表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/13

二、窓辺に佇む一ノ瀬君

 教室の清掃、終了~。

 さぁて、帰ろうかな。

 だけど、帰ったところで、何もする事がない。

 図書室にでも行こうか。

 そこで、ネット小説の下書きでもしていよう。


「じゃあね、和葉」

「また明日ね、和佳奈」


 教室を出て、一階にある図書室に向かった。


『本日は、司書の風見先生が不在の為、図書室の利用不可』


 嘘でしょ!?


 貼り紙が貼られた図書室の扉は、鍵が掛けられて開かないし、電気も消えている。

 こうなったら帰るしかないけれど、帰ったところで……。

 教室に戻るしかないか。

 この時間は誰もいないだろうから、誰にも見つからずに小説を書ける。


「あれ? 和葉、何してるの?」


 階段を上ろうと階段の方に戻ると、上の階から、和佳奈と七松(ななまつ)春樹君がやって来た。

 お互いに足を止め、少し話す。


「図書室が使えないから、教室に戻ろうと思って」

「風見先生いないの?」

「そうみたい。じゃあね、和佳奈。七松君も」


 挨拶を交わし、三階にある教室に戻った。


 ***


 ガラガラ。


「やぁ、二木(ふたつぎ)さん」

「うわぁっ!」


 驚いて、思わず声が。

 教室後方の扉は閉められ、電気はついていないから、誰もいない教室だと思った。

 この時間に誰かがいることは稀だから、油断していたけれど。

 だからこそ、クラスメイトの一ノ瀬絋斗(いちのせひろと)君が、後方の窓辺で、ひとり佇んでいるとは思わなかった。


「入りなよ。中に入りたかったんでしょ?」


 扉を開け、入り口で立ったままの私に、一ノ瀬君は言う。


「あ、いや、でも……」


 ひとりのところを、邪魔するわけにはいかない。


「いいよ~。おいでよ。二木さんだって、教室にいたいから、戻って来たんでしょ」

「そうだけど、一ノ瀬君の邪魔、したくない」


 実を言うと、私は、一ノ瀬君が少し苦手。

 一ノ瀬君は、俗に言う『チャラ男』。

 いつも女子を見つけては、ナンパが始まる。

 ルックスが良いし、明るい。

 私と正反対な人。


「私、やっぱり、帰る……」


 踵を返し、教室をあとに……。


「待って、二木さん。俺と少し話そうよ」


 扉の方に近づいて、私の右腕を掴んだ一ノ瀬君。

 すぐに放してくれたけれど、思わず振り向く。



「でも、私っ」

「それとも、俺といるの、嫌?」

「そういうわけでは、なくて」

「じゃあ、お話しようよ。二木さんと話したことないし」

「それは、ナンパですか?」

「んー。ただ純粋に、二木さんとお話したいだけ」


 何なんだろう。

 一ノ瀬君が女子と話す時は、大体がナンパだろうから、すぐにでも、帰りたい。

 だけど、一ノ瀬君は、それを許してはくれないだろう。


「少しだけなら、良いですよ」

「本当!? やった! ありがと!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ちはやさんの企画からやって参りました。はじめまして。Kanと申します。(^^) 第二話まで読みました。一ノ瀬君、気になりますね。ただのチャラ男なのか、それともただのチャラ男ではないのか。…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ