欠けたパズル
母「そんな装備で大丈夫か?」
中島君「一番いいの(制服)を頼む」
僕は自転車を漕ぎ学校へ急ぐ。
早急に、できれば授業が開始する前にこの件を終わらせておきたかったからだ。
そうしなければいつどこで何をされるか分かったものじゃない。
だったら早急に決着を付けて盤面を整えておくことが最優先だろう。
小学校へ続く道の前で自転車を漕いでいる女子生徒がいた。
結衣先輩と紗良先輩だ。
「ヤッホー名探偵!朝早いね!」
「おはよう!」
「おはようございます。」
早速目的の人に会えてよかった。
「昨日はよく眠れた?」
「はい、体調に問題はありません。」
「それじゃあ昨日言ってた違和感ってのの正体が分かったんだ?」
早速切り出されるとは思わなかった。
僕は慎重に言葉を選んで答える。
「輪郭はなんとなくつかめましたがぼやけているといった感じでしょうか。」
僕はそうごまかすと…
「へえ。」
結衣先輩が僕の顔を覗き込む。
「まあいっか。」
僕はチラリと紗良先輩の顔を見る。
「?」
すると紗良先輩と目線が合い、少し首を傾げた。
僕たちは特にこれといった会話もなく学校の西門の前にある坂道に到着した。
北門は帰りは長い下り坂道になっているが行きはきつい。そのため坂道は急だが短く校門前にある西門を2人に提案した。
僕たちは西門の前の坂道を自転車を押しながら上る。僕の両隣には紗良先輩と結衣先輩が並んでいる。
「中島君。こっちの道…教えてくれてありがとう。」
…
「……。えっああ、はい。…どうも…。」
結衣先輩がいきなり声をかけてきて驚いた。
「中島君、両手に花だね~」
「…。」
そんなことを言いながら結衣先輩は肘で僕の脇腹に突く。
…。
いい加減この人を黙らせたい。こっちはヒヤヒヤなんだよ!
そんなことを考えていると再び話を切り出される。
「話が戻るんだけど中島君の言ってた違和感って何?」
一瞬場の空気が一気に冷え込むような感覚があった気がしたがすぐに元に戻った。
僕は慎重に答える。
「はい。やはり人の性格がそんな1日2日で変わるはずはないと思うんです。」
僕は2人の反応を伺う。…セーフか。
「それで今回の事件と先輩の中学での事件の共通点を考えてみたんです。」
2人の顔が少し強張る。
ここがターニングポイントだな。
そう確信した。
「するとどちらにもある共通点がありました。」
2人は息を呑む。
「それは…」
『それは?』
「どちらにも思春期だったと言うことです。」
『思春期?』
2人は僕の言葉を待つ。
「つまりは心が不安定な状態にあるということです。」
「人の行動というのはその人の心に大きく影響を受けます。特に思春期の心の未発達な時期はなおさら…。おそらく2人は何らかのきっかけで心が成長したことによって行動が変化し、周囲の人から優しくなったように見えたと言うことではないでしょうか?」
そう答えると結衣先輩が右手で僕の背中を叩く。
「へえ。面白いこと考えるね~。」
「で?本当は?」
紗良先輩はそう問いかける。
……?
「本当は?」
僕は聞き返す。
すると結衣先輩は
「刑事物でよくあるでしょ?犯人には嘘を話して本当のことは隠すって。」
……?
本当のこと?
何だっけ?何か忘れているような?
僕は真顔で答える。
「いえ…。それ以上は何も…。」
そう答えた僕は何かが欠けたような違和感を感じていた。
中島「母さんご飯まだ~?」
母「何言ってるの~。ご飯はさっき食べたでしょう~?」




