100 Beginning
カーテンの開く音と共に、強い日差しが目に直撃した。
「ほら、朝よ。起きなさい」
聞き慣れた女性の声。
「ここはどこ?」
俺の言葉を聞き、女性は俺の頭を叩いた。
「あーんた、また寝ぼけてるんじゃないの? 早く起きなさい」
叩かれてようやく我に帰れた。
けれどどこかモヤモヤする。
ぼんやりとした視界のまま、俺は床に足をつかぬようスリッパに足を乗せ、そのまま顔を洗い、朝食を済ませた。
モヤモヤしているせいでか、朝食時にいた彼らのことを全然思い出せない。まぁ、いっか。
長い長い夢を見ていた。気がする。あれは悪夢でも良い夢でもなかったけど、どこか寂しい。
俺はすぐに自分の部屋に戻り、改めて自分の部屋を見た。よくよく見ると、自分の好きなキャラクターのフィギュアをこんなにも集めていたのかと、自分が恐ろしく思えた。けれど、この部屋には安心感を覚えた。
「あんた何してんの!? もう行く時間よ!」
お母さんの声が聞こえ、
俺は壁にかけてある制服をすぐ身につけ、リュックを背負って階段を下ってすぐさま玄関へ向かった。
靴の紐が結ばれていないことに気づき、足を入れて紐を結ぼうとしたけれど、何故か結び方が分からなかった。なので仕方なく、そのまま行くことにした。
「行ってきまーす!」
そう言って俺は家を飛び出し、自転車に乗って駅へ向かった。
自転車には乗れて紐は結べない。不思議だ。
俺はそう思いながら、駅に到着し、自転車を止めてすぐバックに着けたカードを伸ばしてかざして改札を出るが、俺は困惑した。
奥にも人がいて、こっち側にも人がいる。横には階段があるからあっちに行けるけれど、俺はどっちに行けばいいんだ? 通路があるんだから、階段を上る方が正しいだろう。
階段を上ろうと足を踏み入れようとした時、手を掴まれた。
「どこに行こうとしているの」
知っている。彼女のことを、俺は知っている気がする。いや、とてもよく知っている。けれど、誰だ?
ガタンゴトンと音を立てながら、こっち側に電車が止まった。
「行くよ」
俺は彼女について行った。電車の中には人が沢山おり、俺は彼女の反対の扉近くの端に背をくっつけて到着するのを待った。
よく見ると、俺の制服と彼女の制服が違う。
なぜ?
不思議だ。今まで疑問に思わなかったのに、何で今疑問に思ったんだ。
彼女はスカートを履いているが、俺はズボンだ。しかし女子でもズボンを履いている人がいる。けれどその人のズボンと俺のズボンの色は違う。
なぜだ。
そもそも、男女なんて区別しているところから間違っているんだ。人間は人間でいい。もっと、もっと抽象的に……
「柊木!」
俺の名前を呼ばれ、俺はまた我に返った。俺はいつの間にか、人混みの中で突っ立っており、みんな邪魔そうに俺を避けて行く。
顔を上げると目の前には先程の女性、隣にはよく知っている男性。俺はすぐカードを手に取り、改札を出た。
改札を出た瞬間、なぜだか彼に抱きついた。
分からない。分からないけれど、ただただ嬉しく、安心した。だから抱きついた。
「おお、どうした急に」
「なんでもない。初心に戻っただけだよ」
そう言って、俺達は学校へと向かった。
ただの道でも、そこには人生が詰まっている。道路だって、電柱だって、この道のタイルだって。
その人生の一部を、俺達はこの世界に捧げているんだ。
俺はそれが幸せだ。なぜだかそう感じる。これを感じられているのも、この世界があるからだろう。この世界に生きることの代償が、もしかしたら人生を捧げることなのかもしれない。
別にいいだろう。幸せなのだから。
今生きていることに、感謝しよう。学習できることに、話せることに、歩けることに、怒ることに、泣けることに。
俺にできることはそれしかない。けれど、俺はそうして過ごしていこうと思う。
今日この1日に、感謝を。
ありがとう。
これで最終話です。ここまで読んでくださった皆さん、本当にありがとうございました。思えば約1年、ずっとこれを更新していましたね。最終的にはPv約4000となり、とても嬉しく思います。
今後は活動を短編小説を挙げるくらいになると思います。だいぶ疲れたので。
毎度のように言いますが、ここまで続けられたのは皆さんのおかげです。ありがとうございました。
最後に、正直な評価でいいので評価して行ってくださると嬉しいです。
ありがとうございました。




