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フォニィ 6話


___教会の一室で行為を始めた3人


これには少年も驚いた。


え、3人で!?

自分には刺激が強すぎるようにも思えたけど。

この3人恋人という風には見えない。何をしてるんだよ!


女が二人に奉仕している間二人の男が何やら会話していた。

娼婦なのかも知れなかったが、娼婦らしき女たちは路上で少しは見てきている。

この女は雰囲気が違うとフォニィは思った。


(何だろうこの違和感は……)


>> 例の路上生活者の…  連続殺人事件の 犯人 間違いなく 少年 >>


少年が聞き耳を立てているとクミ爺の話が出て来た。

神父が痩せた男に路上生活者の爺さん殺傷事件の犯人は

その近くの路上に住んでいた少年だと言った。

聞き間違えでなければ、だ…


フォニィは気が可笑しくなりそうだった。

なんで神父が僕を犯人だと言ってるんだよ!

理不尽さに対する怒りで全身に力が入る。

足の指も首の筋も筋肉がつってしまいそうだった。




@@



____「教会の中の一室」



「それで?」

痩せぎすの男が神父に話を続けるさせるように言った。



「別に。ただアイツが、いや目撃情報があったのだよ。」


「ふぅん。市民やホームレスを狙った連続殺人事件。

全てそのホームレスの少年がやったとでも言うんですか?」

「いやいや、全てとは私も思っていないよ。

それに目撃者が見た事を言っただけだろう? 」


「目撃者ねぇ…」

「少なくとも、あの爺さんの死に関してはだよ。 」


ニコニコからニヤニヤという笑みに変化しながら痩せぎすの男が質問し

無関心そうに、しかし少し苛ついたように神父が答えた。


ーねぇ、大丈夫なの? あなた達。 私最近酷い事件が多いから心配で…


奉仕していた女が話しに入って来る。


「あぁ、大丈夫だよ。全~然! これっぽちも! キミは何にも心配しなくていいからねぇ。」


ニヤケ面の男がクククと笑いつつ言った。


その後3人の行為は早々に終わりそれぞれが荷物を手に持って教会を後にした。

部屋を最初に出たのニヤケ面の男だったが出る前に。


「じゃあ、その少年のことは一応指名手配しておきますよ。ウチの方でねぇ。」

「手配の種類は大丈夫だろうね?」

「はいはーい。勿論『dead or alive-生死は問わず』です。」


このような会話があった。



@@



____明朝、午前4時45分


PHONY



教会での会話はあまり良く聞こえなかった。

見てはいけないものを見てしまった。


あの大人たちの秘密を覗き見してしまった感覚は

フォニィを興奮させたし、また同時に居心地も悪くさせた。

どういう関係なのか何を話していたのかも不明。


ただ少年に分かったことはあの神父は信用できないと言うことだった。

何か嫌な予感がした。僕が犯人だって? ふざけるな! 


何処から噂が出たんだろう。それにしても早い。

宝石商のアイツしか考えられなかった。神父と関係があったのかも。


密会を目撃した後は教会から直ぐの公園の財宝の在処。

通称「ドブ穴」で寝て、起きたのは日の出前だった。


手鏡で身だしなみを確認。短髪の若者が手鏡に映っていた。

ただ服が問題だ。パンツなどはボロボロのジャージである。

まずはこれをどうにかしたい。


+++




フォニィは知っているスーパーに向かった。

ノーホープの街の中では治安がいい場所のひとつ。

リサイクルの鉄の箱が駐車場の隅にあり着なくなった古着をそこで集めている。

と言っても本当に良いものはそこには捨てられないし、

あっても中を確認している人間がどうせ盗む。


錠がかけられていて好きに衣服を鉄箱を開けて取って来ることは出来ない。

集めた衣服は何処か見えないところにいる困っている人たちに届けられているらしい。

見える所にいる困っている人たちは捨ておくのが暗黒街だ。


見える場所で困ってると自業自得になるんだとクミ爺が言ってた。


駐車場に入り鉄の箱を見に行く。


(ちょうどいい服があればいいけど。)


目当ての古着が入っている鉄箱には頑丈そうな錠がかかっている。

これをどうにかしないと中の服は取れない。


普段から盗みはやらないんだけど。もうこの際仕方ない。命がかかっているのだ。

細かいことは無視する。


鉄箱の服を放り入れる部分を押す。

ここに服を入れて離すとゴシャンと回り中へと入れたものが落とされるのだ。

何も入れずフォニィがその部分を押す。


「見えない手」にイメージを送る。

見えない幽霊の手は鉄の箱をすり抜けて中にある服を

掴み服をその部分(・・・)に乗せた。

少年が手を離すと箱の入り口の部分に一掴み分の服があった。


やった! 成功だ!

箱の中が見れないからお気に入りの服が

出るまで何度もやらなくちゃいけないけど!


それでもくじを何度も引くことが出来るズルをしている

様な気分でフォニィは浮ついたし、興奮した。


その後すぐにお気に入り以前にサイズを

気にしなければならないことに気が付くことになるのだが…


それでも少年の気分は上々だった。

フォニィの人生にはこのくらい楽しいようなことなどあまり無かったし、

このくらい幸運なことなども殆ど起きたことは無かったのだから。


結局少年は何度も夜が明けるまでの間この鉄箱の古着のルーレットを楽しんで

お目当てのパンツだけでなく。より彼好みなセーターなども手に入れる事が出来た。


今すぐこの場所を離れて着替えたい! そうだ、コインランドリーだって行ける!

現金は結構あるし!気持ちが高ぶっていた。

デニムのジャケットの下にセーター。ニット帽も被って。

紺のパンツにスニーカー。


物陰に行って店の鏡になっている場所で自分の姿を眺めてご満悦だった。


「これが僕? 別人みたいにいい感じだ!」






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