*17 How to go out
引き出しの中には、部屋の鍵があった。ということは、お分かりの通り。「部屋の鍵を閉める」
まずは「部屋の鍵を閉める」理由が必要。どうしようか。「鍵を閉める」=「引きこもる」では? いや、まてよ。中学三年生って、思春期で、反抗期の時期だよな? 使える。
私はすぐに引き出しから茶色の付箋を取りだし、ずっと愛用している、受験の時にも持って行った黒のシャーペンを手に取った。
すぐに「カチカチ」と0.3の芯を出し、付箋に文字を書き始めるが、「バチン」とすぐに鳴り、折れる。
また出して書くが、今度は太くなったので、芯を抜き取り、反対向きにしてそーっとペン先から芯を入れた。
おかげで芯が削れ、手が汚れた。さらに書こうとしていた付箋も汚れてしまった。
「ああー、やり直しだ」
先程書こうとしていた付箋には、ただ捨てるのには勿体ないので棒人間を沢山書いて、捨てた。
新しい付箋にまたシャーペンで書こうとするが、見えないと考え、すぐマイネームを取りだし、細い方で書いた。
書き終わったら、ぬいぐるみをかき集め、布団の中に人型になるように入れた。
立ち上がってそれを眺めると、人に見えなくは無い。これをする意味はほとんど無いが、保険として良いだろう。
音を立てないようにそっと扉を開き、先程書いた付箋を扉にくっ付けた。
少し後ろに下がって読めるかどうか確認する。、
「ごめん。眠い。食欲ない。今日は1人にさせて」
完璧だ。
すぐに部屋に戻り、扉を閉め、鍵をかけるが、そっとやるのを忘れ、少し大きな音が鳴った。
私はやらかしたと思い、音を立てないように騒いだが、幸いな事に聞こえなかったのか、母は私の部屋に上がってこなかった。
「ラッキー」
私はすぐに服を脱ぎ、机の上にあった箱を装着させる。するとまた、登録されていた服。ゲームの服へと変わった。
彼女が入ってきたであろう窓に、足を置き、窓を掴んでバランスを保ちながら、未来の私に伝えた。
「行ってきます」
彼女の顔は見えず、「行ってらっしゃい」の言葉も聞こえないまま、私は外へと飛び出した。
屋根の上、車、庭、地面という順番で下っていき、まるで憧れの映画のような私の行動に、嬉しさを覚えた。
そのまま走って行き、近くのコンビニの所まで着いた。あと少し。
私は左側通行になってしまうが、目の前の信号のない横断歩道を渡ろうと考えた。奥まで行くと信号を渡らなければ行けないからだ。
右と左を見て、車が来ないことをよく確認し、横断歩道を渡る。
すると「プー!!」とクラクションの音が私の耳元で響き、気づいた時にはトラックに跳ねられていた。
左側は衝突の衝撃。右側はアスファルトの強烈な摩擦により、骨折と流血。二つを味わった。
こんなの、ゴーレムの時よりも痛い。
「だ、だれか!救急車!」
周りの人の声が聞こえる。
焦っている人達の声は聞こえるが、スマホを触っている人は動画を撮る仕草、他はみんな私を見るだけで、救急車を呼ぼうとしない。目立ったのは一人の男。たった一人で拍手している。
どうなってんの? 狂ってる。
トラックは私をひき逃げしており、どこに行ったかは分からない。私はそれに対し強い怒りを覚えた。
今までいなかったトラックが急に現れる。どんだけスピード出してんだか。
天を見上げた。太陽は眩しく、いい天気。
しかし体は逆に冷え、痛みすら感じなくなってきた。
こんなことで、私は死ぬのか。なんで? こんなことで? もうお母さんに会えない? 大学も行けない?高校にも?
私は未練を残しながら死ぬことに、悔しがった。
しかしおかしい。こういうのはすぐ目を閉じて意識を無くすものじゃ? じゃあなぜまだ意識が……
「誰か助けてください!」
体を動かさず、助けを待っているが、来ない。
不思議なほど人の声が、プツンと切れたように聞こえない。
すると「パン! パン!」と手を叩く音が2回聞こえ、すぐ目の前には下からみたゲームセンターの景色が現れた。
「誰かー起き上がらせてくれませんか?」
力が入らず、起き上がれないので、周りに誰かいないか、起き上がる協力を求めるが、誰もいない。誰の声もしない。まるで朝早くかのように。
私は奇妙に思い、試しに叫んでみた。
「助けてくれたらパンツ見せます!」
すると「パン!」と手と手を叩く音がし、目の前に人が現れた。彼は私に手を差し伸べている。
「大丈夫ですか?」
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