山小屋の斧
「どこまで歩いてきたんだろうね。」
「分からない。でも油断してると殺人鬼に追い付かれる」
谷池は殺された。無差別殺人で手配されていた正樹が、俺たちのグループを標的にしてるのは知ってる。
「兎に角、少しでも前に進まないと。正樹は確実に殺しに向かっているぞ。」
真衣の体力はない
どうする?見捨てて俺だけ先に進むか?
一度は好きになった女だけれど
自分の命には換えられない。
「真衣、あれ見ろ!山小屋の横に斧が置いてある。正樹に対抗できるかもしれないぞ。」
「え、どこ?」
「だからあそこだって!」
「私、さっきから目が見えないの」
目が見えない?
この状況でそんな絶望的な事を言わないでくれ。