最後のピース
小川先輩がA4用紙を机の上に6枚並べていく。
印刷されたのは今回のドッペルゲンガー事件のものだった。
「よし!並べ終わったな。じゃあ簡単に説明していこうか。」
部長はそう声をと僕は鞄の中からメモ帳を取り出す。
「まず1枚についてだけど事件の名前、日付、問題の規模を記載する。」
僕はメモ帳のページを開くとそこにはミミズの這ったような文字が延々と書き詰められていた。
なんだこれ?
ページをめくっていくと約4ページに渡ってそのような状態が続いていた。
そして5ページ目には
― 軽傷の女子高生、頭部を打った女子高生、男子児童 ―
― 結衣先輩、紗良先輩、蒼くん ―
こう記載してあった。
?こんなの書いたっけ?
部長の話を聞き流して考察を続ける。
よくよく読んでいくとかろうじて一部の単語が読み取れた。
読み取れた単語は
結衣先輩 紗良先輩 蒼くん アパート 男性 時間 謎の力X 呪言
どういうことだ?僕はこんなものを書いた覚えがない。しかし筆跡からして僕の書いたもので間違いないだろう。この文章の「呪言」とやらが関わっているのか?
そういえば今朝結衣先輩と紗良先輩とで登校したな。そのとき何を話していた?
思い出せ…登校中に結衣先輩、紗良先輩と合流して…西門に続く坂を…!
そうだ!あの時…ドッペルゲンガー事件について話していたとき
とっさにそれらしい答えを2人に説明した…
で…そこからどうなった?
思い出せ…
「ぉ~い」
「お~い。中島~戻ってこーい。」
「え?」
部長が何やら呼びかけている。まずい、考え込んで全然聞いてなかった…。
「お前聞いてたか?」
「え~いや~あの~」
どう説明しよう…。えっとまずは~
「は~。まあ後でダブル清水にでも聞いてくれ。」
「あ~。はい。分かりました。すみません。」
「次からはちゃんと聞くようにな!ああ。あともうすぐある文化祭についてだけどうちは基本生徒会の手伝いをする感じになってるから特に準備はいらないよ。」
やっぱうちって生徒会並みかそれ以上の権限があるんじゃないか?
どうなってんの…。
じゃなくて、登校するときだ。
そうだ!あのときそれらしい説明をして…
背中を…結衣先輩に…触れられて…
!まさか…
K市での事件では紗良先輩を守るために結衣先輩が必死になって…で、今回のドッペルゲンガー事件も紗良先輩を守るために…だとすればこの力の正体は…
「相手が想像したことを相手に適応する力」?なのか?
「ぉ~い。中島~帰ってこ~い。」
部長に再度現実に引き戻される。
「お前今日大丈夫か?」
小川先輩にまで心配された。いや考え込んでいただけだけなんだけど…
「ああ、はい。少し今回の事件で引っかかったことがあってそれについて考えてました。」
「ほう?それで何か思いついたか?」
小川先輩は獲物を見つめる獣のように威圧感を漂わせている。
「いえ…。気のせいでした。」
僕はおそらく真実に気付いてしまった…。たどり着いてしまった…。
しかしこれを伝えるわけにはいかない。
伝えると確実に当人が不幸になってしまうから…。
だから話ことはできない。
だとすれば、僕にできることはなんだ…
まともに会話する友人もいないような僕にできること…
考えろ…
何かあるはずだ…
…一つだけ見つかった。
ただ相手を理解して接する。僕にできることはそれくらいだ。
それくらいなら僕にだってできる。必ずそれを守って見せる。
それが愚者である僕ができる唯一の…
生きる意味なのだから…
読んでいただきありがとうございます。
これで「第一章 ドッペルゲンガー事件」が終わりです。次回はもう少し構成を整えてから投稿しようと思いますのでしばらくお待ちください。




