15.作戦と雑談
負傷兵を椅子に座らせ皆机に面と面を向き合うと
「まず。カトラッヂの連中が攻めてくるのは予測だと
1日後か2日後だ、次乗り切ったら多分もうせめて来ないだろう。武器はバンカーで整え、この町の地図を
家の一階に貼っておく。」
「私たちが持っている情報だと、カトラッヂの軍隊は
体術とナイフの扱い、そして遠距離武器とオールラウンドにこなしてきます。そして彼らが持つ部隊。
「クラッシュ」は単調な名前をしていますが。
名前の通り必ず任務先を破壊すると言われてます。
使う武器も見ないものばかりで戦闘のエキスパートです。」
テリボルアの兵士がそう言うと
「本当か?そんな部隊がこの町に送られてきたら
守り切れるかわからないぞ…」
「レノンの言う通りです。でもそんな部隊この町に送られてくるんですか?」
そんな部隊がいるのか…普通の兵士たちでも苦労するのにそれ以上の敵兵なんて対応できるかわからないぞ…
「この町には送られてこないでしょう。目撃情報では
かなり大きい国でしかありませんから。この町には送られてこないはずです」
だとしたら安心できるが…来た場合が怖いよな。太刀打ちできそうに無いし
「ならいいんだが…カトラッヂの兵士は魔法をあまり使わないから魔法の対処法がわからないんじゃないか?俺の魔法で木っ端微塵にしてやってもいいぞ」
そういえばガルトラが攻撃魔法を使ったところ見たことないな…どんな感じなんだろうか
「どうなんでしょうか…魔法を使っている所は見ませんが」
「魔法の対処法がわからないなら俺も活躍できるな!敵にどデカい魔法当ててやるぜ!」
アルトは出しゃばって話す。全く本当に幼稚に感じる
「まだわからないですからね?変に攻撃して倒されたりとか本当にやめてくださいね」
「まぁ確かにそうだな…具体的な対応策はなんだ?」
「だから今それを今決めてるんですよ…話聞いてました?」
呆れた様にテリボルアの兵士は言う。そりゃそうだ。
もう変に口出ししない方がいい
「あぁ…そうですか…」
としょんぼりして俯く
「それでですが…奇襲や待ち伏せは警戒されているはずです。少しカトラッヂの連中から何か吐かせますか?」
「あぁ…それは僕もいいと思うな。奴らに口を割らせよう」
嘘をつかれたらどうするんだろうか…口を割らない
可能性だってあるし。
「なら私達で行きます。レノンさん達は会議していてください」
「2人来てくれ!行くぞ!」
声をあげて2人の兵士がついていき階段を上がる。どれほどで帰ってくるのだろうか…あまり過激なことをしてなければいいが
10分ほど待っていても帰ってこない…流石に心配だ
「少し確認しに行った方がいいんじゃ無いか?帰ってくる気配がないぞ」
俺がそう言うと皆頷き
「そうですね…ちょっとみんなで確認しに行きましょうかね」
とウォルも賛成している。みんなで階段を上がると
「そろそろ吐いたらどうだ?別に悪いことには使わない」
「うるさい!俺が軍隊のことを吐いたら戻ったとしても殺されるんだ!必ず誰かが密告する!」
どうやらまだ口を割っていない様だ。このままだと埒があかない
「もういい…一旦下に戻ってまた話し合うぞ」
「わかりました!今行きます!」
レノンにそう言われるとテリボルアの兵士は敵兵の口に紐を巻き始める
1階に戻ると
「僕の家の2階のベランダには弓を持った兵士を置いてくれ。地上は基本盾を駆使して弓や銃を使って牽制するんだ」
「えぇ、いいですよ。だとしたら3人ほど2階に置きます」
「基本的にはさっきと同じ様な戦い方でいくぞ」
結構話が進んできた…さっきの戦法をベースに少し捻りを加えた作戦になる様だ。果たして通用するのだろうか
「だとしたら少し休憩するか…みんなも先程の戦いで疲れたはずだ、雑談でもしていてくれ」
皆は体を楽にしてレノンに言われた通りに休み出す
「よし。じゃあ僕は外で見張りをしてるから休んでてくれ」
と言い階段を上がっていく
「おいアルト、お前はこの時間何するんだ?」
「俺は座って寝ようかな〜何かあまり最近寝れてないからな」
「あぁわかった、じゃあまた後で」
ウォルはガルトラと話しているし…隊長もぼーっとしている…少し外の空気でも吸うか。ドアを開けて外に出るとやはり空は曇っている。
「勇者くんってさ…名前聞いたことないけどなんて言うんだい?気になるんだけど」
上から音がする…声的にレノンだろう
「どうでしょうね…いつか話しますよ。俺の名前を
知ってるのは今のところアルトだけなんで」
「そうかい…深くは追求しないでおくよ」
レノンは少し残念そうにしている…そんなに俺の名前を知りたいのか?
「レノンさんは昔何やってたんですか?」
「君が名前を言わない様に僕も言いたくないんだがね…まぁ俗に言う王を守る武士ってところだろう」
武士…?そんな役職に昔はついていたのか…なんで
エンジニアになったのだろうか
「なんでエンジニアになったんですか?」
「王を守っててもほぼ奴隷同然だったからね。国から
逃げて自分で生計を立てるにはエンジニアが最適
だったんだ」
武士って言ってもそんなふうに扱われるのか…この
世界は残酷だな…
「そうなんですか…武士も大変なんですね」
「金も入らないし正直やりたい人はいないだろうね」
そんなにやめたくなるほど辛いのか…大変だな
「そういえば銃に1回1回弾を入れるのってめんどくさくないですか?一気に入るくらいの大きさにしたらどうですか」
「確かに!そうだな!なぜこんな簡単なことに気づかなかったんだ…ありがとう!今度作ってみるよ!」
随分喜んでいる…あんなに変人な人だったのに少し可愛く
思えてくる
「そうですか…頑張ってください」
「あぁ、そうだな」
さっきは見えなかったが外には目を凝らすと弾痕が残っており。血痕も所々ある
「カトラッヂの連中もいつか滅ぼすべきだと僕は思うんだよ…あの国があっても正直皆の害でしかない」
「確かにそうですね。すぐに町や国を襲撃しますし」
「あぁ、だが奴らの技術力が高いのは間違いない。倒すには僕らが強くならないといけない」
あんな転送装置を作ったりする奴らを超えられるのだろうか…倒せるなら俺も倒したいが
「正直…エンジニアが少なすぎる。僕だけなんだ…
おそらくテリボルアが手を貸してくれるだろうがそれでなんとかなるかもわからない」
そうなのか…確かに技術力は低いって自分たちで言っていたしな…どうにかなるもんなのか
「ですよね…あんなにハイテクなものを使う奴らですから」
「ああ、言うとおりだ」
俺は少し伸びをしてドアを開けると
「一旦戻りますね!また後で」
「あぁ、また後で」
とドアをガチャリと閉める
諸事情により少し早まりました