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  作者: 渡辺マイケル
1/1

TANAKA

『神のほかに神はなし』


「わたしはたなか、あなたは?」

「わたしは田中、あなたは?」

「私は田中、貴方は?」


たなか。田中。これがわたしのなまえ。

おもいだしてきた。なのに、

くらい。こわい。ぶきみ。

あたまが、いたい。われるように、いたい。

てをみると、まっかっか。


「あなたは、だぁれ?」


こえがする。振り向くとヒトがいた。

だぁれ?そうだ。なまえをいおう。

わたしのなまえは。えーと。えーっと。

あれ?おもいだせない。でも、

いたみひいた。うれしい。

あのひとのおかげかな。ありがとうしなきゃ。


「ありがと。」

「そうかそうか。それはよかった。」

「なんであなたはここにいるの?」


なんでだろ。おもいだせない。おもいだそうとすると、また、あたまいたい。

いたいのは、や。


「うふふ。」


なんであのヒトわらってるの。ぼくくるしいのに、なんでなの?なんで?なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで

………


きがつくと。ひとりになってた。

またひとりになっちゃった。

でも、きぶんがいい。

いっぱいきぶんがいいひは。

いっぱいお話したくなる。


「ぼく、いまとーっても気分がいいんだ!」

「……」

「爽快って感じ。ねぇ聞いてる?」

「……」


舌打ちした。いっぱい気分がいいのに、

台無しだ。残骸を蹴って先へ進む。

薄暗いし、鉄くさいし、気味悪い。

早く家に帰ろう。

でも、何だか眠たくなってきた。

一眠りしてから動こう。そう思い、座り込み、瞼を閉じる。


瞼を開けると、無数の刃が向けられていた。

動こうとしても、動けない。

見渡すと人が沢山いた。

みんなケラケラ笑っている。

まるで見せものみたいだ。でも、不思議と何も湧いてこなかった。

じっとしていると、一本の刃がこちらに向かってきた。

痛いのはいやだなぁ。

足に突き刺さった。痛い。痛い。___


瞼を開ける。夢だった。とても怖い夢。

ふと足を見る。なんとも無い。

よかった。立ち上がろうとしたとき、

衝撃とともに視界を奪われる。


「え。」


顔を上げて、手を、ある場所にかざす。

ない。おかしい。そこにあるはずのものが、ない。


「wzrsぃxwでslxjl。」

「や、やだ……」


必死に這いずる。捕まったら終わりだ。

嫌だ嫌だいやだいやだいやだ。

手に伝わる感触が気持ち悪い。

鼻に伝わる匂いが気持ち悪い。

気持ち悪い、こんな所、早く抜け出して。

抜け出して……


「抜け出してどうするんだ?」


全て、思い出した。

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