第2話: 王女とフィギュア軍団、初の共同戦線!
森の中、俺の部屋の前に立ってる金髪美少女――エルフィア王女は、申し訳なさそうに頭を下げた。
「本当に申し訳ありません。高橋太郎様。勇者召喚の儀式は成功したはずだったのですが……どうやら異世界の“座標”がずれ、私の魔力だけでは制御しきれず、あなたのお部屋ごと引き込んでしまったようで……」
座標ずれって、シミュレーションゲームのバグかよ。まあいいや、美少女王女が土下座してるんだから許すしかないだろ。
「まあ、結果オーライってことで。こっちもチートスキルもらったし、部屋も無事だし」
エルフィアがぱっと顔を上げる。碧い瞳がキラキラ光ってる。
「スキル……ですか? さっきの小さな鉄の戦車や空飛ぶ戦士たちは……?」
「あれは俺のコレクション、ミリタリーフィギュアだよ。スキルで動かせるようになったんだ」
俺は棚からもう一体、戦闘機フィギュアを取り出して活性化させてみせる。小さなゼロ戦がぶんぶん飛んで、エルフィアの周りを旋回する。
「きゃっ! すごい……! これがあなたの力……!」
王女、完全に目がハートになってる。やばい、萌え死ぬ。
「で、王女殿下。魔王がどうとか言ってたけど、具体的にどういう状況?」
エルフィアの表情が急に真剣になる。
「実は……この森の奥に、魔王軍の斥候部隊が潜んでいます。私、調査に来たのですが、護衛の騎士団とはぐれてしまい……このままでは王国に報告もできず……」
つまり、王女がピンチってことか。
その時、ブッシュがガサガサ鳴った。さっき倒した狼よりデカい、双頭のオオカミみたいな魔物が三匹、牙を剥いて現れた。
「デュアル・オークウルフ! 危険です、太郎様!」
「任せとけ!」
俺は即座にフィギュアを三体活性化。
1. ティーガーI戦車フィギュア → ミニ主砲装備
2. パンター戦車フィギュア → 機動戦タイプ
3. メッサーシュミット戦闘機フィギュア → 空戦支援
「いくぞ、俺のフィギュア軍団!」
ミニティーガーが前進し、主砲をブチかます! 一匹の頭を吹き飛ばす。
パンターが横から回り込んで側面射撃、もう一匹を転倒させる。
メッサーシュミットが上空から機銃掃射で残りを蜂の巣に。
戦闘時間、わずか三十秒。魔物全滅。
エルフィアが呆然と口を開けたまま固まってる。
「信じられません……あれほどの魔物を、こんなに簡単に……」
「まあ、ミリタリーフィギュアだからな。元が強い兵器ばっかだし」
俺は得意げに胸を張る。内心はめっちゃ興奮してる。現実で戦車動かして戦うとか、夢すぎるだろ!
「太郎様……! どうか、私を王国までお送りください! そして、ぜひ我が国をお助けいただけないでしょうか!」
王女が両手を握って懇願してくる。近い、近いよ王女! 顔が近い!
「え、えっと……まあ、行くあてないし、いいけど……」
「ありがとうございます! では、早速出発しましょう!」
エルフィアが俺の手を引っ張る。ちょっと待て、俺の部屋はどうするんだ?
「部屋は……スキルで“収納”できるみたいだぞ? 試してみるか」
念じてみる。すると、部屋全体が光に包まれ、俺のステータス画面みたいなのに“オタ部屋(拠点)”として登録された。いつでも呼び出せるらしい。便利すぎる!
「よし、じゃあ行こうか」
俺たちは森を抜け、街道へ出た。王都までは馬車で二日らしい。
道中、エルフィアが色々説明してくれる。
・この世界は「アステリア王国」を中心にいくつかの国がある
・魔王軍が三年前に復活し、徐々に領土を侵食中
・勇者召喚は王家の秘儀で、百年ぶりの試みだった
・俺のスキルは“召喚魔法”の一種として認識されてるらしい
「太郎様の力は、まさに伝説の“機械召喚士”のようです! 古い書物に、鉄の馬車を操り、軍団を率いた英雄の話が……」
機械召喚士? なんかカッコいい響きだな。
夕方、街道沿いの小さな村に着いた。村人たちが怯えた顔で集まってくる。
「王女様! 無事で何よりです! しかし、夜になると最近ゴブリンどもが……」
村長らしきおじいさんが言う。どうやら毎晩ゴブリンが襲撃してくるらしい。
エルフィアが俺を見る。
「太郎様……お願いできますか?」
「もちろん。俺のフィギュア軍団、夜の守備に最適だろ」
夜、村の周囲にフィギュアを配置。戦車型をバリケードに、兵士フィギュアを歩哨に、戦闘機を偵察に。全部で十体くらい並べる。
ゴブリンの群れが来た。五十匹はいるか?
「全軍、攻撃開始!」
フィギュア軍団が一斉に動き出す。主砲の轟音、機銃の連射、爆撃。村の広場が戦場みたいに閃光で照らされる。
村人たちは口をあんぐり開けて見てるだけ。十分でゴブリン全滅。
「す、すごい……女神の使徒様だ……」
村人たちが俺に頭を下げる。なんか照れくさい。
エルフィアが微笑みながら近づいてきた。
「太郎様……本当にありがとうございます。この力なら、きっと王国を、みんなを救えます」
王女の笑顔が、まぶしい。
――こうして、俺の異世界生活、本格的にスタートした。
フィギュア軍団を率いて、王都へ。
でも、俺まだ気づいてなかった。この力が、ただの“動かす”だけじゃなく、もっと大きなものに変わっていくなんて。
(第2話 完)




