半人前の善意
「弟さんの父親!?」
高田さんは目を見開いて驚いている。これは予想していなかったようだ。
あのクソ野郎が私を追ってきた?いや。狙われてるのは蒼か?
「はい…。パ…父から聞いた話ですけど蒼はその男との子供で私とは異父姉弟らしいです。っ!」
ズキンッズキンッ
そう話したところで急にその場で意識を失ってしまいそうなほどの強い頭痛とめまいに襲われた。
な…
に…?
急…に………
こ…なこ……
…い…ま……
…で………
「……で……か」
?誰かに身体を揺さぶられてる?
でも…ここあったかいしこのまま休んでいようかな…
「結衣さん!」
「ん~?」
誰かに呼びかけられてようやく重い瞼を開ける。
目の前に車の座席シートのようなものが見える。
どこここ?
ボクは重い体をなんとか起こした。
「結衣さん。大丈夫ですか?」
声をかけた人の方を見るとその人は警官の高田さんだった。
どうやらボクは高田さんの膝の上で居眠りをしていたようだ。
ボクはその状況を理解するのに数秒要した。
「ごっごめんなさい!急に寝てしまって…」
なにか話してたら途中からいきなりすごい眠気に襲われて……それで…
どうしたんだっけ?
そこからの記憶がない。
「いえ。謝るのはこちらの方です。無理させてしまって申し訳ございませんでした。」
もしかしてそのまま寝ちゃった!?
めっちゃ恥ずかしいんだけど!?
ってかなんで高田さん謝ってんの?
「いえ…。ボ……私は全然。」
「いえ。私が配慮なく踏み込んだことを聞いたせいです。すみませんでした。」
え~っと?どうすればいいの?これ?
「ひとまず今回の件について被害届を提出していただければ警察の方で捜査の協力をさせていただくことができるのですが、どうされますか?」
あ~そういう感じね?はいはい。ひとまず適度な関係を保つ感じでいいかな?
「はい。出します。被害届。」
「ではこれに記入をお願いします。」
高田さんは黒色バインダーに書類を挟んで手渡してきた。
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高田さんに被害届の提出したあと高田さんに少しストーカーへの対処法をレクチャーしてもらった。1つは防犯ブザーの携帯でポイントは栓を抜いた後遠くに投げることだそうだ。そうすれば簡単に音を止めることができないから。
もう一つは登下校時の警察の見回りを強化してくれるそうだ。これは非常に心強いが、警察はあの男を捕まえることはできないだろう。なぜならあいつは………。
アパートの部屋に続く階段を上る。携帯の通知音がしたのでメッセージを確認してみると…
「少し話し合いたいので明日先輩の家に行ってもいいですか?」
中島君からだった。
へー気が利くね。そういえばなんでさっきの高田さん私の住所知ってたんだろう?
まあ警察だしそれくらい知ってるか…。
え~と返信は…
「見た目に反して意外と積極的だね?モテる女はつらいな~」っと
さてどんな反応してくれるかな?
そんなことを考えながら香ばしい醤油の香りの漂う部屋のドアを開ける。
「結衣!ただいま戻りました~!」




