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Overwrite -オーバーライト-  作者: もちぷよ
This is the start
14/81

*14 Is it real ?

「君に頼みたいことがある」彼の言葉には何かもっと意味があると思った。


周りには拳銃を構えた人達。急に頼んでくる謎の人。私は彼の意見に拒否した場合、恐らく殺され、賛成した場合は生かす。というような2択だろう。そんな事くらい状況を見れば誰でも分かる。そんな状況だ。


私はとにかく生きることだけを考え、彼の話に集中した。


「頼みって、なんですか?」


「簡単な頼みだ。この施設に通ってもらう。ただそれだけの事だ。」


え? これはまさか人体実験の可能性? 恨みを買ったような覚えしかないが、まさか恨みがないなんてことはないだろう。


「なんでですか?」


「理由は君が承諾してから話す」


「私にとって不利な契約は出来ません。理由だけ、内容だけでも説明してください」


これで労働なんて言われたらごめんだからだ。不利な立場でありながらも、強気でいるよう努力した。


「わかった。じゃあ(つかさ)、説明を頼む」


溜息をつきながら彼は先程倒れた「思春期」の男子に投げかけるが、応答がない。

そのことに先程殴った結が、その倒れている司に怒る。


「おい、早く起きろよ」


彼女はそう言って彼の首を掴み、胸の高さまで持ち上げるが、目を閉じている。再び起こすためにビンタするも、まだ目を覚まさない。


「死んでる?」


私の言葉に場が凍りついた。拳銃を構えていた人たちも、流石にこの状況になると驚き、銃をゆっくり下ろした。


「お前、強く殴りすぎだ」


目の前の男は笑いながら結に言ったが、笑い事では無い。


すると、その思春期少年の顔、体は溶け、黒い液体へと変わっていった。その変わり方は、あまりにも現実とは思えない。それは、あの時のゲームのようだった。まさか、一体いつから、ゲームの中に?


「な、なんなのこれ!?」


殴った結自身が最も驚いているように見える。

それに対し、白衣の女性は驚く様子もみせることなく、腕と足を組んで私の方をずっと見ている。


(つかさ)の液体が床についた瞬間、直角に白衣の女性を避け、私へ向かってきた。あの時と同じように、私の全身を包むように飛んで襲ってきた。


また、罪が重くなる。そんな気がした。


その瞬間、白衣の女性の目が変わり、組んでいた手を解き、左手を前に出すと黒い液体の動きは止まった。よく見ると、その液体の周りが赤、青、緑の波のように歪んで見える。


しかし、止まっていた液体は動き出し、壁へ向かって直角に、壁を貫いて小さい穴を作って外へと逃げていった。

それと同時に、(つかさ)の姿は全て液体と化し、彼の姿は無かった。


目の前の男は後ろを向き、周りの拳銃を構えていた人達に命令し始めた。


「先のあの液体の行方(ゆくえ)を探せ! 早く行け!」


彼らは命令に従うまま、飛び出して部屋を出ていった。


すると男が私により近づき、私の顎、()を掴んで怒鳴った。


「なんなんだあれは!? 答えろ!」


私は推測ではあるものの、答えた。


「ペネレイト。だと、思います」


私の答えを聞いた彼は、私の顎を勢いよく押して私を壁に打ち付け、考え始める。その間、白衣の女性は自分の左手の前後をずっと見ていた。

彼女は私を見て、どこか落ち着いた声で言った。


「私の名前は時音(ときね)あなた、何したの」


一体本当に何が起きたのかさっぱり分からない。ペネレイトは自分自身で動かせる。しかし自分の意思で動かした気がしない。


「私は何もしてません」


そう言うしかない。事実だからだ。

怒り気味ながらも、男は話し始めた。


「もういい。君はもう野に放っては行けなくなった。話してあげよう。我々のことを。私は佐々木だ。」


「え、はい。七海杏奈です」


急な自己紹介が続いた。恐らく、これから関係していく事になるという予想を彼らはしたからだろう。しかし、私は態度の反抗を止めない。

佐々木は溜息をつきながら話し始める。


「実はこういうのは初めてでは無い。しかし、今回は異例だ。それにだ、彼女のスキルでも止められなかった。これも異例だ。お前がいる事で発生した今までにないこと。お前のスキルが関係しているとしか思えない」


「『こういうのは初めてでは無い』の『こういうの』ってなんですか?」


佐々木はまた溜息をつき、渋い顔をして言った。


「察しが悪いな。人が死んだことだ」


私はすぐに目を背けた。聞いてはいけないことを聞いてしまった。

すると時音が落ち着いて話した。


「しょうがない。自分でも自分のことを理解できない。それが人間の本質だ。」


しかし、そんな彼女の目にはどこか悲しさが見える。


すると後ろにいた結は崩れ落ち、涙を流した。

それを見た佐々木は私へ


「今日は家に帰らせてやろう。明日また、必ずここへ来い。場所は知っているだろう」


ひとまず安心した。自分は今日死ぬことはないからだ。私はとりあえず、ログアウトするために「ログアウト」と言った。しかし、システムは反応しなかった。

佐々木は私のその行動を見て驚き、慌てて言った。


「すまない、伝え忘れていた。これは全て、現実だ」

最後まで読んで頂きありがとうございます!

是非、参考にしたいので感想などのご意見お願いします!

次回も楽しみにしていてください!

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