カカシ
ジュゴンとマナティって何が違うんだろう?
今まで考えたことを整理してみよう。
この一連の事件は紗良先輩が呪言を使って引き起こしていた、そう仮定しよう。
では、それを使った理由は?
それはこの学校を乗っ取ること?か
しかし、性格的にそれよりももっと彼女らしい理由がありそうだが…
紗良先輩はしっかりしていて、どのような場面でも俯瞰して捉えている。そして蒼くんが懐いている。子供好き。
ここから導き出される答えは?
…蒼くんか!
彼を常に手元に置いておきたい。そんなところだろうか?
K市での事件は蒼くんの身を守るため、学校での事件は自分の身を守り蒼くんとの時間を優先するため…
それなら納得できるだろうか?…それで矛盾はない…な。
では次の事件を起こさないために何をすればいいかを考えてみよう。
彼女は蒼くんとの時間を引き裂かれることに嫌悪感を感じている…。
それを邪魔する可能性があるのは…
僕か!
僕は学校での事件を解決し、自分の能力を示した。その能力によって彼女の最も隠したい秘密、K市で男性を殺害したことを結衣先輩や蒼くんに知らせてしまう可能性を最も恐れるのではないか?
つまり次に僕が狙われる可能性が高いということか。
…しかし僕は一体どうすればいい?何が正解なんだ?
謎を解いた。だからなんだ?
僕は何がしたい?
彼女に幸せになってほしい。
幸せとは?
彼女の望んだ人生をおくること
彼女の望んでいることとは?
蒼くんとの時間をつくること
ではそのために何をすればいい?
僕がそれを邪魔しないことを伝える…。
本当にそれができるか?
いや、やってみせる。
だめならだめで構わない。
たかが僕1人変わったところで誰が悲しむ?
誰にも感謝されず、誰にも頼られず、誰にも信用されず…
ただ1人で生きてきた僕に…
間違えたら終わり。ただそれだけだ。
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その晩はそのまま就寝した。特に悔いなどもなかったのだろうか?不思議と普段より寝入りがよかった。
まぶしい朝日が僕のまぶたを照らす。
「きれいだな。」
僕は小さく呟いた。
僕は朝食を食べ、玄関に出た。
外に出ると母さんが洗濯物を干していた。
「おはよう」
「…おはよう」
少し間を置いて返事が返ってきた。
僕は鞄を自転車に乗せ、ロックを外しサドルに跨がる。
チラリと母さんの方を見る。
何か伝えておくべきことはないか…
…
「…母さん今までありがとう。」
「行ってきます。」
僕はそう口にするとペダルに足をかける。
すると…
「悠斗!」
僕は振り返ると…
「あんた制服は?」
僕は未だ感じたことのない希死念慮を覚えた。
母「そんな装備で大丈夫か?」
中島君「大丈夫だ。問題ない。」




