盗聴器
ボクの部屋に入った中島君は床を軽く見渡し、空いてるスペースに鞄の中を乱雑に放りだした。中にはノート、筆箱、鞘に入った包丁?のようなもの、メモ帳、そして電卓が入っていた。
中島君はその中から電卓を取り上げて他のものは鞄にしまい込んだ。
「結衣先輩…。ドライバー持ってますか?」
「へ?ああ。うん。あるけど…。」
ボクはリビングに向かい、棚の上の段左側に手を伸ばす。
「確かこの辺に……あった。」
ボクは部屋に戻る。
あれ?えっ?もしかして分解するの?
「ありがとうございます。ちょっと玄関借りてもいいですか?」
「え?いいけど…」
玄関?
中島君は電卓とドライバーを玄関のコンクリートの床に置いた。
「ふんっ!」
バギッ
中島君はアイスピックの形状のドライバーを強く握りしめると、電卓のキーボード部分に思いっきり突き刺した。
「ええ!?」
分解するんじゃないの!?
思わず驚いてしまった。
中島君は頭脳タイプだと思ってたんだけど、実はパワータイプだった!?
「ふんっ!ふんっ!」
さらに中島君は2回・3回とドライバーを突き刺していく。
すると電卓から白い煙が上がり始めた。
「ふ~。これくらいかな?」
「ふ~。じゃないよ!これどうするの!?」
中島君は一仕事終えたみたいに汗を拭っていたのでつい突っ込んでしまった。
「これで一安心で…うわっ」
「わっ」
電卓からものすごい量の煙が出てきたと思ったら火が出てきた。
「ねえ!これどうすんの!?」
「とりあえず水持ってきて!」
「わかった!」
ボクは水道の蛇口をひねり、ボウルに水を入れる。
え!なんで燃えた!?なんで!?
もう頭の中がパニックだった。
ボクは急いでボウルを玄関まで持って行く。
「はいっ!ってあれ?」
「もう消えました。」
見ると玄関のコンクリートは一部焼けて黒くなり、電卓のプラスチックは溶けて電子部品も黒くなっていた。
「えっ?なに?」
紗良が部屋着から普段着に着替えて部屋から出てきた。
「あ~え~っと。」
「ちょっとイライラしてたので電卓を破壊しました。」
「え!?」
「ちょっ!中島君!?それは…」
それはさすがに説明が雑すぎでは?
紗良も完全に引いた反応してるし…絶対やばい奴だって思われたよ!
「とりあえず玄関の掃除しますね。」
そう言って靴で電卓だったものを強く何度か踏みつけた後、部品を近くに置いてあったちりとりに集めて外の不燃物用のゴミ箱に捨てた。
中島君、淡々としすぎじゃない?さっき軽い火事があったんだよ?
「…。ひとまず場所を変えますか。どこか希望あります?」
「え?ああ。そうだね。ボクは周りに人がいない場所だったらどこでもいいかな。」
「?そうですか。では学校の近くのカラオケ屋に行きましょうか。」
「うん。そうだね。」
ボク達は駐輪場に移動し、国道沿いから少し外れた道を自転車で移動し始めた。
そういえば家を出るとき玄関から部屋を見たけど紗良がすごい困惑した顔でこっちを見てたな。
絶対心配されてるわ。
次回は息継ぎ回です。




