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送り花  作者: 風楽
6/7

6話目

6話目だい!

あるなんも変哲もない昼下がり冬には珍しい暖かい風が流れている時


 「チッ」っという舌打ちがなる

その行動は苛立ちによって行われるものだがこんな穏やかな日にする人。

それは一人宙に浮かんでいた。

黒い服に身を包みフードを被っている。フードの隙間から赤い髪が少し見える。

その者の視線はある一点を見つめている。


ある学校の屋上、一人の制服を着た少女であった。


 「嫌なもん見るぜ」


その者は嫌悪が混じった視線で少女をみる。

屋上で少女がどこか清々しい表情をしていた。

この天気に似合ういい表情だと言えると思った。


その時 


ドン! という鈍く重いものが落ちた音がした。先程の所には少女はいない。


音が鳴った数秒後悲鳴と困惑の声が響いた


それを見ていた彼女は「クソっ最悪だな」と呟きながらフードを外しその惨状を黙って見つめていた。




一方

送り人は一人のんびりと紅茶を嗜んでいた。

ふぅ。やはりこの紅茶はいいですね」

そう言って机に置いてある茶葉が入った瓶を眺める。

数日ある愛する人の絵を描き続けた絵師に貰った大切な紅茶だ。

リラックスしているとチリンとドアのベルがなる


「さて仕事ですね」


そう言っていつも通り送り人は支度をする

紅茶を片して、ローブを着て、準備が終わりドアに手をかけ出ようとした瞬間


「・・・今日は嫌な日ですかね」


送り人はぽつりとその言葉を零すとグッとドアノブを握りゆっくり踏みだして行った。




送り人が目的の場所へ着く

そこはある学校の屋上。見覚えがあった。ある男性が楽しそうに音楽を奏でたところだ

だがそこはあの時の静けさとは違い平和な様子はなく酷く混乱した状態だった

ある1箇所の場所に集まる人々。生徒や先生達。

そこにはブルーシートが何かを隠すように設置されていた。

スマホを持つ者。友人同士と話し合っていたりする者。

そしてその人混みの中から警察と救急隊がおりブルーシートの空間の中に出入りしている。


少し隙間から見えたところには白の校舎の壁に赤くまばらに広がった景色が見えた。


何があったのかと周りを見聞きしていると。

少し離れたところにはパニックで泣いている女子生徒を落ち着かせる保健の先生。

警察と話す生徒。

その会話は

「俺っ、こいつらと…遊んでたらいきなりっ人が、目の前に落ちてっ。っそれで」

「うん。ありがとう。ゆっくりで大丈夫だよ」


周り全てが騒がしい。人も空気も何もかも。ずっと落ち着かない空気だ。

その空気はとても嫌で今すぐ出ていきたいと思うほどであった

「やはり嫌な予感が当たりましたか。」


送り人は顔には出さないがフードを深く被り仕事をしようとする

すると


「おい」


後ろ声がかけられる


本来送り人は生きている人からは見られない

死に際が近い人や特別な人以外は見られることは無い。

絶対にだ


だがもうひとつ


見られることがある


話せることがある


一緒に仕事をすることが出来る



送り人はゆっくりと後ろを振り向き、

少し緊張していた顔から微笑んだ顔で挨拶をする


「こんにちは先輩」


送り人の先には黒のフードを来た女性がいた


ヒールを履いたその人は背は送り人より高く、髪は鳳仙花のような赤色の髪と瞳を持ち炎が燃えているような印象を持つ。

どこか頼りになる雰囲気を持ちそしてどこか圧倒される存在を持つその人。

でも怖くは無い。安心もできる人


それは送り人の先輩。亡くなったものを死後の世界へ送る送り人としての仕事の先輩だった。


「お久しぶりです。先輩。」

その問いかけに彼女は送り人の頭をぽんと撫でながら返す

「よう。元気だったか?」

「はい。おかげさまでやれています。」

「そーか。そうだっ暇だったらあたしの仕事手伝ってくれよ。」

おちゃらけた様子でケラケラ笑う先輩をどこか困った顔でこう言う

「それは…先輩また仕事貯めてますね?」

「違う違う。 多すぎるんだよ、すーぐに誰か死ぬんだから」

白い髪を持ち優しい送り人と違って赤い髪を持つ彼女は豪快に笑いながら少し、いやなかなかな言葉で仕事の話をする

だがすぐに真顔になり送り人をじっと見つめた。

彼女は先程とは違った様子で話す

「行けるか?」

「えぇ。行きましょう」

そして2人はゆっくりと目的の場所へ歩いていく


学校内

普段は授業が行われ静かな廊下。今は人が行き交っていた。

その人たちを避け2人は上へ続く階段をゆっくりと昇っていく、


「……もしかして見たんですか?」

「・・・あぁ。最悪だった。」

「やはり今回は」

「まあお前の察しの通りだよ」

「…今日は嫌な日ですね」

「あぁ。嫌な日だ」

2人の会話は途切れもう少しで目的の場所だった。

「嫌になったらすぐ抜けろよ」

「いえ、、その人に特に思うことがないので」

「、、、そうか」


2人は目的の場所、屋上の扉に手をかける

「行くぞ」

「はい」


ゆっくりと開く

そこには警察の鑑識だろうか数人がいた。でもそこではなく屋上にある少し壁になっているとこのろの裏、人が少なく影になっている場所へ向かう

コツコツとヒールの音を鳴らしながら堂々と向かう先輩。それを送り人は無言でついて行く。


着くとそこには一人の少女がいた

どこかあっけらかんとした様子で制服を着て体育座りをするその子は2人を見つけると無言で見つめすぐハッとした顔になる。

「あれ?見えてるの?」

ふたりが頷くと少女は嬉しそうに話しかける

「へぇ!すごいすごい!霊感ある人?でも学校の人じゃないよね?警察とか救急の人でも無さそうだしてか真っ黒すぎだって暑くないの?。」

笑顔と訝しげな表情を繰り返す子は先程亡くなったばかりと思わないほど元気よく話していた


送り人が話しかけようとすると


「あたしらは送り人。てめぇみたいな死んだやつを死後の世界へ送るもんだよ。」と荒々しく答える

少女は口調に驚いたのか「え?なんか怖」と小さく呟く

「てめぇみたいなやつに優しい言葉でいいたくねぇよ」

本来なら送り人としてありえない行動だがイラついている先輩はこういった


「自分で喜んで自殺するやつなんかにな」


その瞬間その場がピリリと固まる


「ふーん……もしかして見てた?」

からかう口調で言うそのこに先輩にとうイライラした顔で

「あぁ。クソだったよ」

少女はそのイラつきに気づかないのか笑いながら

「ひどいなぁ。そこまで言われるなんて思わなかったよ」

「チッてめぇ何のためにこんなこと」


まるで襲いかかる3秒前のような状態の先輩に、落ち着いた声が響く


「先輩。落ち着いてください。私たちの仕事は死後の世界へ送るだけです」


落ち着いた表情、いや何も思っていない表情を見た赤の女性は目を瞑り「ふぅー」っと一息ついてから「すまん」と言いもう一度少女を見た。


「お前の未練がないか、お前の苦しみはないか。お前を送るために必要な工程だ。やりたいことやらしてから送るんだ。何かあったら早く言え」


落ち着きを取り戻した彼女は口は悪いままだが送り人としての仕事に取り組み始めた。送り人はそれを静かに見守り少女は気の抜けた表情をしていたがゆっくりと笑顔になりながら

「じゃあ!あそこ行きたい!」

と元気よく言い始めた。


そこは人が賑わう道だった。喫茶店や服やお菓子や流行りのものが売られていて流行りがあって中、高校生に人気の場所!と言える場所だった。平日の昼間だがなかなかに人がいる。


「やったぁ!すいてる!カフェ行こ!」そういった後に送り人が冷静に答える。

「私達送り人や死者が生者の方々に見られることはありません。なので入れませんよ。」

「えぇ!なぁんだラッキーだと思ったのにぃ」

つまらなさそうな顔をしながら流行りのドリンク店をみる少女に送り人は話す

「これは未練になりそうですか?」

「ハハッいやいやそこまで重要じゃないよ。飲めたらいいなーぐらいだったしそれに」

「それに?」

「やりたいことはぜぇんぶやっちゃぅたからさもうここにいる必要は無いよ」

少女は眉をひそめた顔で笑っていた。


その後ぶらぶらと歩きながらあっちこっち行く少女を無言とイラつきの先輩と無表情の送り人がついて行く。そして日が暮れ学校から学生や仕事帰りの人々が帰る頃、3人は少し高い丘に歩いていった。


「やーっぱりなんも面白いことないね」

少女はつまらなさそうに2人に話しかける

「わたし17だけどさやりたいことぜーんぶやってさなんも面白いことなくなっちゃったんだよね。友達も勉強も部活も必要最低限なことやり切ったし趣味があるかって言われたらなかったからさ」

2人はその話を黙って聞く


「なぁんでこんなつまらない世界なんだろうね。知りたいことは調べりゃすぐに出てくるし自分で出来ることばっかだったし。母親も父親もつまらないやつだったし」

その言葉を聞いて先輩は拳をぎゅっと握る

送り人はその様子を気にかけながら少女の死んだ理由を聞く

「友達だってどれだけ仲良くなってもそれは最低限のこと。どうせどっかで別れるしどっかで消える縁なんだからさ」

そして振り向いてこういった

「だから私が消えても問題ないでしょ?」


その送り人は何も答えれない。だが隣で「チッ」っと舌打ちをおとが聞こえたと思ったらズカズカと近づいて少女の首の周りの服を握り

「てめぇがそういったっててめえがいた事には変わりはねぇ!てめぇが居なくなったことで悲しんでる人がいるには変わりねぇんだよ!」

いきなりのことに「は?いたっ」と言いながら少女は驚いていると先輩は送り人に向かって

「おい!遺体ある場所にいくぞ!」

と文句を言う少女の首根っこを掴みながら空を飛ぶ。

「わかりました。」とついて行きながらしばらくした後病院に着く。そして遺体安置所に歩いていく

少女が「ちょっいたいって」と抗議の言葉を言っても黙っりドアをスルスルとすり抜けある部屋に着いた途端バッと投げるように離した


「ちょっいったぁ。何すんよの」

「……ろ」

「は?」

「お前を見て悲しんでいる友達と家族を見ろ!」

少女が渋々と後ろを振り返るとそこには顔に白い布をかけられた少女であると推測される遺体と周りで泣く少女が関わってきた人達だった。


友人達は「なんでっなんでよ相談してよゆり」「やだぁぁぁおきてよぉぉぉおきてよぉ!」「っつ……うっぐす」と泣いてベッド周りで固まって泣き

家族になると

母親は「ゆり!ゆり!ゆりぃぃ」ととっくのとうにぬれたハンカチで目元を押えベッドに縋るように泣き

父親は「何か辛かったのか?俺たちじゃ頼りにならなかったか」と遺体の手を握り静かに涙を零していた。

少女はその光景を見て少し呆然としていたがかすれるような声で

「え?な、なんで?遺書置いてあったっしょ?読んでないの?つまんないからって書いたじゃん?なんで…なんでみんなが泣く必要あるの?」

「まだ分からねぇのか」

困惑する少女に先輩が赤い髪を燃やすように怒る

「いいか死者にとってはこれで終わりだと。何もしなくていいと勘違いする奴がいるがなそれは違う!残された奴らや巻き込まれたやつの心はどうなる!自分のせいなのかや一緒に居てあげればという後悔を持ったりこれからも一緒にいれるという希望を壊されたんだ!」


送り人はその先輩の後ろで静かにしている。


「今まで死んできたやつだっててめぇみたいに死にたいから死んだわけじゃねぇ!不慮の死に方や生きたくても生きれなかった。自殺だって苦しくて苦しく

て嫌だけどっていたやつもいる!」

その言葉を少女は口をわなわなとしながら「ちがっそういうつもりじゃ」と慌てて訂正しようとする。何を訂正しようとしているのか分からないのに。


「あたしがずっとイラついてたのはこの仕事をしていてそういう人を見てきてなのにあんたがそうやって軽い気持ちでやって周りのことを考えないで笑ってたからだ!」

少女は涙を零し始める。それを見て先輩が「なんで泣く必要があるんだ!」そう言おうとした時に送り人はゆっくりと声をかける

「先輩…もう」

首を横に振る送り人を見て「っぐ。……あぁクソっ」と頭をかきむしる。その顔は苛立ちがありでもその中にはどこか違う感情もあった。

送り人は涙を流す少女にこういった。

「私達は送り人。あなたを死後の世界へ送るもの。私はあなたの話を理解しますが興味も共感を持ちません。」


そう伝えると指をパチンっと鳴らし3人で送り人の部屋へ転移した。

少女が「あっ」と言うと送り人が「これ以上いたら新たな未練が出てしまうのでさっさとやりましょう。」と伝え椅子に座るよう促した。

「先輩。あとはやりますので休んでてください。」

先輩は送り人を見つめ「頼む」と言い隣の部屋へ歩いていった。

地べたに座り涙が止まらない少女にハンカチを渡し送り人は紅茶を入れに行った。



「どうして泣く必要があるんですかね」

そう呟きながらカモミールティーを入れ始めた。

りんごの風味が香るそれは泣いている人に向いているのだ。


紅茶を持って戻ると少女は目を赤くした頭で何か考えているようだった。

紅茶を渡しゆっくりとしたティータイムをおくる。少女が送り人に話しかける

「ねぇ」

「はい」

「……みんなってどれくらい生きるの?」

「詳しいことは教えられませんがあなたが生きた倍以上の時間はいきるのではないですかね」

「……」

また目に涙を貯める様子を見て疑問に思いながら送り人はこう言う

「時間も時間ですし死後の世界へ行くための話し合い初めてよろしいです

か?」

少しの時間動かなかった少女が無言で頷くの見た後に手を2回叩くと薄ピンク色の少しふわふわとした表紙の本が降りてくる。


輪島百合わじまゆりさん。あなたは両親、家族、周りの人々に支えられながら楽しく充実した生活を送っていました。ですが飽きたという理由で自殺を行いました。」

ペラペラとページをめくりながら続ける

「……私から見るとあなたの一人勝手な行動で周りの人を巻き込んだことを愚かだと思ってしまいましたね。

享年17歳。お疲れ様でした。」


その言葉を聞いた百合は嗚咽しながらか細い声で「ごめんなさい。みんなごめんなさい」ともう届かない人達に向け謝罪していた。



死後の世界のドアの前。

目の周りを真っ赤にした百合に送り人。そして戻ってきた先輩が紫の花を手渡す

「これは?」

泣き疲れて枯れた声で問う彼女に先輩はいう

「送り人が死者にやる最後の仕事だ。シラーって花だ。お前にピッタリだ。」

先輩は少女に目を合わせてこういった

「ちゃんと考えてまた会った時にしっかり謝れるようになってろ。それがお前にできる暇つぶしだ」

それを聞いたゆりはぎゅっと花を抱きしめ2人に深々とお辞儀をした。そしてゆっくりと真っ直ぐに死後の世界へ向かっていった。




「…行きましたね」

「だな。」

2人は部屋に戻り新しくいれたディンブラを飲んでいた。

「久しぶりに二人で仕事だったな」

「えぇ。最近1人だったのでまた新鮮な気持ちでできました。それに少し賑やかでした」

「賑やか、ね…お前人と話するの苦手なとこがあるからな」

「…やはり向かないのですかね?」

そういった送り人に先輩はチョップをし

「送り方はそれぞれだ自分のやり方を信じてやれ」

そのままわしゃわしゃと撫でる先輩は優しい顔だった。



「そろそろ帰るわ。仕事する。」

身支度を終えた先輩をお見送りするために二人でドアに向かう

「少し安心したわ昔と違って寄り添えるようになってて」

彼女は送り人の様子を見てふっと笑う

「仕事が片付いたらまたティータイムをしましょう」と笑顔で伝える送り人。先輩は「またな」と言いながら外へ出て自分の場所へ戻っていく。姿が見えなくなったのを確認してからドアを閉めゆったりと休む。


「人間は馬鹿な人もいるのですね。」

「言えたものではない…か。」


そういった送り人のどこか悲しい目線の先にはシラーの花弁が1枚落ちていたのだった


シラー・・・哀れ、寂しさ、多感な心、変わらない愛


自分を大切にしてください。誰かも大切にしてくれてますから


終わり


また会う時まで!

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― 新着の感想 ―
Xの方から伺わせていただきました! 個人的な印象として、各人物の台詞回しから生の人間っぽさをデフォルメしてある様な印象があり、この題材のものにしてはスルッとした読みやすさが作ってある作品だと思います…
送り人という存在を通して、愛・友情・感謝・後悔など、さまざまな感情が丁寧に描かれていてとても心に響きました。それぞれの物語に添えられた花のモチーフも印象的でした。 特に二話目が良かったです。太陽くんの…
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