10.備えていたら…
10話、キリがいいですね…話を広げるのは大変ですし書き方にも工夫を入れないといけませんけど書いてる時はとても楽しくやらせていただいてます!
前みんなが言っていた通りならあと1日のはずなんだが…外が随分騒がしい、ウォルも外を見ながら
「騒がしいですね…ちょっと外出てみましょうか」
「そうだな!ちょっと出て見てみようか」
2人とも椅子から立ち上がりドアを開けて外を見て見る
「な、なんか空曇ってないか?」
空はかなり黒い雲で覆われており風で服の先端が靡く
「な、何だこれ……」
ウォルは脱帽して空を見上げると
「僕が今まで見てきた大襲来だとこんな事は起きた事ないですよ…これは相当不味いんじゃ……」
ウォルも相当焦っている、見たこともないと言うの
だから警戒しなければ、でも大襲来はあと1日あるはず…
「大襲来ってもう少し猶予があるんじゃ無いのか?まだ1日前だぞ」
「残念ながら少し計算違いだった様です…気をつけてください…さあ剣を抜いて!」
そう言い帽子を着けてウォルは人混みの道を走り出す
寝てる3人はどうするんだ?少し起こさないと…
不味い不味い…予定が狂ってしまいましたよ…足止めしないと!あっ!…3人とも起こすの忘れてた!!
走っている方向をクルリと変え再び走り出す
早く起こして前線に行かないと不味いぞ…ウォルもいっちまったし…1階では机に突っ伏しているガルトラと床で倒れているレノンがいる
「ガルトラさん!起きてください!大襲来がもう来てますよ!」
肩を叩きながらガルトラを起こすと眠そうにこちらを見てハッとする
「も、もう来ているのか?!早く行くぞ!」
と言い2階に上がってアルトを起こしに行く、俺も
レノンの体を揺らして起こそうとする
「起きてください!もう大襲来来てますよ!」
レノンは中々起きない…かなり深く寝ている様だ、このままじゃ時間がかかって大変なことになりかねないぞ…
「起きて!ちょっと!どんだけ寝てるんですか!」
そう叩き起こそうとしているとドアが思い切り開き
「3人共起こし忘れてました!」
と言うとこちらに駆け寄ってきて
「レノン!起きてください!はやく!」
と言い体を揺らし始める
急に目が開くと
「あっ!もう来てるの?!早く行こう!」
とこれまでずっと起きなかったのに一気に目が覚めて布団を退かし銃をホルスターに入れる
2階からも焦りながら足音が聞こえて来る
「俺そんな寝てたか?!まだ1時間くらいしか寝てない気がするんだが」
そうだった、みんな寝たばっかりだったんだ…まだ1日前だったのにもう来ているとは皆思っていなかっただろう
「ちょっと1日早く来たらしいんだ、早く行こう」
と言い全員で家を出る
「早く町から出ましょう!」
アルトとレノンは空を見上げて少し絶句する
「な、何じゃこりゃ…」
最初に口を開いたのはアルトだった
俺ももう一度空を見上げるとやはり夜中とはまた違う様に真っ黒に染まっている…もう一度見て気づいたことがある、少し先にはぽっかりと空に穴が空いた様に光が入り込んでいる、明らかにおかしい…
「さぁ!早く!」
とウォルが声をあげるとみんなウォルについて行きにはし出す。
整理されていない道を走るのは実に大変だ…時々転けそうになりズボンの裾が土で汚れる
だが疲れはしない、そう言う世界なんだから、前とは違う…よくよく考えるとバーストは新たな力を開花
させる…なら俺の剣で斬ったところの血が硬化するのもまたバーストと変わらないのかもしれない。
町の出口が見えてくると剣を抜く…
町を出るとそれは目を手で押さえたくなる様な光景が広がっていた…喋ったこともないのに顔は知っている
人がモンスターに貪り食われている…それこそ顔すら認識できない様な有様な死体もある
外に出て最初に開口したのはガルトラだった
「何てことだ……いつもの大襲来でもここまで醜くはないぞ…」
レノンは抜刀し死体を貪り食っていたモンスターを斬り裂く
「あぁ…眠気が吹っ飛んだよ、ここまで酷いなんてね…前線で生き残ってるのは数名だけか…」
会話をしていると前から刃毀れした剣を持ってこちらに走ってくる男がいる…切り傷や噛まれた跡なども着けて
「ここにいる人はほぼ全員壊滅した…奥からも銃声が聞こえてくるぞ…別の国の人間が襲いに来てるぞ!」
レノンはその男の体をじっくり見ると急に刀をその男に向かって振り、男は血を吹き出して倒れる
何をしているんだ?!生き残りを攻撃したレノンの方を見るとレノンの頬あたりの血を指で拭き取っている
「ほう…教えてくれてありがとう……だが君のその首にあるそのマークは何だい?明らかに銃声を鳴らしている側の様に見えるが」
レノンを除く4人が首を確認してみると牙が大きいヘビのマークが付いている
「オカルト集団のマークじゃないですか……しかもいつでも戦いを求める国のカトラッヂの…」
カトラッヂ?別の国か…やっぱり他にも派閥とかはある様だ
男は体を回して仰向けになると
「クソッ…さっきの奴らとは違って賢かった様だな…
お前らの武器を見る限りこちらより技術力は劣っている感じだな、ハハっ…また後で」
と言うと黒い羽を1枚残してパッと消える…
消えた?どう言うことなんだ…魔法か?…でも魔法陣は無かったよな…どうなってるんだ…アルトも口を開けて
「どうなってやがる…明らかに魔法では無かったぞ……」
「ですよね…しかも羽を残すなんて、明らかに舐められてますよ…」
レノンは残した羽根を取ってよく見ると
「多分魔法ではなく転送装置やら何やらを使ったんだろうが…僕でもそんなものは作れない、アイツらは
相当手強いぞ…」
レノンでも手強いって言えるレベルなら…俺たちでどうこうできる物なのか?
「これからどうします?モンスターは結構いますけど」
ナンセンスなのはモンスターがありえないほどいることだ、ここのモンスターを倒さなければ進めないことは間違いない
レノンは刀の血を紙で拭きながら
「あぁ、まずはここら辺のモンスターを殲滅することには変わりない…見た限り何十体はいるだろうから頑張るよ」
と言うと皆バラバラになりモンスターを倒しに行く
俺が剣を構えると一体の人型で茶色の毛が生えている猿の様なモンスターがこちらを見つけるや否や迫ってくる、俺も走って剣を振り翳し斬り殺すと断末魔すらあげずに倒れる
他のモンスターも3体ほど来るが手こずりはしない
知能は極めて低い様で、攻撃を交わそうともせずただ攻撃を仕掛けて来るだけだ…
そんな調子で8体ほど仕留めると周りに残っているモンスターはほぼいなくなっている、全員が何体かを倒してモンスターの死体が大量に倒れている
「ここら辺のモンスターは倒したけど…まだ来るはずだ、さっきのカトラッヂの奴らもいずれ来るだろう…」
そういいレノンが刀の血を紙で拭き取る
カトラッヂ…今まで聞いたところによると戦闘を好むそこそこやばい国の様で、国自体が戦闘狂の様だ。
アルトは開口一番に
「そのカトラッヂ?って言う国の奴らってそんなにヤバいのか?
率直な疑問だ、さっきの奴を見たところ随分と機械や戦闘に長けている気がする…あんな戦法を使ってくるとは…
「カトラッヂの奴らは基本的に他の国を制圧したり
破壊したり、戦闘を好む国です。同盟などは組んでなくてよく大襲来の時に攻めてきますよ、今みたいに」
ウォルもあまり好ましく思っていないようだ…少し大きめの丘の向こうからは銃声やモンスターの鳴き声などがする…絶対にあっち側行ってはいけない様な雰囲気を醸し出している…時が静止した様に全員が俯いて黙っている。
「カトラッヂの奴らのことを好む人ってのはそうそういないぜ…技術力もそこそこある癖にそれを戦闘に使っちまうんだから、勿体無いな」
ガルトラはそう言う、俯いたまま
丘の向こうは行ったほうがいいのか?でもカトラッヂとか言う奴らが制圧しに来てるかもしれないんだ…どうすれば……
「あの丘の向こうに行った方がいいんじゃないか?
こっちのモンスターは殲滅したし…」
俺はそう口に出すと皆が顔を上げてガルトラがこちらを見ると
「正気か?あっちに行ったら死ぬのは目に見えるぞ…命を捨てに行っている様なもんだ」
確かにそうだが…ここでこのまま縮まってても何の意味もないし、何よりも攻められた時に町が危うい
「あぁ…どう考えてもカトラッヂの連中が襲ってくるだろうが、このまま何も行動しないよりはいいだろう、このままだとモンスターやカトラッヂの連中に囲まれて町の中にモンスターや人が入るだろう…」
レノンは賛成してくれている、彼女の言う通りだ
「確かにそうですね…このままじゃ状況は変わりません、何か行動しないと」
アルトも頷き
「確かに、見たところではここら辺のモンスターは
もう残ってないが後々丘の先からモンスターやら人やらが入り込んでくるだろうから行くべきだとは思うぞ」
ガルトラは説得された様に頷いている、行動をしないことには何も変わりないことを少し考えたのだろう
「確かにみんなの言う通りだな…なら丘の先に行った方がいいな!少し丘の先を見てみるか」
そういい少し大きめの丘の方に足を踏み出した
10話目ってことでちょっとシリアスな雰囲気になったかもしれませんがどうでしょうか、感想など書いてくれるとありがたいです!