カラオケ屋
「ここから少し離れた場所に暴力団の事務所があるのでこの辺りは安全ですね。」
「え!?暴力団!?いやいや全然安全じゃないでしょ!」
「まあ昔から居ますし、余所の気取った連中を牽制してくれてますし安全だと思いますが…」
「いやいや、ない!絶対安全じゃないから!」
ボク達は学校西門の坂の下の通りに向かう横断歩道で信号待ちをしていた。
っていうか暴力団事務所ってこの近くだったの!?治安どうなってんだよ!
「先輩。ほら、信号が青になりましたよ。」
「分かってるって。っていうか絶対あんたおかしいから!」
カラオケ屋に着いた。っていうか目と鼻の先だった。今度学校の帰りに友達と寄ってこ。
「じゃあ行きましょうか。」
ボク達は2階へ続く階段を登り、受付を済ませる。
この店舗では学生の割引があるらしく学生証を見せるとなんと10%割引だ。提示を求められた瞬間、中島君はズボンのポケットからすっと学生証を出していた。めっちゃ反応早かった。それはもう百人一首の全国大会のようだった。
時間は3時間コースで飲み放題を選んだ。
「オレンジジュースでいいですか?」
「ん~ボクはコーラで。」
「分かりました。入れてきます。」
中島君は先にドリンクバーに行くようだ。
ボクは中島君の荷物とマイクを持ってボックスに向かう。
ボックスに入ると天井にはミラーボールが回っており、テーブルにはデンモクが置かれていた。ボクはテーブルにマイク、テーブル左の長椅子に腰掛ける。
ふとさっき中島君が鞄の中身を広げた場面を思い出す。
そういえば包丁?みたいなの入ってたな…。
ボクは中島君の鞄を開ける。
これだ!
ボクは包丁?の木製の柄を握り鞄から取り出した。
これ…完全に凶器だよね…。
ボクは鞘をゆっくりと抜いた。
すると…キラリと光る金属の正方形の形をした刃物にボクの顔が映り込んだ。
絶対アウトだよ…これ…だって長さ30cm明らかに超えてるんだもん…。
コッコッコッコッ
足音が近づいてくる。
ボクは急いで凶器を元に戻し、鞄を向かいの椅子に放り投げた。
ガチャッ
「お待たせしました。」
「ああ、うん。」
中島君がコップを持って部屋に入ってきた。
何か変なもの入れてないよね?大丈夫だよね?
ボクは中島君の顔色を伺う。
無表情だ…。
無表情でオレンジジュースを飲んでいる…。
こちらにフッと柑橘系の爽やかな香りが漂ってきた。
中島君はコップの1/4程度まで飲むとテーブルにはコップを置いた。
「飲まないんですか?」
中島君はこっちを不思議そうに見つめてくる。
「えっああ。うん。じゃあいただこうかな。」
ボクの口の中でシュワシュワした感触と独特の甘みが、ボクの不安を打ち消しながら広がっていった。
次回から第1章の答え合わせと今回の考察です。お楽しみにお待ちください。




