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Little Lover  作者: 神葉空気
3/3

邑条五月編

小さいころから欲しいものは何でも買ってもらえた。

人形が欲しいと言えばかわいらしい女の子の人形を、お母さんの真似をして鞄が欲しいと言えばおそろいの鞄を買ってもらえた。

ある日、猫を買ってもらった。

真っ白で小さな子猫で毎日世話をした。

名前はそのままシロ。

それからいつも一緒に遊んだ。

なのにちょっと目を離した隙に窓から出て行ってしまった。

慌てて追いかけたけど夕方になっても見つからなかった。

それから何日か経った頃迷子の子猫の張り紙を見て連絡してくれた人がいた。

手遅れだった。

慣れない外に出たせいで車に引かれてしまったのだ。

私は泣いた。

何日も泣いた。

シロは庭の隅に埋められた。



また欲しいモノが一つできた。

それは同じクラスの男の子だ。

真面目で運動もできてかっこいい。

初恋だった。

正直同い年の男の子なんて乱暴だし子供っぽいし嫌いだった。

でもその子は違った。

優しかった。

だから勇気を出して告白した。


「哭斗君のことが好きです。付き合ってください。」

「えっ?あの、えと…はいっ!」


それからは毎日が楽しかった。

一緒に下校したり、近くの公園でおしゃべりしたり、哭斗君の家に遊びに行ったり。

すごくすごく幸せだった。

でも時々不安になった。

またシロみたいに突然私の前からいなくなるんじゃないかって思うと怖くて涙が出そうになった。

そんな時私と哭斗君の前にひとりの女が現れた。

その女を見て一目でわかった。

あ、この人も哭斗君のことが好きなんだって。

その日からたまに哭斗君がその人のことを話すようになった。

このままじゃあの女に哭斗君が奪われちゃう。

そんなの絶対に嫌だ。


「哭斗君…」

「五月?」

下校途中に不安そうに話しかけた私を心配そうに見つめ返してくれる。

「ずっと一緒にいてくれるよね?」

「うん?もちろん!」


その言葉で私はやっと安心できた。

哭斗君も私とずっと一緒にいたいと思ってくれているんだ。


それから私は何度もホームセンターを訪れた。

哭斗くんのためにお父さんに頼むのじゃなくて自分のおこづかいで色々と買った。

シロの時の反省も踏まえてきちんと準備しないとね。



はじめてのデートは色々なお店を見ながら植物園に行く予定だった。

何も買わなかったけど哭斗君と見て回るだけで楽しかった。


「哭斗に近づくなぁ―!この悪女が!哭斗にふさわしいのは私だっ!」


あの女がとうとう本性を現した。

鉈を振り回しながら追いかけてくる。

逃げた。

哭斗君と一緒に必死に逃げた。

でも失敗だった。

今、目の前にはあの女が死んでいる。

人を殺してしまったと泣き叫ぶ哭斗君を抱きしめながらやっぱり私が守らなければだめだと思った。


「哭斗君は悪くない。」

「もう二度と哭斗君をこんな目に遭わせないから。ずっと私が守るから。」


そう、誓った。


とにかくこのままでは仕方がないので哭斗君には入口の近くで待っててもらう。

その間に私は鞄から色々な工具を取り出しできるだけゴミを細かくした。

そして、それをトイレに流し哭斗君を迎えに行く。

「こんな恰好じゃ外歩けないからとりあえず近い私の家に行こう?」

「うん…」



初めて哭斗君が家に来てくれた。

もしかして襲われたりしちゃうのかな?

そんなわけないとわかってるけど妄想が止まらなかった。

哭斗君には先にお風呂に入ってもらい、部屋で待ってもらっている。

着替えは哭斗君にプレゼントしようと買っておいた服を渡した。

お風呂から上がり、着替える。

哭斗君だけに見せるための服だ。

とびっきり可愛いのを着よう。

うんちょっと丈が短いけど、哭斗君になら見られてもいいし…

今日は哭斗君を悩殺しちゃうんだから。

「五月僕、夜早賀さんを殺しちゃった…」

やっぱりさっきのことがショックで泣きそうな顔をしたままだ。

あの女死んでも哭斗君に迷惑かけるなんて許せない。

「やっぱり自首しなきゃだよね…」

「あんなのあの人が勝手に頭をぶつけただけじゃない!」

「でも…」

「とにかくこれを飲んで落ち着いてからもう一度考えよう?」

私はさっきリビングで作ってきたココアを渡す。

「………」

「………」

しばらく静かにココアを飲む。

「あれ…?」

哭斗君が眠そうに眼をこすり始めた。

「緊張が抜けて眠くなっちゃったのかな?私のベッドで少し休んだ方がいいよ。しばらくしたら起こすから。」

「うん…」



哭斗君が目を覚ました。

やっぱり哭斗君はすごい。

3時間は目を覚まさないはずの薬なのに、2時間ちょっとで目を覚ました。

「五月何してるの?」

哭斗君が少し怯えたように訊いてくる。

「怖い外に行かないようにケージを作ったの!」

私は哭斗君のために少しずつ用意をしていたケージを自慢げに見せた。

「え?」

部屋の半分が鉄格子でふさがれていて出られないのに哭斗君は慌てたように鉄格子をガシャガシャとゆする。

私はそれに優しく微笑んで教えてあげる。

「インターネットで調べて絶対にはずれないようにつけたから意味ないよ?」

「何で!何でこんなことするんだ!」

哭斗君がおかしなことを言ってくる。

「だってこれならずっと一緒だよ?哭斗君ずっと一緒にいてくれるって言ったよね?だから私哭斗君を守るために一生懸命作ったんだよ?」

「出して!何でもするから!」

 んー、興奮してるみたいだから落ち着くまで縛っておこう。

私は用意してあったロープで足をベッドに縛り付けた。

「ちゃんといい子にしないとごはん抜きだからね。」

やっぱりしつけはきちんとしないと。

飼い始めが肝心だからね。



「哭斗君はカッコいいなあ。」

「うん。」

「私のこと好き?」

「うん。」

「どのくらい好き?」

「うん。」

「うんじゃわかんないでしょ!またお仕置きしないとダメなの!?」

「ヒィ!」

かわいそうだけど哭斗君のためだもんね。

んーと今日はどの指にしようかな…?

右手の爪はもうないし、左手の親指にしよう。

「ギャァァァァァァ!!」

「どのくらい好き?」

もう一度訊ねる。

「ヒッヒッヒィ、せ、世界一好きだよ。」

「私も哭斗君のこと世界で一番大好きだよ!」



やっぱり私の彼氏は最高だ。

誰よりも私のことを愛してくれてるんだから!



これで完結です。

読んでいただきありがとうございました。


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