後悔
加藤優介の異能『filling-in』は電磁波を介して対象となる人物の注意の指向性を操作することができる。その副次的効果として異能の出力に応じて周囲の人物の注意が散漫になる。
しかし、中島悠斗は現在全身をアルミニウムで覆い電磁波を反射させていたため近づかれるまではその効果の対象とならなかった。
だが、中島は魔法の杖を振り下ろす際にその袖口を加藤に向けてしまった。それゆえ中島の全身に電磁波が急激に入り込む。この異常事態に対し中島の脳幹はシャットダウン反応を引き起こし、急激に血圧・心拍数の低下を引き起こし意識を失った。
加藤優介や清水結衣含め、この状況を理解できる者はこの場にはいなかった。
中島君の叫び声でハッと我に返り、視界の右端に目を向ける。
やられた!!能力にあてられた!!
すぐさま自身の異能を全身に覆いながら崩れゆく中島君の手から魔法の杖を抜き取る。
ごめんなさい。
心の中でそうつぶやきながらフラつきながらこちらに向き直す加藤に贖罪を込めて杖を振り下ろす。
「ちぇすとぉぉおおおおおお!!!!!」
ボクの口から自然とその掛け声が溢れ出た。
杖は加藤のヘルメットを掠めながら床に振り下ろされる。
外した!?
そう判断したボクは再度脚を踏み込み杖を右から左に薙ぎ払う。
「ちぇっぁぁぁああああああ!!!!!」
ブンッ
加藤は反射的に後ろに下がり、杖を避ける。
くそっ!!また外した!やっぱり能力を全解放するしかないか!
ワタシはボクに話しかける。
どうしたの?
・・・。
まだワタシがこわい?あの頃のことが・・・
・・・。うん。
…。ねえ?なんでワタシのこと閉じ込めたの?
それは…。ボクがボクの大切な人を…傷つけるのが嫌で…。
そう…。ねえ?アレ見て?
?
今ワタシのせいで周りの人が傷ついてる。
…。
今ワタシたちが頑張ればこれ以上傷つくことはないんじゃない?
…。わかってる。
大丈夫だよ。大丈夫。ワタシならやれる。ワタシを信じて?
ボクを信じる?
そう。ワタシを信じる。ワタシもワタシを信じる。
うん。
一緒に頑張ろう?ね?
うん。今まで閉じ込めてごめん。一人にしてごめん。
一緒に頑張ろう。
ワタシは心の鎖を丁寧に外し始めた。




