カウンセリング
「学校ではどうでしたか?何か変わったことはありましたか?」
「う~ん。特に何もなかったと思いますよ。いつも通り授業をして部活をしました。」
嘘だよ。何かありすぎだよ!特に登校するときとか!中島君をどうすれば止められるか考えて考えてやっと思いついたのが、「中島君に嘘の発言をさせてそれを真実にする」っていう方法だよ!恐ろしかったよ!
それをやっても真実にたどり着きそうだったからなんとか気を逸らそうと森田くんが探し物してるって噂聞いてこれ使えるな。って思ったんだよ!
で?昼休みに中島君呼び出して?気を逸らそうとしたら?あいつ「分かったかもしれません。」って…。
おかしいよ!5分も経ってないよ!びっくりだよ!びっくり仰天だよ全く!
あいつ絶対おかしいよ!!
「そうですか。特に印象に残ったこととかありますか?」
「う~ん。そうですね~。昼休みに同級生の探し物を手伝ったことと文化祭の演劇の手伝いをしたことくらいですかね?」
まあボクはその後輩に全敗したんだけどね…。無理だよあんなの…。チーターだよ…。
「なるほど。分かりました。ではそろそろ本題に移らせていただきますね。無理に答えなくても大丈夫ですからね。」
「はい。分かりました。」
何かやたら気を遣ってくるな…。ちょっと嬉しい…
「家まで帰るときに道中何がありましたか?」
深呼吸してボクは慎重に答える。ここで間違えると確実にこの人たちを危険に晒すことになる。最悪命まで…。絶対にそんなことはさせない!
「紗良…義理の妹と中島君の3人で高校の北門から市道を通って下校し始めました。」
「?北門から?」
「はい。中島君から下校はそっちからの方が楽だって…」
まあそれは疑問に思うよね。
「続けますね?市道から国道に入ってインド料理屋さんのあたりを過ぎたころ黒色の大型バイクに跨がった黒色革ジャンを着た男がこちらをジトッと見つめてきました。」
…。これくらいの表現でいいよね?男の正体を追求するより…
「それは怖くありませんでしたか?」
「いえ…ああ。まあ、はいちょっと怖かったかもです。」
なんか話してると恥ずかしくなってくる。
あれ?そういえばこの人メモ取ってない。なんで?
「その後はどうされましたか?」
「中島君がそれに気付いて住宅街の隠れられる場所に隠れました。」
こんな感じのボカシ方でいいかな?
「ありがとうございます。嫌なことを思い出させてしまいましたね。よく頑張りました。」
「へ?ああ。ありがとうございます…。」
そんなこと言われるの初めてでなんか恥ずかしくなってきた…。
「ちなみに結衣さんはその男に身に覚えはありませんか?」
来た!これが一番注意しないといけない質問だ。
「……。はい…。あります…。」
そう答えると高田さんは少し目を見開いた。
意外だったのかな?
「それは…。差し支えなければですが、その方のことを教えていただいてもよろしいでしょうか?」
「はい。」
ボクは深呼吸して目を真っ直ぐ見据え落ち着いた声で答える。
「彼の名前は加藤 優介。…。蒼の…弟の実の父親です。」
そう答えると車内の温度が一気に下がったような感覚に陥った。




