/13×2/ 1V1
なんなんだ、あれ……
目の前には第2形態となった姿の柊木。彼が身につけているロボットはより赤くなり、武器のパーツがどんどん外れていく。
俺は彼に攻撃をせず、ただ変身するのをじっと見守っていた。
その姿は先程までの姿はごつく、スタイリッシュでいたが、第2形態の姿は洗練され、無駄のないデザイン。ただそれだけだった。
「カチン!」と金属のハマる音を立てながら、彼の姿は現れた。
よりスタイリッシュになった彼の周りには、先程外れたロボットの武器が浮いている。
「おいおい、勝てる気がしねぇ」
Mpは自然に回復して満タンに回復したは良いものの、体力はミリ。さらにはあの武器たちの攻撃から、全て避けられる気がしない。そんなポテンシャルはない。
一応槍を構え、次の攻撃に備える。
そんな時に、ある考えが思い浮かぶ。
そうだ、あいつは割とノリがいい。多分。だから……
「なぁ、一発勝負で決着をつけないか?」
彼の顔はマスクで見えないが、動きが止まり、答えた。
「いいだろう。その代わりまた少し待て」
するとまた何かぶつぶつ言い始めた。しかし距離が近くなったからなんと言っているのか分かる。
「75 98 145 24 14 00 123 第2形態 『Other』」
なにか数字をつらつらと言うと、周りに浮いていた武器、さらに柊木が身につけている装備が外れ、左腕に集まり、様々な武器がこちらに向かって並んだ長い武器1つが出来た。
「動いたら殺すからな」
それはこっちのセリフだ。
俺も数式を唱え、1発に備える。
「槍先を原点とし、縦をy、横をxとする。xは彼の座標。その時、ビームの座標は……」
その後を言わず、ただ見合っていた。
すると彼が、引き金を引く。
それに反射し、すぐ自分も言う。
「y=9x+10」
自分にスレスレのビームが、彼へ向かうと共に、彼が発射したミサイルや銃弾が、赤いオーラを纏って自分の元へ迫る。
同時にビームと銃弾が重なり合い、ビームが勝り、彼を貫き、倒れるのを見た。
勝った。勝ったぞ!
正直勝てると思ってなかった。こちらの作戦勝ちだな。やはり、結果が全てだ。
勝利の達成感に浸っていた瞬間ーー
「ぶはっ」
何かわからない。ただ、金属に思いっきり横からぶつかった。
倒れてしまい、すぐに見上げると、柊木の腕に着いていた銃。それが俺に銃口を向け、赤いオーラを纏った弾丸を放ち、俺の頭を貫いた。
貫いたはずなのに、なんで能力使えんだよ。
〖Game set winner Hi you !!〗
負けた? 俺が? いや、自身があった訳ではない。ただ勝ったと思ってた。
すると体半分貫かれた状態の柊木が、姿を現した。彼の様態を見る限り、負傷した部分をパーツで補うのにやっとのような姿だ。
「お前、すぐ勝ったと思ったところがダメだったな。間一髪で胴体を外し、重症を避けた。残念ながら、結果が全てだ」
気づけば柊木と俺の体の傷はすべて消えていた。そういえば、このゲームでは勝敗が決まると自動で全回復するんだったな。
立ち上がり、柊木の横に、並んだ。
「お前、あの数式をすぐに思いついたな。数学得意なのか?」
俺は反応し、互いを褒めあった。
「お前こそ、まさかビームを死角に攻撃を仕掛けてくるなんて思ってなかった。盲点だったよ」
そう言うと、柊木は片手で俺のことを押し、俺は倒れてしまった。
「何すんだよ」
そう言うと、柊木は俺に手を伸ばし、言った。
「盲点への気づきが人を成長させる」
柊木は口元にわずかに笑みを浮かべ、俺も思わず頬が緩んだ。
俺は彼の手を取り、立ち上がる。
立ち上がると「カチ」と言って周りの背景が変わり、殺風景な場所が、いわゆる「コロッセオ」と変化した。
「みさしてもらったよ」
そう言い、入口のような影で、暗い場所から女性が現れ、俺たちの方に近づいてきた。
誰だ。いや、まて、まさか
「私は七海杏奈」




