接敵
「それじゃあ予定通りにな。」
『ああ。報酬分の仕事はさせて貰うぜ。今後のお互いのために・・・な。』
俺は携帯を左耳から外し、通話を終了する。
これで計画は完璧だ。始めは奴らが全く見つからずどうしようかと思ったが、まさかのところにヒントがあった。前に見かけたとき、奴らは学生服だった。つまり、あいつは高校に通っている。そして、この周囲であの時間に下校できる高校は1つしかない。少し考えれば分かることだったと反省する。俺は間黒高校の情報を集めるためにホームページを開くと、つい微笑を浮かべてしまった。
文化祭だ。
つまり、その会場に行けば確実にあの女の娘と接触できるってことだ。
あとは教会の資金で暴力団に協力させた。といっても奴らは陽動だ。
まず、第一段階として駐車場で騒ぎを起こし、そこに警備を集中させる。
次に会場内のスタッフの注意を引いて貰う。これで侵入が容易になる。
最後に俺が会場内であの女の娘と接触すれば終わりだ。
クックック
見てろよ?お前が尻尾巻いて逃げたおかげで、お前の娘がどうなるかをなぁ!!
「さて、そろそろか。」
俺は人払いを使いながらホールの西側の出入口の方に向かう。駐車場から向かう途中、ふとホールの中を覗き込むと…いた。確実にあの女だ。
ふっ
どうやら俺の能力にあてられているようだな。奴も落ちたものだ。あの頃の方がよっぽど恐ろしかったぜ。
しかし、お前の隣にいるその男はなんだ?ふざけているのか?
………。
まあいい。これで計画は簡単になった。なにせ最大の壁であるお前がそこにいて既に出来上がっているんだからなぁ。しかし、『占い師』の言っていた言葉が引っかかる。「頭の怪我に気を付けろ」っつったってどうやったら怪我すんのか…意味が分からねえ。だがまあ念のためだ。バイクのヘルメットでも被っていくか。
扉を開け、ホールの中に入る。左に受付があるが中にいる奴は俺に意識を向けることはできない。俺は構わず奴に近づく。
10m・・・
さっきまで日の光に当たっていた身体が柱の影に入る。奴は完全に反対方向を向いていて俺が近くにいることにまったく気付いていない。
5m・・・
まだ気付かない。隣の男が一瞬俺と目が合った気がしたがそもそも俺の能力は無敵だ。ただのガキに破られるなんてありえねえ。
3m・・・
奴は顎に手を当てて何か考え込んでいる。何か違和感を覚えたか?しかし、この距離なら…いける!
俺は右手を伸ばしてながら奴に向かって走り出す。その瞬間俺と目が合う。やっと俺に気付いたようだがもう遅い!
奴まであと1mと言うところで目の前の男が何かを振り下ろし始める。
「チェストォォオオオオ!!!!」
男の丸めがねが竹刀に当たった光を反射させ、男の手から光のレーザーが振り下ろされた。
狂った猿のような奇声が俺の脳髄を支配した顔思った瞬間、頭部にハンマーで殴られたかのような衝撃が突き抜ける。
「ッ!?いってえなあぁぁあああ!!!!」
体勢を崩した俺は左手で頭を押さえながら男を見据えると、男はそれまでと一転し電池の切れたロボットのように膝から崩れ落ちた。
ああ!?何が起こった!?
俺は一瞬困惑しながらももう一度奴に向かって手を伸ばす。
すると、再度頭部に衝撃が突き抜ける。
「ちぇすとぉぉおおおおおお!!!!!」
故障した音響機器のような奇声が俺の脳髄覆い尽くした。




