プロローグ:弱虫な少年はスライムに襲われる?
僕はだだっ広い草原をひたすら走っていた、というよりはある『異物』から逃げていた。
その『異物』の名前はスライムといい、みどり色で地面を這いつくばりながら移動してくる生理的不快感を覚える魔物だ。
うん、そう魔物。
僕が3ヶ月前まで生活していた現世では存在しえない存在である。ここでお気づきの方も多いと思うが僕は異世界転生をしてしまったのだ。まぁ、そこらへんはまたあとで話すとして……
ヤバイ、ヤバイ、ヤバイぃぃぃぃ!しぬぅぅぅぅぅ!
普通のスライム一匹であるなら3ヶ月の間に覚えたスキルなどを使って倒せるのだが、こいつ、でかすぎる。
自分の身長の3つ分もある背丈のスライムにどうやって攻撃しろと?
「おーい、見習い〜!そんな雑魚にいつまで手間取ってんだぁ〜?」
あ、この人は僕が所属する騎士団の少佐を務めている人で、僕の指導をしてくれる先輩のガルトさんだ。って
「ガルトさん〜、見てないで助けてくださいよ〜」
「ったく、しゃあねぇなぁ、これだからお前は……」
ドォォォン!!
ガルトさんがスライムを一発殴るとスライムは消えていた。
やはりガルトさんは頼りになるなぁと思いつつ走り疲れた体を休ませていると
「ん?もう終わったのか?」
もう一人の指導役であるイリクさんがやって来た。
「こいつじゃねぇよ、あまりにも手こずっていたから弱らせてやろうと思ったらやっちまったんだよ。」
あれ、手加減していたんだ……
「ハハハッ、そんなこったろうと思ったよ。まぁ、お前は昔から脳筋だからしかたないよな。
あ、そういやお前たちに話があってな、あとで村の門まで来てくれよ!」
そう言い残してイリクさんはまたどこかへ行ってしまった。
「ガルトさん、話って何でしょうかね?」
「ん?俺にわかる訳ねぇだろ。それより特訓続けるぞ!おしゃべりはまたあとだぜ!」
「はい!」
イリクさんがした『話』、それはとても衝撃的で、僕の異世界人生に大きな変化をもたらす内容だったがそれはまた次回。