が動くか、あるいは俺が動くか。
動かなければ、溜めた力は霧散し、俺の負けが確定する。静寂が、まるで秒針の音のように、俺の息を削っていく。
ならば、待つしかない。
しかし彼女はただ立つだけ。俺に仕掛けてくる気配もない。そのまま時間は過ぎていく。
まずい、残り20秒ぐらいだろうか。半分を切った。なら、やるしかない。
すぐに走り出し、勢いをつけて彼女へ槍を投げる。
すると杏奈はやりを掴み、黒い液体で抑える。
きた、今だ
「y=2x と y=x と y=-2x」
すると槍先から縦に、斜めに、ビームが伸び、彼女を貫いた。
Mpが全て無くなり、倒れる。やったか。
すると先程ビームを与えた場所から黒い液体が伸び、自分の体を再生している。しかし、システムは既に倒された判定をしており、
〖フレンドリーファイア オフ〗
と流れた。しかし彼女は再生を続け、ただ立っている。
すると杏奈は動き出し、俺へ襲いかかる。




