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1話 異世界

ザバァァァン!!!



うぅ…つ、冷てぇ…!!



頭から冷水?!



なんだ?目隠しか?何も見えない!



チクッ…



ッツ!!



喉元に冷たいモノが…



ドンッ!



「グハッ!!」



バタン!



「ガハッ!ゴホゴホ!」



胸からみぞおち付近を蹴られたか?!



呼吸が上手くできない…!



椅子に括り付けられていて身動きとれない!!



仰向けに倒れている…なっ!?



顔に水を…!!



み、水!かけ続けられている!



い、息が…!!





———




欠落




———




◇◇◇




目を開けたらそこは森だった。


おれは何故こんなとこに?


お!人だ!


愛想よく愛想よく!手を振って、よーしいくぞ!



「おーい!ここどこですかー?」



ヒュン!



タタンッ!



え?なんか胸が熱い…


あれ?手のひらが赤い…


ウォ…い、いてぇ!


ドサッ…


あ、空ってこんなに青かったんだ…



◇◇◇


目を開けたらそこは森だった。


私は何故こんなとこに?


あ、あ、あああ!


は、早く家に帰らなきゃ…!



ああ!そそそそうだそうだ!だだ、旦那にカレー作る約束してたんだ…!



とっ、と、とりあえずこっちに急いで行こう!


はぁ、はぁ、はぁ…


えっ…?!


お、落ち…


尖ってる物が!



イ!イタッ!!!!!!!



◇◇◇



目を開けたらそこは森だった。



僕は何故こんなとこに?



考えろ、考えろ、考えろ…



考えろ、考えろ、考えろ…




ガスンッ!!



!?



大きな黒い…




後頭部と首元が暖かい…



力が…



目の前が…





◇◇◇




目を開けたらそこは森だった。


俺は何故こんなとこに?


こんなとこ知らんぞ…。


どうやら、明晰夢の本とか読み漁っていたらとうとう夢を夢と認識できるようになったようだ。


そして俺は何故か宙に浮いているみたいだ。


まあ、夢だからどーでもいっか。


だが、自由に動くことはできない。


明晰夢初心者の俺はまだ自由自在にできるわけではないらしい。



ん?俺に似たようなダメ人間っぽいおっさんが現れたぞ。



そこに現地人みたいな人間。



おっさん愛想笑顔で手振って近づいた。


俺は自他共に認めるダメ人間だし、俺だったら久しぶりに人と口聞くから緊張しそー…



え…



おっさん、弓矢で打たれた…



愛想よく挨拶しただけなのに…



そうか、なんかの本だかなんだかで読んだが大昔とか生存するのがやっとで淘汰されまくる時代は倫理観とか現代とは全く違うと…


戦国時代は食うか食われるかの弱肉強食…


そんなとこに現代人きたら…



え…?主婦が落とし穴?に落ちて…



また、だれか現れた…青年か…



!?



おいおい…なんか目をつぶってぶつぶつ言ってんぞ…考えろって言ってる。



いやいや、後ろー!熊的なやつー!!



あ…。




なんで…。




なんなんだここは!




また、だれか現れた…



あ!あの人は!



アレックス!



軍所属の特殊部隊衛生兵メディックから宇宙飛行士になった人だ!



ん?



あれ?



ソッコー隠れた…



俺だったら…俺はタダノ、ただの人間だから同じように隠れるかもな…コミュ障だし…


いや、あちらさんは得体の知れないモノと簡単に接触する訳無く、隠密行動するか…

即、戦地と判断したって事か…


流石、淘汰勝者の人類のトップオブトップ、アレックス!



昨日観たばかりのやつだから


アレックスの経歴タイムラインよく覚えてる!


海軍入隊と特殊部隊時代

海軍に入隊。

最も過酷とされる特殊部隊の選抜試験を突破。


「チームアルファ」に配属、従軍衛生兵メディックおよびスナイパーとして、激戦地へ7回派遣される。


200回以上の戦闘任務。

激戦地で命がけの任務を遂行。

功績により、多数の勲章を授与される。


進学と医学の道時代

医師を志し、海軍の就学プログラムを利用して進学。



メディカル・スクール(医学校)を主席で卒業し、医学博士号(M.D.)を取得。



宇宙飛行士への選出

宇宙飛行士募集に応募。

わずか12人の候補者のひとりに選ばれる。


宇宙飛行士候補生に選出。


厳しい訓練を終え、正式に宇宙飛行士となる。

宇宙飛行士チームの一員に。



明晰夢だからか、鮮明に思い出せる。



てか、俺は何故実体なく宙に浮いて観測してるだけなのだ?


あのおっさんとかやられちゃったのに…


やっぱ、特に意味なんかないか!


ただの夢だしな!



◇◇◇



あれからずいぶん時間立つがアレックスは出現しない。



俺は、透明人間なのかなんなのか、どうせ夢なので一か八か大声で呼びかけたがなんも起きなかった。



こりゃ誰にも気づかれず何にも干渉できない存在っぽいな…。



◇◇◇



軍人!


虎ばさみにかかってしまった人間助けに行った!


あ!


解除しようとしたら弓矢で…!


人助けに行くのを見越しての罠だったのか…。



アレックスはその様子を伺っている。



なぜか?


アレックスは、特殊部隊のスナイパーとしての経験から、状況をこう分析しているのか。


敵の戦術分析、敵は囮、わざと負傷だけさせた者、を使って動きを制限し、救助者を狙い撃つ戦術キリングゾーンの形成をとっている。

あの軍人はそれに引っかかった。


敵の配置予測、軍人を撃った矢の軌道などから逆算して、敵のスナイパーの潜伏位置を特定。


現代の人なら大体助けに行ってしまう…。



だが、アレックスは違った。




◇◇◇



「動くな!」



捜査機関の男は剣を現地人の背に当てた。



その刹那、刺されても良い、と言うような気にせず振り向き、現地人は無表情で男の顔面をフルスイングで殴りつけた。



更に倒れた男に手加減など一切ないサッカーキック。



この男は現代人故の倫理観で相手を傷つけてはいけないと意識的にか無意識的にか分からないが…


それに引き換え現地人にはそれが無い。


背中に剣を突きつけられているのに、恐怖の色すらなく刺されても構わない、と肉を切らせて骨を断つ覚悟で即座に反撃。


そうでもしないとやられてしまうのだろう…そんな時代、世界の人間なのだ…。


命のやり取りに対する、現代人との圧倒的な覚悟の差か…。



背中に刃物が当たったな。じゃあ振り向いて殴ろう。ではなく、もはや脊椎反射。


全く躊躇なっかった。



現代人はきっと「えっ、こいつ刺されるの怖くないの!?」となったのであろう。



昔の人やこの異世界の現地人は、やらなきゃやられるからやる。ただそれだけってことか…



俺の世界の戦国時代やWW1とか昔のそれと同じ淘汰の時代、淘汰の世界…。


現代の倫理観や話し合えば分かる。という常識が1ミリも通用しない、油断した者が一瞬で消し去られる恐怖の時代…。



俺、ミリタリーも歴史ものも好きで分析してしまう…


戦国時代

内乱が続いていた時代


力こそが正義。

下の者が上の者を実力で倒してのし上がる(下剋上)が当たり前。

昨日までの味方が、今日裏切って命を奪いに来るのが日常茶飯事。


一般人の倫理観も現代とは違う。

実際の戦国時代の農民も非常にたくましく、かつ獰猛だった。落ち延びてきた敗残兵の武士を襲って武器や身ぐるみを剥ぎ取る、落ち武者狩りを、臨時のボーナス収入として平然と行っていた。


おっさんが笑顔で手を振って近づいて即座に弓矢でやられていた。

戦国時代に、どこの誰とも分からない不審者が笑顔で近づいてきたら、現地人は怪しい奴、スパイか野盗だ。と判断して、対話する前に首をはねるか矢を放つ。

綺麗事の通用しない戦の時代。


WW1人類史上最も残酷な塹壕戦の時代


機関銃や毒ガス、強力な大砲といった、近代兵器が初めて本格投入された時代。


地獄の塹壕戦。

敵の機関銃から身を守るため、両軍は地面に深い溝(塹壕)を掘って立てこもる。

泥まみれの溝の中で、ネズミや病気と戦いながら、数メートル進むためだけに何万人もの兵士が突撃しては機関銃で撃ち落とされる、精神がおかしくなるような泥沼の消耗戦。


狙撃手スナイパーの恐怖

塹壕から少しでも頭を出したり、不用意に動いたりした者は、どこからともなく飛んでくるスナイパーの弾丸で頭をぶち抜かれる。


虎ばさみにかかった人間を助けに行こうとした軍人が、見事な罠にハメられて弓矢で撃たれた。

WW1の戦場でも日常的に行われていた戦術。


WW1の狙撃手は、あえて敵の兵士の足などを撃って負傷させ、戦場に取り残す。

負傷した兵士が痛みに叫ぶと、仲間の兵士たちは塹壕から飛び出して救助に向かう。

スナイパーは、その助けに来た優しい仲間を、狙い澄まして次々と仕留める。


現代人は困っている人がいたら助ける。

笑顔で挨拶すれば敵意がないと伝わる。

対話ができる。

話せば分かる。

という安全な世界のルールで動いている。

だが、この異世界は、その淘汰の時代と同じように近づく不審者は即排除…。





「お前の背後にいきなりその男現れたっぞぉ」



「んだな、気配全く感じず後ろ獲られるなんて逆神隠しだんべ」



「せっっかっく背後獲れたのに、あの男なんでやらなっかんたんべ?」



「わからん。魔族のことなんか全くよーわからんわ!さ、畑仕事いくべ」



「はよやらんとおっ母にどやされるべ!」


「おー、こわ!!」


「魔族より、おっ母の方が怖いべ!魔王よ魔王!」


「ははははは!」


「ん?」


「…」


「…」


現地人は一瞬お互い目配せし、即座に背中を合わせし構えた。



即座に森の茂みへ消えて行った。



◇◇◇



相当な時間経過し、それは起きた。



アレックス、村八分、さらう!




ホステージ・テイク



———


続く


———

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