4.サボり魔術師と女神様
「もう!!どうしてくれるのよ!!バカシュン」
鼓膜の替えが必要になる程うるさい声で目が覚める。
辺りはどこまでも真っ白な世界が広がっており、その世界にやたら眩しい光の玉がブンブン動き回っていた。
「いきなり大きな声でなんですか??女神様」
俺の鼓膜をぶち破る声の主は、俺がこの世界に来るときにお世話になった女神様なのである……。
「なんですか??じゃない!!アンタはどうしてこう……!!」
そこから俺への説教がそこそこ続いた。
◇◆◇
「とにかく!!勇者パーティーを追い出されてこれからどうするのよ」
「急なことだったしなにも決まってないですよ……それより女神様は俺が転生してから1度もお会いしていなかったですし、どうしてそんな姿なんですか??美しいあの姿はどうなされたのですか??」
話題を変えるために女神様のことを聞いてみた。
光の玉がブンブン飛び回り女神様の声が響く。
「あれもこれもどれもそれも!!私が限界ギリギリまで力を使って、どこかの誰かさんに超すごい力を授けるために頑張った結果がこれよ!!これ!!お・ま・け・に!!私の力の回復にはあなたの活躍が不可欠なのに……。あんたはぐーたらしてばかりで、とくに名が売れるわけもなく、幼なじみの勇者リヒト君と、やっと名が広まってきていて、私の力も少し回復してきたな~って思ったらこれよ!!これ!!さすがに私も文句が言いたくて力使ったわよ!!まったくどうし…………」
女神様はたいそうお怒りのようで、言葉のマシンガンを撃ち続けている。
総弾数は約数分……。地獄のような弾幕が俺を襲う。
「だいたい!!あなたのその固有スキルなら努力さえすればかなり強くなって超有名人になるくらい簡単なすごいスキルなのよ!!例えば戦争で敵をポンッ!!っと葬ったりなんか簡単にできるくらいには、有能なスキルなのよ!!」
「そりゃ確かに強い固有スキルですが……いろいろ不便すぎなんですよ!!このスキルは!!どうせならもっと楽に強くなって、超楽できるスキルが良かったなーってわりと本気で思うくらいですよ」
こちらも負けじと言葉のサブマシンガンで応戦してみるが……。
「私の力をほとんど使った固有スキルに文句があると??」
光の玉から物凄くドス黒いオーラが吹き出した。
おぅ……ダンジョンですらほぼ味わったことない死の恐怖が……。
「いえ!!すみません……最高のスキルです!はい……」
死にたくないので謝っておくことにする……命は大事に!!の精神だ。
「わかればよろしい!!でもねシュン、その固有スキルは確かに不便な点が多いけどリターンがすごいスキルなのはわかるでしょ??」
とても穏やかな口調の女神様。
「ええ……まあ……いろいろ助かってはいますよ」
俺も穏やかな口調で返す。
とても静かな時間が流れる。
光の玉はゆらゆらと揺れ海の中に差し込む光のカーテンのようだ……とても温もりを感じられる光の玉は……ぷるぷると震えだし女神様の声が聞こえる。
「だったら……」
暖かな光の玉が…………真っ赤に染まる。
「ささっと有名になってこの世界を救いなさい!!このサボり魔が!!」
「Yes, ma'am!!」