羊
僕は寝る前、羊を数えようとした。
羊
僕は目を瞑って、先の見えない無の世界に羊を立たせた。
羊を考えると、世界には別に余計なものが出てきた。
大好きなママ、友達にもらったお菓子、今日食べた冷たいおにぎり。
僕は身体をうつ伏せにして、顔を枕にぎゅっと押し当てた。圧迫された目には瞼越しに、万華鏡のような幾何学模様が多数出てきては消えていった。最初は聞こえていた扇風機の風音も、その時にはさほど気に留めなくなった。
僕は大きな船に乗っていた。なにも見えない海を眺めながら、船の手すりに体を乗せ、体を大きく前に出した。
目の前には羊がいた。何で羊が?羊は僕をじっと凝視している。僕が羊に気がつくと、羊は一つの板となった。板はどんどん増えていきドミノのように等間隔で並んでいった。
僕はドミノの側へ近寄るとそっと押し倒した。どんどん倒れていく様子を隣で走って追いかけていくとある時、その終着点へとたどり着いた。板の隣にはチョコレートが落ちてあった。包装用紙を剥がしてワクワクしながら、めい一杯口を広げて食べようとした。
目の前には羊がいた。僕はそう気づいた時、羊はそのチョコレートをかじって手から奪ってしまった。僕は取り返せなかった。
羊は代わりと言わんばかりに一個のおにぎりを僕にくれた。冷たかったけど、美味しかった。
気がつくと、そこは一畳ほどの小さな部屋だった。窓はなく扉もない。だけど目の前には羊がいる。羊はずっと僕を見てる。
次に羊から目を逸らすとあたりはコンクリートのような壁になっていた。壁は数メールはあるほどとても高く、そして冷たい。壁は迷路のようだけど、すぐ一周するほど小さかった。
僕は、壁を飛び越えた。




