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べラルダの神子  作者: マウンテンブック
序章
8/8

蘇生




「うぅ・・・」


「アスト様!」


セイラが全力でリザレクションを幾重にも掛けた成果でライトの身体は元通りになっていた。そこにベラの力でライトの魂が戻り、ついに蘇生するに至った。


「おお!少年!大丈夫か?意識はあるか?」


「・・・は、い」


「それは良かった!アレク様から必死な声色で神託が降りた時は肝が冷えたぞ」


地母神アレクはライトの危機を感じてすぐアストに神託という形でライトの救出を命じていた。

もし間に合わなければ戦女神ベラにボコボコにされるかもしれなかったため、かなり切羽詰まった様子で神託を告げたのだ。


「アスト様。まだ意識が戻ったですから無理をさせないで下さい。ライト君だったわね?今はゆっくり休んで。後でお話ししましょう?」


セイラの言葉にライトはコクンと頷く。怪我が治ったとは言え失った血液も多い。何より前日は一睡もしていないのだ。

ライトはセイラに抱えられながら寝息を立てだした。


「はぁ。間に合って良かったです。見て下さいアスト様、この可愛い寝顔を!」


「うむ。しかしこんな子供をあそこまで痛めつけるとは。犯人には天罰を下さねばな」


「誠に勝手ながら私どもがすでに手を下しております」


サマリー神官が2人の会話に入ってきた


「ライト様・・・本当に良かった。もしもライト様が蘇生出来なければ私は自分を許せなかったでしょう。アストレア様、セイクリッド様本当にありがとうございました」


「うむ。私も同胞を助けられて良かった」


「こんな可愛い男の子が酷い目にあわされているのを放っておけません。あとセイクリッドは止めて下さい」


アストレアとセイクリッドはそれぞれ周りに愛称で呼ばせている。新名を知られると呪術の対象になる可能性があるというのが理由だが、セイラに関しては自分の名前が完全に男の名前なので人から呼ばれたくないという理由が9割を占めている。


「これは失礼致しました。さぁ城へ戻りましょう」


「ええ。でもライト君の御家族はどうしましょう」


「・・・非常に言い難いのですが両親共に死体で発見されています。それも随分と惨たらしい姿で

ライト様の父親とは長年の知り合いですが、そうでなければ判別は難しかったでしょう」


「そんな・・・」


「恐らく最後まで我が子を護ろうとしたのだな。立派な最後だ。丁重に弔ってあげてくれ」


「勿論ですアレク様」


サマリーがその場を離れ、部下になにやら指示を出しに行く


「では・・・この子は。もう天涯孤独の身なのですね。まだこんなに小さいのに」


セイラがライトをギュッと抱きしめ涙を流す。ちなみにライトは豊満な胸に抱かれて息苦いのか唸っている。


「・・・私がこの子を育てます」


アレクはセイラの言葉にやれやれといった様子でため息をつくと


「言うと思ったよ。でもまず王と教会に許可をとらないとな。私もできる限り協力しよう」


「お願いします。私はそこまで権力がないので」


セイラは聖女と呼ばれてはいるが、新教会の中でも特に回復魔法に優れた5人の中の1人と言うだけで神子と比べると権力など無いに等しい。もっとも普通に王族等にも意見できる程度には力を持っているが。


「まずは城に戻って休もう。君も少年にも休みが必要だ。話しはそれからだ」


アレクはセイラからライトを預かると、ひょいと抱えて馬車に乗った


「そうですね。私も今日は疲れました」


セイラもアレクの後を追い馬車に乗る


何せ昨夜神託が降りてから休む間もなく馬車に乗り、着いてからも最上級の回復魔法をぶっ通しで掛け続けていたのだ。セイラも体力の限界だった。

2人が乗ってきた馬車は他の者が乗っている馬車よりも数段豪華で乗り心地も悪くない。来た時の様に全力疾走さえしなければ、ゆっくりと休める。

ライトが離れなかったため、アレクとライトが並んで横になり、それはずるいとライトの反対側の横にセイラが横になった。

出発の挨拶に来たサマリー神官は川の字で横になる3人を見て「親子みたいですね」と笑うと御者にゆっくり進むように声を掛けて戻って行った。


馬車は進みだす。ゆっくりと。なるべく音を立てないように。




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