電磁シールド
「えっと…。中島君?その格好はなに?」
各クラスでの最後の打ち合わせを終えたボク達ミステリー研究部は、生徒会の手伝いのために一度ホール内の休憩スペースで落ち合うことになった。
2分間待っていると全身がメカニックにテカテカしたフードで全身を隠した、丸めがねで白色の竹刀の様なものを持った男がこちらに近づいてきた。
「これですか?これは…」
「よお!待たせたな!ってお前…その格好は…」
集合時間直前で慌てて小川先輩と藤原部長が走ってきた。
「知ってるんですか?」
「そりゃあな。しかしジェンダイの近視騎士のコスプレとはな。これは気合いが入ってるな!」
「ええ。かなり手こずりました。特にこの皺のところとかが難しかったです。」
どうやら何かのキャラのコスプレらしい…。まあ文化祭ならありっちゃありなのか?
「それにしてもそのライト「小川先輩。」
「ん?なんだ?」
「これは魔法の杖です。」
「いや。それはどう見ても「小川先輩。」
「これは魔法の杖です。」
中島君は堂々と小川先輩に宣言した。
「あ、ああ。そうか。まあ…うん。よくできてるな!(ぱっと見誰か分からんしな)」
「ありがとうございます。」
小川先輩はどうやら諦めたらしい…。
「よし!じゃあ全員揃ったことだし、まずは渡すものを渡しておくか。」
そう言って藤原部長はいつも部室の棚の下に置いてあった黒色の鞄から無線機の様なものを取り出す。
「これは?ラジオ?」
「トランシーバーだよ。」
藤原部長がおかもっちゃんの質問に答える。
「ここが電源ボタンで、ここが周波数で、ここが音量ボタン。何か質問ある?」
藤原部長が簡単に説明し、質問を促すその前で中島君は何かに気付いたらしくソワソワしていた。
「ん?中島君?どうかしたか?」
「ええ、はい。その…。トランシーバーって電波で通信するじゃないですか…。」
「?ああ。そうだね。」
あっ。
「アルミニウムって電波弾くんですよ…。」
「へえ。そうなのか。それで?」
その通りだね。うん。よく気付いたね。
「このカッパに貼り付けるのアルミテープなんですよ…。」
「うん?そうなのか。あっ、ああ!はいはい、なるほどね。」
「気付いてくれましたか…。」
どうやら藤原部長もようやく気が付いたらしい。
「えっえっ。どういうことですか?教えてください!」
若干分かってない人が1名。
「つまりね。中島君はこう言いたいんだよ。」
藤原部長はおかもっちゃんと顔を見合わせながら答える。
「中島君は今アルミニウムを全身に纏っているせいで、トランシーバーからの電波をみんな弾いちゃうから通信できないってね。」
「あっそっか!……でもそれって……中島君がそれを脱げばいいだけの話じゃないですか?」
『………。』
おかもっちゃんの冷静な質問にその場の空気が冬に戻ったような感覚に陥る。
「岡本さん…。」
「はい?」
中島君は優しくおかもっちゃんに声をかける。
「僕はこの文化祭中はここ服を絶対に脱がないよ?」
「へ?」
おかもっちゃんはまるで未確認生物の彫刻かのように固まった。




