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おつかいのお手伝い


 ショッピングモール一階にあるスーパーマーケットに老婦人を連れて来た私たちは、早速老婦人の買い物を手伝ってやることにした。


「お酒……でしたっけ?他には何かいるものはあるんですか?」


「あのねぇ、まーくんがねぇ、ポテチとか、唐揚げとか、ケーキとか?買ってこいって言ってたのよねぇ。」


「不摂生極まりねぇのだ……」


 生活習慣病代表みたいな三つがバンバン挙げられていき、そのまーくんとやらの健康が心配になったらしい。ラテは引きつった頬を手でほぐした。


「それじゃあひとまず、お菓子売り場にでも行きましょうか。」


「そうだねぇ。」


 私は最初にポテトチップスを回収するためそう提案すると、老婦人はゆっくりと頷いた。



 お菓子売り場では子供たちが楽しげに、または物欲しそうに、棚の商品を物色していた。

 微笑ましい親子たちの中を、数人の学生と老女が堂々と分け入っていく。


「ポテチならここにあるけど。どの味なの?」


「さぁねぇ、どの味だったかしらねぇ。」


「いや俺ら知らねェぞ。」


 買うべきフレーバーを覚えていないのか、呑気そうな顔で「えぇ?でもねぇ、ええ……?」と首を傾げ続ける老婦人。いつまで経っても埒が明かなさそうだ。


「ふっふっふ。お婆さんポテチならこれがオススメだよ。シュールストレミング風味。」


「あらー」


 殺す気か!

 シュールストレミングってあれだろ!フィンランドかどっかの世界一臭いやつだろ!


「こんなのあったかしらねぇ。」


「いや、今ボクも初めて見た。」


「あらー。」


 老婦人は千晃からそれを受け取り、買い物かごに入れた。

 ……まーくんって人のおつかい、のはずだよな?悪ふざけが過ぎやしないだろうか。まーくんに哀悼の意を表します。


「は、はわぁぁぁ!これはぁぁぁ!」


「なんですか急に!?」


 叫び声をあげたのはまさかの神谷さんだった。


「これ……城塞演舞のカード付きウエハースじゃないですかぁぁぁぁぁぁ!」


「えええええ!まじですかィ!?」


 それを聞いた与損さんも飛びつき、二人とも興奮気味に目を輝かせた。

 城塞演舞……あぁ、古舘も好きだって言ってたやつか。


「お好きなんですか?」


「はい!それはもうとっても……!」


「日本のHENTAIは有名だろォが!」


 バカ、大きい声でそんなこと言うな!周りの人こっち見てるだろうが!

 与損本人はその言葉の本当の意味を分かっているのかいないのか、反省する様子もなく固く拳を握っている。


「私の推しは墨俣城くんなんですけどあの豊臣秀吉、当時は羽柴秀吉って名前だったんですけどその人が織田信長の命令で一晩で建ててしまったっていう逸話がうんぬんかんぬん……」

 

「稲葉山城との戦いは最高だったなァ……!」


 二人は完全に熱く語り始めてしまったらしい。その熱が冷めるまではしばらく時間が必要そうだ。


「ママ?あの人たち何してるの?」


「見ちゃダメよ!」


「……」


 まさか実際にこんな典型的な言葉を向けられる日が来ようとは……これは精神的にだいぶ堪える。


「これもポテチなのかねぇ?なら買うかねぇ。」


「ウエハースだっつってんだろ。」


 老婦人は与損さんからそれを受け取り、買い物かごに入れた。


「ぬわぁぁぁぁぁぁ!」


「今度はなに……!?」


 ラテの驚嘆の声に、私は酸欠になるくらいのため息をしたい衝動に駆られながらも、どうにか平静を保ってラテの方へと振り返った。


「ポシェットモンスターのフィギュア付きだぞ!戸国お主これ買え!」


「嫌ですけど??」


 ラテはポシェットモンスター、略してポシェモンのフィギュア付きのチューイングガム、しかもよりにもよってメインキャラでもなんでもない糸目の人間キャラのやつだし。せめてポシェモンを選べよ。


「今の若い子はこんなのが流行ってるのかねぇ。可愛いねぇ。」


「カワイイ……?」


「そうであろう!やはりお主は分かっておるな!最初から薄々そう思っておったのだ!」


 ラテは嬉しそうに老婦人にそれらのお菓子をどっさりと押し付けた。

 老婦人はラテからそれを受け取り、買い物かごへ――


「これは要らないねぇ。」


「あっ……」


 老婦人は買い物かごに入れずに、糸目のフィギュアを商品棚に戻した。


「お菓子はもう十分だしねぇ。唐揚げはどこにあるのかしらねぇ。」


「おゥ、そんなら案内してやッぜ。」


「惣菜売り場はあちらです。着いて来てください。」


 二人は老婦人を連れてその場から立ち去り、お菓子売り場には私と來摩ちゃん。そして遠くの夕陽を見つめているような顔のラテだけが残った。

 自分のやつだけ受け取り拒否されて、可哀想だなあいつ……


「……戸国ぃ、お主これ――」


「あ、要らないです。」


 

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