魔法
互いにベストパフォーマンスを発揮できる様になったボク達に今最大の天敵が訪れていた。
暇である。
待機すること10分……
1年の合唱を終えたクラスが通り過ぎる。来場者した人20人中を3人案内した。
『えーこちら藤原~。こちら藤原~。駐車場、異常な~し。』
『あ~。こちら小川~。ホール前、同じく異常な~し。』
「あ~ボクも、ホール内異常な~し。」
さらに10分後……
急に人気が引いたのを感じる。1年の最後から2番目のクラスが通り過ぎる。来場者1名。腰がものすごく曲がったおばあちゃんだった。
特にトランシーバーでの連絡なし。
しばらく外の景色をボーッと眺める。
暇だな~。あっあの雲なんかソフトクリームに似てるな~。
そんなことを考えていると視界の左端の方で影が動いているのが見えた気がしたが、そんなことが気にならないくらい気が抜けていた。
すると…
「あ「チェストォォオオオオ!!!!!」
パァァアアアン!!
爆弾が破裂したかの様な大声が脳を支配する。
急に破裂音がしたと思って左を向くと頭を丸めて口にピアスをつけた男が、ボクの左横で白目をむいて膝から崩れ落ちた。
………。は?…は?
左側を見てみると右手にしな…魔法の杖を携えた銀色のマントが立っていた。
「えっと…?」
「誤チェストにごわす。」
「へ?」
「こやつは加藤じゃないでごわす。」
「いや。それは……まあ分かるけど。………なんで?」
「致し方ない犠牲にごわす。お前の命は絶対に無駄にしないでごわす。」
中島君は片膝をつき、気絶している口ピアスに語りかける。
……いや。何というか………まあいいや。
ボクは一旦口ピアスを階段の裏に移動させてから再び姿勢を正す。
今のは完全に事故だった。いや…いくら何でも…。っていうかあんなに大声出さなくても…。
………
うん?大声?
ボクはスタッフ用の出入口の方を見る。
なんであの声で受付の人はこっちに来ないんだ?
疑問に思ったボクはそちらの方に足を進めようとすると…
『あ~。こちら藤原~。ちょっとトラブル発生。』
『こちら小川~。どうした?。』
『駐車場で喧嘩発生。中年男性2人が大声で騒いでいる。警察が対応しているが今にも殴り合いが始まりそうだ。』
『了解。俺たちも応援に向かう。』
『どうも。』
「あ~こちら清水。了解。」
無線が終わると少し疑問に思う。小川先輩はなんでそっちの応援に向かった?警察が対応してるんでしょ?普通は先生とか呼びに行かない?
そんなことを考えてゆっくりと顔を上げ右を振り向くと…
「チェストォォオオオオ!!!!」
中島君がいつの間にか近づいてきたヘルメットの男に魔法の杖を空気を切り裂きながら振り下ろしていた。




