表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/21

面接

私は白井音色(しらいねいろ)

2年間、超絶ブラック企業に勤めてきた。

しかし、心身共に不調をきたしたため、退職を決意した。

約1年間の療養期間を経て、私は1件の求人に応募した。


そこは、ホワイト企業で有名な「真っ白カンパニー」だった。




今日は、最終面接の日

役員の方々が直接面接を行う。


「うちは、アットホームな会社だから、社員のみんなは家族だと思っています。だから、困ったことがあったら、いつでも言ってください」

真っ白カンパニーの社長が言った。


(で、出た!『ブラック企業あるある』 アットホームを(うた)う会社は、絶対ブラックだ…… 以前の会社もそうだった……)


私は、以前の会社の採用面接を思い出していた。


……

……

……


『うちはアットホームだから、困ったことがあったら何でも言ってね』


面接でそう言われたことを覚えていたため、業務で分からないことがあって先輩に尋ねた。

『はぁ、そんなこと自分で考えろよ! 俺が新人の頃は……』

無駄に長い説教が始まった。


その上、自分で考えて行動すると

『何で、相談しなかったんだよ!?』

と怒られる始末……。


……

……

……


私がそんなことを考えていると、面接会場の扉が開き、若い男性社員が入ってきた。

「お父さん、あ、スミマセン。部長……」


(あ、アットホームだ…… 上司を『お父さん』と呼び間違えるくらい、アットホームだ…… いやいや、音色(ねいろ)…… 騙されては駄目!)


その若い社員が続けて言った。

「この書類の書き方が分からないんです」


(え? 今、面接中だよ? この人、何を考えてるんだ……。さすがに、これは怒られるでしょ)


「ああ、この書類はね……」

部長と呼ばれた男性が書類の書き方を教え始めた。


社長が強張った顔をしている……。

(で、ですよね……、さすがに怒りますよね)

私がそう考えていると

「広島君、一体、君は何をしているんだ……」

社長が若い社員(広島君)に言った。


(や、やっぱり、怒鳴っちゃう? きゃー、『広島君』かわいそう……)

私は、固唾を飲んで見守った……


「手書きの書類なんて、大変じゃないか! 部長、すぐに電子化にしましょう!」

社長が言った。


「ありがとうございます、お爺ちゃん……あ、社長」

広島さんが言った。


(『アットホーム』&『分からないことがあったら、いつでも言って』は、本当だった…… 


ま、まさに、ホワイト! 


いやいや、ダメダメ!! 音色(ねいろ)、騙されてはダメ。会社って、そんなに甘いものではない!)



後日、私の元に無事採用通知が届いた。

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。


よろしければ、ブックマークと評価をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ