加藤
「っそれでっこれからどうするの?」
ハンカチで涙を拭い、中島君に向き直る。
「ひとまずあの男のことについてまとめて対処法を考えましょう。先輩はあの男について何か知っていますか?」
中島君は冷静に状況を分析し、そう提案した。
「うん。ある程度は…」
ボクはあの男が教会の幹部であること、蒼の父親であることを話した。
「なるほど。つまり先輩は本当の狙いは蒼くんだと考えているんですね?」
「うん。多分だけど…」
「でもそれだと普通に小学校の方を狙うんじゃないんですか?」
「多分だけどそこにあの男の能力の秘密があると思う。」
「というと?」
「中島君も気付いていると思うけど、あの男は透明人間になることができる。実際に一部の人間を除いてあの男を協会の中で認識できた人はいなかったから。」
「一部の人間って?」
中島君は興味深そうに質問する。
「ボクとか教祖、あと他の幹部の人。…さて中島君その共通点は何でしょう?」
「う~ん。精神的距離が近い人ですか?普段接していた人とか…」
「そうかも知れないけど…ボクは能力者かどうかだと思うんだよ!」
ボクは自信満々に答える。
「確かにそれは当てはまるかも知れないですね。でもそれと蒼くんがどう関係してるんですか?」
「実はね?」
「…実は?」
ボクはもったいぶりながら答える。
「蒼も能力者!…かも知れない。」
「なるほど。確かに結衣先輩と加藤の血縁関係にある蒼くんは同じように能力者であるかも知れませんね。つまりこういうことですか…」
中島君は声を低くしながら続ける。
「蒼くんに手を出すとどうなるか分からないから、その姉である結衣先輩に近づこうとした…と。」
「多分そうだと思う。」
ボクと中島君はソファーにもたれかかりながらゆっくり回転するミラーボールを眺める。
「はー。ちょっとやりにくいね。」
「やりにくい?」
ボクは中島君に質問する。
「はい。僕は相手が…加藤がもっと単純でわかりやすい人だと思っていました。しかし、加藤は盤面をしっかり把握している。冷静で罠にかかりにくく、行動力もある。」
「加藤がバカなストーカーだったらってこと?」
「まあそうだったらやりやすかったですね。……ひとまず加藤が協会の命令で動いている可能性は一旦考えないでおきましょう。考えるだけ無駄です。」
「あ!……うん。…そうだね。その方が気が楽かも…。」
今初めて気がついた。というか考えないようにしていたのかも知れない。一番最悪な可能性だから…。協会は表向きは世界平和をうたって慈善活動に従事している。しかし裏では人体実験や臓器売買、さらには政府とも深い関係にある。そんな組織を相手にいくら能力者だと言ってもやり合うことは不可能だ。そのことは中島君も考えているはずだ。
「つまり、今打つべき手は…」
次回は加藤への対策です。お楽しみに




