第9話: ライバル転生者の影! 剣と銃の激突
王都のギルドは、いつもよりざわついていた。掲示板に新しい高難易度クエストが貼り出され、冒険者たちが群がっている。内容は「魔王軍前線基地の偵察と破壊」。報酬は金貨200枚と、王国からの特別勲章。危険度S級相当だ。
ルーナが目を輝かせる。
「これ、俺たちでやるしかねぇだろ! 勇者、フィギュア軍団とスナイプで一気に片付けようぜ」
エルフィア王女も頷く。
「はい。魔王軍の動きを止めるチャンスですわ」
俺は少し緊張しながらも、頷いた。訓練でスナイプの自信がついた今なら、いけるかも。
クエスト受注後、俺たちは王都北方の荒野へ向かった。目的地は岩山に囲まれた谷間。魔王軍の前線基地は、そこに簡易要塞を築いているらしい。
偵察中、ルーナが異変を察知。
「誰かいる……人間の気配だ」
俺たちは岩陰に隠れる。谷の反対側から、一人の男が現れた。黒いマントに、腰に巨大な剣。20代後半くらいの、鋭い目つきの男。転生者特有の「異世界感」が漂っている。
男が俺たちに気づき、近づいてくる。
「ほう……勇者か? 俺も召喚された転生者だ。名前はケンジ。スキルは『剣聖』。一振りで山を斬るぜ」
ケンジはニヤリと笑う。明らかに俺たちを値踏みしている。
「魔王軍基地のクエスト、俺一人で受けてたところだ。お前ら、邪魔だな」
ルーナが剣を抜く。
「邪魔ってなんだよ。ギルドのクエストだろ。一緒にやればいいじゃん」
ケンジが肩をすくめる。
「俺の剣だけで十分。邪魔が入ると面倒だ」
俺はヘタレ根性で黙っていたが、ケンジが俺を指差す。
「お前が噂の『機械召喚士』か? 小さな鉄の玩具で戦うって聞いたぜ。笑えるな」
大佐の声が頭に響く。
《司令官、挑発です。冷静に》
俺はエアライフルを構える。
「玩具じゃない。俺の仲間だ」
ケンジが剣を抜く。刃が青く光る。明らかにチート級の剣だ。
「なら、試してみるか? お前の軍団 vs 俺の剣。どっちが強いか」
ルーナが止めようとするが、王女が静かに言う。
「ここで決着をつけましょう。魔王軍の前に、味方同士で争うのは無意味ですわ」
ケンジが笑う。
「いいぜ。基地の偵察前に、軽く遊んでやるよ」
戦闘開始。
ケンジが一瞬で距離を詰め、剣を振り下ろす。地面が割れるほどの威力。ルーナが剣で受け止めるが、押し負けそう。
「くそ、強ぇ!」
俺は後方に下がり、フィギュア軍団を全展開。ティーガー、パンター、戦闘機、歩兵。総勢30体以上。
「陣形B! 包囲射撃開始!」
フィギュアたちが一斉に動く。ティーガーの主砲が轟き、ケンジの足元を砕く。パンターが側面から機銃連射。戦闘機が上空から爆撃。
ケンジは剣で弾を弾き返す。チートすぎる。
「ははっ、面白い! でも、これくらいじゃ……」
ケンジが跳躍。剣に魔力を集中し、巨大な斬撃波を放つ。フィギュア軍団の半数が吹き飛ぶ。壊れたミニ戦車が地面に転がる。
大佐の声が焦る。
《司令官、損害大! 撤退を》
俺は心臓がバクバクする。でも、逃げられない。
「みんな……俺が援護する!」
俺は岩陰に伏せ、エアライフルを構える。距離は150メートル。ケンジの動きを追う。剣を振るう瞬間、隙ができる。
スコープ越しに、ケンジの肩を捉える。風、息、心拍。訓練の成果を総動員。
パンッ!
BB弾がケンジの肩をかすめる。血が飛び、ケンジがよろめく。
「な……何だ、今の!?」
俺は連続射撃。
パンッ! パンッ! パンッ!
二発目は足、三発目は剣を持つ腕をかすめる。ケンジが膝をつく。
「くそ……遠距離からこんな精度で……!」
フィギュア軍団が再編成。残った戦車が砲撃、歩兵が射撃。ルーナが突っ込んで剣を交える。王女の魔法が援護。
ケンジは剣を地面に突き立て、息を荒げる。
「……負けだ。俺の剣が、届かなかった」
ケンジは剣を収め、立ち上がる。
「悪かったな。お前らの力、認めるよ。基地の偵察、一緒にやろうぜ」
俺はホッとして、エアライフルを下ろす。ヘタレの俺が、チート剣士を止めた。胸が熱い。
大佐の声が優しく。
《司令官、ナイスショット。君の成長だ》
ケンジが俺に手を差し出す。
「これからは仲間だ。よろしくな、勇者」
俺は握り返す。
「うん……よろしく」
基地偵察は、ケンジの剣と俺の軍団とスナイプで完璧に成功。魔王軍の配置図を入手し、王都へ戻る。
夜、邸宅で皆で祝杯。ルーナが笑う。
「お前、すげぇよ。スナイプでチート剣士を黙らせたんだぜ」
王女が俺の手を握る。
「太郎様……本当に誇らしいです」
俺は照れながら思う。フィギュア軍団、仲間たち、そして俺自身。みんなで強くなってる。
でも、まだ魔王軍の本隊が待ってる。俺の戦いは、これからだ。
(第9話 完)
(つづく)




