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狛犬に娶られました  作者: 九条 睦月


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嵐の前(2)

 陽が素っ頓狂な声をあげる。春南もただ呆然とするばかりだ。そんな二人に、司狼が自分たちの考えを明かす。

 まず、ツキは月読命の神使であり、月川神社を離れることはない。これが大前提だ。

 先ほどは悪霊たちに攻撃されてしまったが、あれしきのことでどうにかなるツキではない。だが、少々厄介なことがあり、すぐには戻れなかったと思われる。そのうちに、更紗が敵の手に落ちてしまう。それでツキは、自分の気配を消したのだ。


「だから! ツキが気配を消す意味がわかんねぇ!」


 癇癪を起こして叫ぶ陽だが、春南の方は気付いたようだった。陽の腕を強く掴み、陽を見上げる。


「違うわよ! 気配を消さなくちゃいけなかったの。だってツキは、更紗さんと一緒にいるから」

「ええええっ!?」


 陽が朔と司狼を見ると、二人も春南の言葉に頷いていた。


「情けないな、陽。春南の方がちゃんとわかっとるじゃないか」

「いや待てよ、親父! 更紗さんがここにいるなんて突拍子もない話が出てきて、訳わかんなくもなるだろ!」

「ならない」

「うるせー、朔!」


 陽は不機嫌な顔で頭をぐしゃぐしゃにしている。よほど混乱しているようだ。


「ツキは更紗を守るために気配を消した。敵に悟られるわけにもいかないだろうからな」


 独り言のように呟いた朔に、陽は頭を掻きながら言う。


「お前の言ってることはさ、月川神社の敷地内に敵のアジトがあるってことだぞ? そんなもんあったら、俺らが……」

「あるじゃない、アジト」


 それには春南が答えた。


「は?」

「現世と幽世の境界。そこから悪霊たちが現世に押し寄せてこないよう、月読命様は陽たちに退治を命じてるんでしょう?」

「……そうだけど」

「更紗さんとツキがいるのは、ちょうどその境界なんじゃないかしら?」

「そうだ、春南。私と朔はそう考えている」

「マジかよ……」


 陽が情けない顔で机に突っ伏した。春南は苦笑しながら陽の背を撫で慰めるが、朔は冷ややかな視線を送っている。


「攫われた=遠くにいるっていう図式が陽の中にあるんだろうが、固定概念に捕らわれすぎだ。お前、イラストレーターなんて仕事やってるくせに、頭固いな」

「わーーー! 弟が苛めるー!」

「朔さん、そのくらいにしてあげてください……」


 春南のとりなしに朔はフイと横を向くが、それ以上は言わなかった。そんなことより、考えなくてはいけないことがある。

 どうやって更紗を救出するかだ。

 ツキが側にいるなら、更紗の身の安全は保証されている。更紗に害をなそうとするものを、ツキは許さない。

 だが、ツキが姿を見せたが最後、悪霊たちが一気に襲い掛かってくるだろう。それをツキだけで何とかするのはあまりにも厳しい。


「おそらく、向こうから何か仕掛けてくるだろうな」


 司狼に言葉に、全員が注目する。


「下弦の月か?」


 陽の問いに、司狼は首を横に振った。

 二人の力が最弱になる日を狙うのが、向こうにとって最良のはずだが。

 司狼以外の全員はそう思っていた。


「なら……いつなんでしょう?」


 春南がおずおずと尋ねると、司狼は抑揚のない声で告げた。


「次の満月だ」

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