*21 I am
そこには、1人の頭のない学生がいた。しかし、彼女の首元から、新しく、黒いのっぺらぼうの様な顔が現れる。
まずは、1人。
私はやっと、1人をペネレイト化に成功させた。
ペネレイト化させた佐々木は、私の体の中へ入っていった。
〖ペネレイト保有率10%〗
ほう、一気に増えた。この量なら、自分は不死身なんじゃないか? いや、とにかく、次は神威だ。
「パン」と鳴り、神威の姿が消え、すぐ目の前に神威が現れた。対応できず、そのまま押されて倒れてしまった。
それに、痛みを感じる。
「しねえええぇえ」
神威は私へ剣を振りかざすが、ペネレイトで彼自身の体全てを包み込んだ。
「私に勝てると思うなよ」
私は手からペネレイトを出し、その形をすぐに剣の形に変える。鋭くし、神威に振りかざす。また手応えがない。
「また逃げやがって」
辺りを見渡すと神威がおらず、上に奴はいた。
私はペネレイトを彼に向かって勢いよく放出し、黒いビームを放つ。
〖ペネレイトを使いすぎです〗
「はぁ!?」
こんなので、もう10%を切ろうとしてるのか。今までのは……そうか、再生や繋げるためにしか使っていなかったからか。
〖佐々木の力を使いますか?〗
「え?」
佐々木の力って、なんだ? 暴力?
神威は相手がなにかと話しているのを確認し、チャンスだと考え、「パン!」と手を鳴らす。
くる! 私はすぐにビームを止めたが、何も無く、ただ神威は変わらず、時音も変わらず、何も変わっていなかった。
騙したな
すると時音が拍手をし始める。彼女は門番なので、何も気にしない。
すると神威は私の後ろに剣を構えて現れ、そのまま横に切る。
彼が再び逃げる前に、私はその切断部分から多量のペネレイトを放出させた。しかしまた手応えがない。
いつの間に瞬間移動を。まさか、時音のせいで神威の音が聞こえなかった……彼女の、たかが拍手のせいで!
すぐに時音の方に向かうが、歪んだ壁のようなものに阻まれる。しかし、あの時の病室のペネレイトの様にして、彼女の歪みを突破し、彼女の顔にめがけて剣を振る。
その時、後ろの扉が開いた。そこから現れたのは、あの憧れの人。
私はその衝撃に、また彼女に気を取られてしまった。
「放て」
彼女の静かな声を聞いた瞬間、私は一瞬にして吹き飛ばされた。
痛い。苦しい。再生するも、痛すぎて動けない。
「放て」
彼女の声が、また聞こえた。すると彼女は一瞬にして私の元へ時音と一緒に現れ、時音は私の頭を掴んだ。
対し、憧れの人は、私を掴む時音の手の上に手を重ねた。私は何も抵抗しなかった。出来なかった。
「動いたら、一生普通の生活には戻らせないからね」
時音は目の色を変えてそう言い、続けて隣の人に問う。
「こいつは、空間を固めてもそれを突破してきた。でも、あなたの『チャージ』で私の能力を強化すれば、より硬いのができるよね?」
時音の質問に、憧れの人は答える。
「あんた、能力なんだっけ」
彼女の質問に、時音は答えた。
「説明しにくいんだけど、イメージして欲しいのは、ゲームの『ラグ』を操る的な? デメリットはすごいけどね」
彼女たちが話している間に攻撃を……したいところだが、精神的な痛みが勝つ。もう、疲れた。普通の生活に戻りたい。
「ここでの記憶。この施設で起きた、ゲーム以外の記憶だけに『ラグの壁』を作って封印する。思い出すかは彼女次第。普通は思い出せないが、彼女は分からないからな。彼女はまだ若い。私としても、幸せになってもらわなきゃ困る」
彼女らの手のところから、広がるように私全体を苦しませた。
視点が、全て歪んで見える。苦しいと共に、なにかスッキリしている。なにかが、なにかが足りない。
なにかが無くなった。それがなにかも分からない。
私は、私は七海杏奈。うん。覚えてる。大丈夫。




