離職率
私は白井音色
2年間、超絶ブラック企業に勤めてきた。しかし、心身共に不調をきたしたため、ホワイト企業で有名な「真っ白カンパニー」に転職した。
転職してから数日後、私は気づいた。ホワイト企業では燃えられないということを……。だから、私がこの会社を立派なブラック企業にしてみせる!!
「あの、渡辺さん……、うちの会社って求人広告をずっと出してますよね?」
私は転職活動中、ずっと「真っ白カンパニー」が求人広告を出していたのを知っていた。
「ブラック企業あるある」なのだが、「離職率が高いから、ずっと求人広告が出ている」ことが多い。
「そうね、ずっと出してないと人手不足になっちゃって……」
渡辺さんが答えた。
(来た……! 『ブラック企業の種』だ!)
「離職率って、どのくらい何ですか?」
「確か……、40%くらいだったかしら……」
(よ、40%……、え、え? ここホワイト企業ですよね? 40%はブラック企業の離職率も余裕で超えちゃってますよ……)
私は落ち着きを取り戻して、渡辺さんに伝えた。
「40%って、高くないですか? 」
「そうね~、でも社長は会社の成長よりも社員の成長を考えている人だからね……」
(ん、ん、どういうこと? 何で、社長が社員のことを考えると離職率が高くなるの?)
私が不思議そうな顔をしていると、
「これ、これ……、前に話したじゃない? 『独立支援制度』のことを……独立して起業したい社員に融資を行う制度よ」
(あ! 思い出した! 入社3年以上経った社員は、『独立支援制度』を受けられることを……)
「社長は、若いうちに色々なことを挑戦して欲しいと思っているから、入社3年目になると大体の社員に『独立支援制度』を受けるように説得するのよ。だから、逆によく40%で抑えられていると思うわ」
(ほ、ホワイト過ぎる……)
「それに、独立して経営が順調にいくと、業務提携をするから我が社にとってもメリットが大きいの。失敗して戻ってくる社員もいるけど、以前よりも成長しているから、それもメリットね」
(お、お見逸れしました……)
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