第7話: スナイプ訓練の始まり! 大佐の厳しい指導
王都の邸宅の庭は、広くて静かだった。夕暮れの陽が石畳を赤く染め、風が木の葉を揺らす。俺は棚からエアライフルを取り出して、じっと見つめていた。BB弾仕様のスナイパー型で、サバゲーで使ってたやつだ。異世界に来てから一度も触ってなかったけど……最近、フィギュア軍団の活躍を見てるうちに、胸がざわつくようになった。
「俺も、何かできないかな」
ルーナはギルドで飲みに行き、王女は王城で報告書を書いてる。庭は俺一人。試しにエアライフルを活性化してみる。
スキルが反応。BB弾が光り、弾倉が無限になった気がする。スコープを覗くと、視界がクリアに。まるで本物の銃みたいだ。
「よし、撃ってみるか……」
的は庭の木に立てた板。距離は50メートルくらい。息を止めて、引き金を引く。
パンッ!
弾は木の端をかすっただけ。外れ。
「くそ……やっぱりヘタレか」
その時、頭に無線のような声が響いた。
《司令官、何をやっている》
大佐のティーガーIフィギュアが、俺の足元で止まっている。ミニサイズなのに、威圧感がある。
「え、大佐……見てたの?」
《当然だ。司令官の射撃フォーム、素人丸出しだ》
他のフィギュアも集まってくる。パンター中尉、歩兵軍曹たち。
《司令官、訓練が必要だな》
《同意。俺たちの司令官が、ただの後方支援じゃ困る》
俺は苦笑い。
「俺みたいなヘタレに、訓練なんて……」
《甘えるな、司令官》
大佐の声が厳しい。
《先日のダンジョンで、君の判断がなければ俺たちはもっと苦戦していた。君のミリオタ知識が、作戦の基盤だ。射撃も同じ。潜在能力はあるはず》
「潜在能力……?」
《そうだ。試しに、遠くの的を狙ってみろ。木の枝の先、100メートル先だ》
俺は渋々スコープを覗く。枝の先が小さく揺れている。風が強い。息を止めて、ゆっくり引き金を引く。
パンッ!
弾が枝をかすめて、葉が落ちた。かすっただけだけど、当たった!
「え……当たった?」
《ふむ。偶然ではないな。司令官、素質がある》
大佐の声に、少し感心した響き。
《今日から訓練開始だ。毎日、朝から夕方まで。休憩は最小限》
「えええ!? そんなに厳しく!?」
《軍人たるもの、甘えは許さん》
他のフィギュアが無線で盛り上がる。
《司令官、頑張れよ!》
《俺たちも援護するぜ》
訓練が始まった。
まずは基本姿勢。立って、膝立ち、伏せ撃ち。スコープの合わせ方、息の止め方、風の読み方。大佐が細かく指示。
《息を止めろ。心拍を意識しろ。引き金は指の腹で、ゆっくり絞れ》
俺は汗だくで繰り返す。最初は全部外れ。弾が地面に落ちる音が虚しい。
「もう無理……疲れた……」
《チッ、根性が足りん》
「今、舌打ちしたよね!?」
《してません。幻聴です、司令官。もう一度!》
定番のやり取りに、俺は思わず笑ってしまう。ヘタレだけど、なんか楽しい。
午後になると、的を動かす訓練。フィギュアの歩兵が的を持って走る。動的射撃だ。
パンッ! パンッ!
何発か外すけど、3発目で命中。
《ナイスショット!》
軍曹の声が響く。褒められると、嬉しい。
夕方、訓練終了。俺はへたり込んで息を切らす。
「はあはあ……死ぬかと思った」
大佐が俺の前に立つ。
《初日としては上出来だ。司令官、君はスナイパーとしての素質を持っている。明日から距離を伸ばす。200メートル、300メートルと》
「マジか……」
《だが、司令官。俺たちは君の命令を待つ。君が前線に出る日が来るまで、俺たちは全力で守る》
他のフィギュアも同意。
《司令官、俺たちと一緒に無双しようぜ》
俺は頷く。胸が熱くなった。
ヘタレの俺が、少しずつ変わり始めている。フィギュア軍団が仲間で、大佐が厳しいけど優しい師匠みたいだ。
夜、ベッドで考える。明日も訓練か……。でも、嫌じゃない。むしろ、楽しみかも。
異世界で、俺の戦いが本格的に始まる予感がした。
(第7話 完)
(つづく)




