落下の原因
三回目のテスト焼き以降、バウムの落下が止まりません。
経験者が居れば解決方法も分かったりするんでしょうが、なにせうちは自分が一番の経験者(笑)なのでどうしようもないです。
一応スパイの甲斐あって生地の付く前のめん棒はなるべく熱く、最初の三周は硬く焼いて芯を強くする、サイドは時々焦がして強くする、左右の太さをキッチリそろえバランスをとるなどが分かっているので頑張ってみる。
あとは社長が言うほどではないが、10度温度を上げてドラムの回転数も下げてみた。
この数字、メーカーの人に「この数字で始めて、これくらいで焼いていって下さい。」と言われたのですけど、この数字って小さいバウム(直径10cmくらいの)用の数字じゃないの?。
だって元々小さいバウム用のカマなんだし。
ましてうちは太ってくると上下の間隔が無くなり、バーナーの火をさえぎりあってる感じだし。
ちなみに5度温度が違うだけで味が変わります。
しかしこれだけのことをしても、まだ落ちる…。
もう出荷も始まっていて、その日の出荷分が焼けなければいつまでも帰れないという地獄。
ぐしゃぐしゃに落ちたバウムを片付けながら、また材料の用意をするむなしさ。
つらい…。
しかも社長が固く焼けばと言っていたにもかかわらす、パッケージに「やわらかくて、しっとり」などと言ううたい文句が書かれている始末。
へぇ~ 一回目のテストあたりでパッケージの発注をしたんですか?
早すぎです… 社長。
これじゃあ、さらにあと10度温度上げたらパッサリバウムになってしまいますよ。
表紙詐欺ですよ。
えっなるべくこの焼き方で行ってくれって、だから落ち続けてるって言ってますやん。
パッケージ裏の内容の範囲内で色々やってますよ。
毎日のようにグラム単位で配合いじって…。
毎日が実験で試作ですよ、出荷しながら。
しかし二年も続いたこの落下、あることで劇的に改善することになります。
最大の原因は、めん棒に巻きつけていたシリコンペーパーだったのです。
始めた時にもらったペーパーが無くなったので、新しいのに変えた途端、落ちる落ちる…。
メーカーを問い詰めて聞きだしたら、最初の紙は長いこと倉庫に放置してあった十年以上昔の紙で
シリコンも劣化したものを、安いからとうちの社長が買ったものらしい。
また社長か…。
しかし次に来たのはシリコン吹きたてのつるつるだったので、バウムが太って重くなってくると内側からすべって落ちる原因になっていたのだと思う。
ちなみに最初の紙も全面シリコンなので、新しい紙よりはマシなだけでやはりすべっていたのだろう。
そして急遽色んな紙を取り寄せ、一本づつ紙を変えての実験した結果、少々お高いけど特殊加工した紙に変更となりました。
するとどうでしょう、毎日のように落ちていたバウムが週一回と激減!。
自分が焼く時は、ほぼほぼ落ちなくなりました。
今までの苦労は何だったの? 状態ですわ。
なおかつ主任からは、「自分のウデが悪いくせに、紙のせいにしとる」と言われてましたが、この件以降主任は逃亡、ほとんどこちらに来なくなりました。